Xicaとのマーケティングスペシャリスト・連携インタビュー第3弾は、糸島求一氏です。広告代理店、ベンチャー、大手IT、グローバルファッションブランドのマーケティング担当者としてより活躍後、独立。。現在は自社サービスの開発の一方で、マーケティングコンサルティングとしても活動中の糸島氏。

今回はその糸島氏に、キャリアやスキルの土台がどのように築かれていったか、また現在コンサルティングを提供しているデータ活用についての考えをお伺いしました。

パイロット志望から、マーケティングの世界へ

-多様なキャリアの移り変わりですが、どういった経緯だったのか教えてください。

糸島求一氏(以下、糸島):

大学卒業後に、広告代理店に入りました。その後小売業に転職したのですが、そこはコンサルティングファーム出身の方々によって創業されたベンチャー企業でした。そこでサイト構築からSEO、SEM含め、ゼロからマーケティングをしました。初期はナレッジの少なさから、ありとあらゆるトライアンドエラーを繰り返しましたが、ここで基礎的な分析や戦略造りを学びました。

そこで7年ほど働いた後、大手ITのコンテンツプロバイダーに転職し、より幅の広いウェブのリアルな知見やマーケティングの経験を積みました。そこでは3年ほど働き、CRMを取りまとめたり、社長直下でブランディングのプロジェクトを立ち上げるなどしました。最後はM&Aをした会社のプロジェクトを任せていただきました。

その後、ファッションブランドのCOACH JAPANのマーケティングを経て独立し、マーケティング・分析に関してお客様にソリューションを提供するコンサルティングや実行支援を行なっています。

-もともとマーケティングでキャリアを積んで独立したいという設計だったのですか?

糸島:

じつは元々、パイロットになるのが小さいころからの夢で、そのための大学時代もずっと試験を受けていました。しかし、試験では最終審査で落選しました。受かるつもりでいたので、パイロット以外に就職活動をしておらず途方にくれていたところ、知人にご紹介いただいて1社目に入社したという形です。

その後、「キャリアを考え直す時期なのかもしれない」と改めて考えていく過程で、ベンチャー企業への就職を考えました。25〜26歳くらいでしたね、このとき初めて自分の道が見えてきたと思います。

-パイロット志望だったとは意外です。挫折して初めて別の道が見えてきた形ですね。そして、社会人経験がスタートしたわけですね。

糸島:

はい、みなさんに意外と言われるちょっと変わったキャリアです。1社目は基本的な社会人としてあり方を学んだ期間でしたが、いろいろと悩む期間でもありました。そして、その後の2社目が大きな人生に大きな影響があったと思います。社長が、前職のコンサルティングファームで社員教育担当もされていたためか、とても教育するのが上手な会社で、私の仕事の基本はそこで身についたと思っています。コンサルティングファームでケーススタディなどに使われるような教材を、従業員教育でも取り入れていましたし、各種の提案資料などもMECEになっていないと指摘されながら、手取り足取り教えてもらっていました。

ベンチャーで基礎を学び、大手ITで各種プロジェクトのマネジメント

-教育熱心な会社だったのですね。2社目の社会人経験の中で、一番身に付いたことは何でしょうか?

糸島:

データの扱い方とロジカルな思考ですね。最初は全くできなかったので、社長や、上司、アドバイザーなど外部の方々も含め、多くの方に助けられながら身に付けていきました。

-その時に、マーケティングの世界で生きていくという軸が固まったのですか?

糸島:

当時の会社は上場を目指していましたので、上場までは持って行くということを中心に考えていて、そこまで具体的には考えていませんでした。ただ、漠然とは将来的にはマーケティングを活用し独立したいと思いはじめていました。

-その次は大手ITに移られました。ベンチャーの担当者から大手ITのマーケティングのポジションに移りましたが、そのきっかけとは?

糸島:

リアルで実績を残せるようになってきたころに、もう少しテクノロジー領域に詳しくなりたいと考えていました。そこで3社目に入社する大手ITに伺った際に、当時の社長に、デジタルとリアルの融合に関わる事業をするというお話を伺い、まさに自分がそのタイミングでこれまでのスキルを活かしつつ、経験をさらに積める場だと感じ入社を決めました。

-そこではどのようなスキルが身についた?

糸島:

大きなデータを活用するというスキルが身についたと思います。リアルの業態に比べて、デジタル領域ではアクセスデータなどがとにかく豊富です。普通に数千万、数億のレコードを扱うなど、桁違いでした。

-起業のために会社でスキルアップを図っていったという感じですか?

糸島:

起業のためというわけではありませんでしたが、ベンチャーと大手ITを経験し、事業ドメイン、企業規模もそれぞれ異なりましたので、スキルアップには最適でした。
その後、グローバルファッションブランドであるCOACH JAPANに転職しグローバル企業を経験することで、ベンチャー、国内大手、グローバルのそれぞれのマーケティング×ITをに携わることができ、現在の基礎ができたと考えています。

-独立してからはどのような仕事を中心にしていますか?

糸島:

現在は事業を作りながらマーケティングのコンサルティングや実行支援の仕事をしています。仕事先と自分の事業の両方に活かせるような仕事ということを軸に取り組んでいます。

ビジネスノマドとして週4,5社の大手企業のマーケティング支援

-現在ビジネスノマドとしてのコンサルティングや支援業務で活躍されておられますが、自社のサービス開発の時間配分のバランスはどうですか?

