注目ベンチャーの経営者やオピニオンリーダーをゲストに迎え、サーキュレーション代表の久保田が対談を行うイベント、CIRCULATION LOUNGE(サーキュレーションラウンジ)。

5月10日(木)に開催された第26回のゲストは、人材育成型紹介事業のヤンキーインターンを中心に、非大卒市場のリブランディングを行っている株式会社ハッシャダイ代表取締役久世大亮さん。弱冠20歳で起業し、24歳の現在も新たな企業戦略を見せ続ける久世さんと、「攻め続ける働き方」そして「生き抜く力」をテーマに語り合いました。

ゲスト:久世大亮さん

株式会社ハッシャダイ代表取締役。京都府山科出身、高卒。地元の不良友達4人を社会進出させるために会社を設立。そこでの成功を元に、非大卒全体に蔓延する機会格差・情報格差からくる選択格差を是正するため、株式会社ハッシャダイを設立。中卒・高卒といった、学歴や地方格差によって自分の可能性に気付けない「よそもの、ばかもの、わかもの」に、東京での職・食・住を無償で提供するヤンキーインターンシップを実施している。2018年3月、DMMグループと資本提携。

ファシリテーター:久保田 雅俊

株式会社サーキュレーション代表取締役CEO。学生起業や大手人材会社でのイントレプレナーを経て「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」をビジョンに株式会社サーキュレーションを創業。ビジネス領域のプロ人材を活用して企業の経営課題を解決するコンサルティング事業を中心に新しい働き方の価値観を創ることを推進している。

グレた若者が始めた、選択格差を埋めるためのビジネス

苦しさの渦中にいても、そのことに気づけない人たちがいる

久保田:久世くん、今日はよろしくね。

久世:こちらこそよろしくお願いします!僕、本当にこういう登壇とか苦手で…。今回は久保田さんとだから出させてもらいましたが、今までは全て取締役に代わりに出てもらってました…。緊張してます…。

久保田:そうだったんだね、ありがとう。
久世くんは今24歳で、とても若い経営者。マーク・ザッカーバーグがまだ32歳。世界市場を創って彼は資産600億円。若い経営者が時代を変えていく一方で貧富の差もより出てきていて、裕福なのは一部の若い人たちだけになっている。そういったところも含めて、20代がどう生きているかみたいなところを、今一番とんがっているというか、攻めている久世くんに本音を聞いていきたいと思います。すごく楽しみにしてたよ。

久世:久世と申します。僕の会社は「Choose Your Life」という言葉を掲げて、非大卒の就職市場を創っています。会社は現在二期目です。
僕は今24歳で、高卒です。正直あまり自慢できるような過去を持ってないんですけど、それは現在を頑張っていれば変えられるだろうと思っているし、そういう事業をやっています。「過去は現在の解釈」が座右の銘です。

久保田:自分自身はヤンキーなの?

久世:自分で言うのは恥ずかしいんですけど、グレてましたね。母子家庭で、仕事はずっと土木や飲食でした。そういう世界から逃げたくて大学に入学したんですが、3ヶ月で退学しまして。当時は既にあるものに面白みを感じられなかったんですよね。それなら自分が面白いと思えること、やりたいと思えることを自分自身の力でやってみようと。そう思って自身でやり始めたのが18歳ぐらいの時でした。

久保田:すごい人生を歩んでるね。でも面白いと感じられなかったところから、自分でやっていこうと思えたところが久世くんの強さのポイントだなと思う。辛いことや苦しいことはたくさんあったと思うんだけど、一番苦しかったのはいつだった?

久世:人から見たら、ずっと“苦しかった”と思います。でも、ずっとその中にいた自分からみると、正直あまりわからずに来たんですよね。今やっている事業は、そういう状況の人を外から「苦しそうだな」って見ている人にも、中にいて今まさに「苦しい」人にも、見た目ではわからないけど確実に存在している選択格差を埋めようというビジョンを掲げてやっています。

大きな可能性を秘めている、中卒・高卒者の就職市場

【サーキュレーションラウンジ第26回】久保田さん

久保田:正直、同じだけの素質を持っていても家庭環境や外部要因によって、仕方なく狭められてしまう未来があるのが事実だと思います。そういった社会構造から起きる課題に対して、真っ向勝負している姿が素晴らしいね。ヤンキーインターン事業を始めたきっかけは?

久世:類は友を呼ぶじゃないですが、僕の友達はいわゆる「ヤンキー」がすごく多かったんですよね。そのヤンキーたちに普通に地元にいるだけじゃ、わからない世界を伝えていくと、見違えるようにどんどん変わっていくんですよ。ヤンキーの子たちって何か心の淋しさを感じている子が多くて、それの発散場所が無いから、ちょっと悪さしてみたり、群れたりするんですけど、いざ本気で向き合うとなると最強なんですよ(笑)。そんな変わっていく仲間達を見て「あ、変わった、すごいな」という経験に味をしめまして。単純です(笑)。最初はビジネスとしてゴリゴリやっていたというよりも、ノリで楽しくやっていたら結構人が集まってきて、これなら東京に行ってやっていけると思ったので、東京に進出してきました。

