昭和時代には、今は見ることのできない仕事がたくさんありました。今回は消えた昭和の仕事をいくつか取り上げ、消えた理由を分析しながら、これからの働き方がどのように変わっていくのかを模索してみたいと思います。

消えた昭和の仕事

●バスの車掌

「ワンマンバス」という言葉を聞いたことがありますか。今では当然になってしまったのでほとんど使わなくなった言葉ですが、ワンマンバスは、運転手だけがいる乗り合いバスのことです。以前は運転手の他に車掌がいました。

車掌は切符の入ったカバンをさげバスの中で切符を売っていました。また、停留所が近づくと車内でアナウンスしていたバス会社もありました。それが、昭和40年代ごろから整理券や自動販売機が生まれ徐々に車掌の姿が消えていき、現在のように、バスには運転手しかいない「ワンマンバス」になったのです。

●鉄道改札員

昭和時代には、駅の改札口には改札員が立っていました。改札員の仕事は、電車の切符にパンチで穴をあけることと電車から降りて来た乗客から切符を回収することでした。
通勤ラッシュ時など、たくさんの乗客が乗り降りするときには、改札口に立った改札員が切符にパンチで穴を開ける金属音がひっきりなしに聞こえてきました。次から次にやってくる乗客の切符に少しの遅れもなく穴をあける改札員の手際の良さに感心したものでした。

今では、自動改札機の導入で、改札員のお世話にならずとも改札口を通過することができます。

●タイピスト

昭和の時代には書類の作成は手書きで行われ、それをタイピストがタイプライターで仕上げていました。書類作成の効率を上げるためにタイプするスピードと精度が重視されたので、訓練を受けた「タイピスト」という職業が生まれたのです。

コンピューターの普及と伴に書類の作成が誰にでも簡単にできるようになったことから、タイピストの職業は消えていきました。今でも書類作成は必要な作業ですが、ほとんどの場合、作成者が自分で仕上げたり、もっと幅広い作業を伴った一連の事務の一部に置き換えられています。

●灯台守(灯台職員)

灯台守は灯台を管理する職人のことです。灯台守は、特に昭和に限った仕事ではなく、古代の昔から存在していた仕事でした。大昔はただ単にかがり火を焚いて水先案内をしていた時代もありましたが、近年の灯台守は、灯台やその近くに住み、夜に灯台の光が常に放てるよう灯台の器具や装置を管理していました。

現在ではGPSの誕生で、灯台の光は不要となり、灯台守の仕事もなくなってしまいました。今ある多くの灯台は、青い海をバックに凛々しく立ったその白い美しい姿が、観光スポットとして人々を引き付けています。

なぜ昭和の仕事は消えて行ったのか

前述した仕事は、数ある消えた昭和の仕事の一部にすぎませんが、なぜそういった仕事が消えて行ったのか、その理由を探る良い例になっています。

4つの例に共通している消えた理由は、一言で言い現わすとすれば「合理化」という言葉になります。合理化はただ人を減らすだけでは成り立ちません。それまで人がやっていた仕事を代わりにやってくれるもの、つまりより高度な技術、機械、装置が必要になります。バスの車掌の場合には、整理券のシステムや、切符の自動販売機がそれに当たります。改札員の場合は自動改札機がそれまで人間がしてきた仕事の代わりを務めています。タイピストに変わるものはコンピュータであり、灯台守の仕事はGPSが代わりの役割を果たしています。

作業を合理化しようとする理由とは

では、なぜ作業を合理化しようとするのでしょうか。
一つには、人を減らし機械に変えることにより、人件費を減らすことができるからです。
二つ目には、機械の使用により、精度が高く、スピードのある作業ができるからです。
理由がどちらであれ、一つだけはっきりしていることは、時代が進むに従い、仕事場から人間の姿がだんだんと消えていき、それに代わって機械や装置が増えていることです。

極端な例では、ピラミッドや万里の長城を作った太古の時代は、人=原動力でした。もちろんある程度の工具や道具はありましたが、土を掘るのも人間、石を積むのも人間でした。それが今では、人間は機械や装置の後ろに立ち、「操作」をするだけになったのです。
このような歴史の流れを見ると、これから先の社会をある程度予測することができます。

未来への示唆

2015年に野村総合研究所から、これから10年~20年先の働き方の予測が発表されました。その発表によると、「国内労働人口の49%にあたる職業が人工知能やロボットで代替される可能性が高い」そうです。この論文は、ビジネス界に大きな波紋を投げかけましたが、働き方の歴史を見る限りでは、根拠が十分ある妥当な発表内容のように思われます。

ただ不思議なのは、人工知能やロボットへの移行を実現するのは人間なのですが、なぜ人間はその移行を止めて、現在の労働人口を確保しようとしないのかということです。
答えは、「資本主義という競争社会では、他社の製品やサービスよりもより高品質で低価格な商品を提供しなければ、生き残ることができないから」ということになるでしょうか。それが「合理化」の推進力になっていると思います。

ですが、すべてが人工知能やロボットで代替できるわけではありません。野村総合研究所の論文は、「芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能等での代替は難しい」とも述べています。今後、こうした分野での働き方が注目を集めていくのではないでしょうか。

まとめ

消えて行った昭和の仕事に焦点を当てながら、仕事が消えていく背景を探ってみました。その結果、仕事が消えていく背景には「合理化」の考え方があることがわかりました。
更に今後20年間に、現在人間がやっている仕事の半分が人工知能やロボットに変わっていくことが予想されています。その一方で人間の頭脳を必要とする分野もまだまだあることがわかっています。このような新しい変化に対して、どのような働き方をしていけばよいのかがさらに問われることになるでしょう。

記事制作/setsukotruong

ノマドジャーナル編集部
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