糸島:

ビジネスノマドとしての活動は、収入の安定的な確保が目的です。今後、事業が立ち上がればウエイトをシフトしていこうと考えています。年内に自分の事業に8割のリソースを割くが目標です。

-活動初期は何社で働いていましたか?

糸島:

最初の頃は、週4、5社のクライアントを回っていましたね。クライアントは一部上場の大企業が多いです。大きい会社だと組織構成上ゼネラリストが多く、マーケティングやデータなどに詳しい方が少ないために、いろいろなお声掛けをいただくことができました。

-どういう経路で仕事の依頼がくるのですか?

糸島:

私の場合は、紹介が多いですね。例えば通信キャリアのお手伝いは知人の紹介からです。また、クライアントにもよりますが、サーキュレーションさんのようなところからご紹介いただくこともあります。さらに、そのクライアントの中で新規事業を立ち上げる場合に、そちらについてもサポートしてみないかという次のお話をいただくことがよくあります。

データ分析は意思決定の素材に過ぎない。最終的に「人」や「組織」に行き着く

-ウェブマーケティングの専門家としてお伺いいたします。データをビジネスに活かすうえではどのようにお考えでしょうか?

糸島:

意思決定をサポートする素材であることを認識することが重要だと考えています。職業柄数字を重要視していますが、一方で過度にデータに頼ってしまうことがあります。ただ、それだけに頼っていると全体を見失ってしまったり、新しい柔軟な発想を抑えてしまったりすることがありますので注意が必要だと考えています。

その前提で、データを活用しえていくわけですが、まずはデータを疑うことです、そして切り分け方をどうするかが重要だと思っています

一見正しいと思うデータが、深掘りしてみると異なる世界が見えてくる場合があります。それまで考えていたストーリーもゼロから考え直すこともよくあります。また、切り分けの仕方次第でデータが良いものに見えてしまうこともあれば、悪いものに見えてしまうことがあります。そのため、データを疑うことと、切り分けの仕方に気をつけることが重要だと思っています。

-切り分けの際に重視していることは?

糸島:

まずは係数のツリーをつくり、自分でローデータ(Raw data:加工前の生データ)を複数の観点でスライスして見てみます。そこでなんとなく判断しますね。そこから仮説を立てて開始することが多いです。平均化されてしまって見落としていることがないかという点などについて気をつけるようにしています。

クライアントによっては、先にきっちりと仮説を立てからデータを検証するということもあります。課題によりどちらのやり方も正解ですので、クライアントの抱えている課題によって使い分けています。

-難しい事例、失敗した事例はどのようなものがありますか?

糸島:

やりたいことがあるが、そもそもデータがないとか、データの取得が難しいなどのケースがありますね。また直近の顧客データはデータ化されているが、数年前のものは全部紙に書かれたデータという状況もあったりします。

失敗例としては、想像以上に人の印象を左右してしまったことがあるということでしょうか。数字の見せ方だけでかなり印象が変わってしまいますし、様々な因子が絡み合ってできているものを、人間がわかる範囲でデータを構造化することが多いと思います。最終的にはそれらを扱う「組織」、「人」に行き着くのかなと思います。

独立を考えている人へ。「まずは踏み出していくこと」

-独立しようという自信はどこから来ましたか?

糸島:

漠然とした自信というか、根拠のない自信がありました。独立するときは、事前に独立後の自分の事業イメージ、プランをドキュメント化してできたつもりになるんですが、結果、色々苦労しましたね。

特に、自分の事業がうまくいかないときは、ノマドとしての業務委託のお話をお受けするか、自分の事業を優先するかなど、判断のタイミングやバランスをとることが難しかったです。

-今後の働き方、ご自身の展望をお願いします。

糸島:

マーケティング関連の事業をしっかり立ち上げること。マーケティング×ITで新しい価値を創造しながらマーケットを作っていきたいと思っています。マーケティング×ITを活用し、暮らしを豊かにするサービスを創ることを目指しています。

特に歴史の長い産業分野において、データやITの活用が加速してきている段階で、まだまだ未成熟なサービスや業務が多く存在するなと感じています。その点を改善する自分なりの道筋が見えてきており、それらをサポートしていくことができればと思っています。

-最後に、ご自身のような「同時に複数社で働く」独立した働き方を勧められますか?

糸島:

独立を考えている方などにお勧めです。視野も人脈も広がりますし、安定収入にもつながります。それぞれ不安に思うこともあると思いますが、専門性の高いスキルであれば必要としてくれる会社は想像以上に多いと思いますので、まずは少しずつでも踏み出してみていただくのがよいと思います。

未来予測・経営改善のスペシャリストに聞いた、データの可能性とは

データから未来のヒントを得るとはどういうことなのか? マーケティングの現場でさまざまなデータと向き合ってきた糸島氏と、「すべてのデータに示唆を届ける」ための統計分析ツールを提供するサイカCEO平尾氏の対談では、プロフェッショナルのデータ分析への向き合い方について語られています。

※インタビューは、サイカのサイトから読めます。


専門家:糸島 求一

大学卒業後、広告代理店、インテリア小売、コンテンツプロバイダー、
グローバルファッションブランド等にてB to C向けのマーケティング一貫して従事。 2013年、株式会社ココチエを創業し、デジタルマーケティング領域をはじめ、不動産、小売流通、化粧品SPAなど、O2Oが求められる事領域において、戦略立案、分析、ツール導入・開発、業務設計などのコンサルティングを行う。
ノマドジャーナル編集部
専門家と1時間相談できるサービスX-bookを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。