久保田:本当に純粋に頑張れる子が多いよね、ハッシャダイのメンバーたちを見ていても本当に気持ちの良い子ばかりで。共通点は目がキラキラしてるところ。居場所を見つけられたんだなと。そういう居場所を創ってあげていることが価値だよね。僕はプロ領域を手がけていて、久世くんとは全く異なる領域なので、すごく興味がある。非大卒の市場はすごく大きい。皆さんも地元を見渡すと必ずと言っていいほど、いるじゃないですか、ヤンキー。でもそんな中でもこのままで良いのか悩んでいる子ってたくさんいて。そんな子たちは根が本当に純粋で良い子。コミュニケーション能力が高くていつも笑顔だったりする。そういう人たちが、一度いわゆる“一般的と言われる道”から外れちゃうと、今の労働市場になかなか復活できない構造になっちゃってるんですよね。もう一つは、生まれや家庭環境が悪かった時に実力だけでは這い上がれない構造。そこに希望を持たせることのできる久世くんのビジネスはすごく社会的意義があるよね。
中卒・高卒の方が起業することは普通にあるし、あとは企業側の受け入れニーズだね。どんどん活躍する人材が出てくれば、勢い増していくね。数年後にはもっと増えるだろうなって感じはするよね。

久世:そうですね。日本ほど育成に予算を割いている国はあまり無いですからね。企業は若い人材を欲しがるので、今後、市場としても可能性があるなって思っています。

挑戦する勇気は、「自分のできること」から生まれる

時流とやりたいことが合致したからこそ、新たな一歩を踏み出せた

久保田:次は、今日のテーマ「100年人生を攻め続ける働き方」と「生き抜く力」について。どう?攻め続けてるよね。

久世:そうですね、朝から晩まで、基本的に休まないですね。これが攻め続けていると言えばそうかと。

久保田:脳内のほとんどは仕事?

久世:今まではそうでした。ただ、最近は休むことの重要性を感じ始めたので、あえて休むようにしています。会社でも旅行手当みたいなものを創って、休みも自由に取れるようにしています。まずは僕が率先して旅行して、皆も行きやすいような雰囲気を心がけています。

久保田:非大卒市場という未開拓のマーケットへの挑戦を始めたのはなぜ?

久世:言い方が難しいんですけど、「タイミングだった」というのがありますね。リーマンショックの後だったら、僕がやってることはめちゃくちゃに叩かれるはずなんです。大学生の就職先を先になんとかしろって。今は、やろうと思ったタイミングが時流にすごく合っていました。
成功体験も失敗体験もあって、時流が合っていて、しかもやりたかったことだからやってみようって。でも、そんなに高尚ではなかったんです。全部後付けです。未開拓だと思ってなかったっていうのもありますね。次のビジネスを仕掛けるときには、多分そういうのをわかった上で、僕の中の未開拓の分野をやっていくと思います。

久保田:知らないことの強さを感じるよね。あと運も味方につけている。はじめはそこまで意識していなかったところから、ビジネスとして、「これだ」と思えた瞬間はいつだったか覚えてる?

久世:僕のやっていることって普通にビジネスとして考えたら儲からないんですけど、信用はすごく稼げるんです。「ありがとう」「ハッシャダイに出会えて人生変わった」っていう感謝がもらえることがすごく嬉しかった。あとは人が何かのきっかけで、見違えるくらい変化していくことに面白みを感じましたね。

自分にとって必要なこと、可能なことだけに意識を注ぐ

久世:いろいろ本を読んでいると、初期の状態は周りの99人がノーって言うことをやった方がいいってありますよね。僕は結構的を射ていると思っていて。

久保田:そうだね。皆が賛成するのは、誰もが必要性を感じているということだから、ビジネスとしては、既に先駆者がいることが多い。
久世くんって、一部のビジネスパーソンとして当たり前じゃないの?と思うような知識を全然知らないんですよ。笑っちゃいますけど、名刺を持つのも辞めていたりしてて。ただ、「そこ知らないの?」っていうところがあるかと思えば、金融施策とかはものすごく詳しく知っている。ファクタリングはどうだとか、バリエーションをこっちかけたほうがいいとか、どういうフラグ見据えていった方がいいとか。ものすごく語れるんですよ。
誰を相手にビジネスをしているとかは関係なく、深く追求したことから取捨選択していって、自分の中で必要じゃないことはやらないってスタンスだよね。

久世:やれる勇気って、自分にとって可能なことしか見ないとか、認めてもらえることだけする、みたいなところから生まれるのかなと。真面目に周りの人の助言を聞き続けるのって、どこかで不安になってくるじゃないですか。いつか自分の意見がなくなるというか、自分の“ブレない何か”が消えてしまうのではないかと。だから僕は全く聞かないんです。こういう風にお話する機会を避けているのも、いろいろ助言をもらったとしても、それを聞きたくないからなんです。
やれることだけ、僕の中で見ていることだけで進んでいこう、みたいな部分が以前はより色濃かったかもしれないです。最近はそれだけじゃだめだなと思ってますけど。でもなかなか変えられないポイントですね。

【サーキュレーションラウンジ第26回】久世さん

もっと大きなことをするための「攻めの姿勢」

DMMとハッシャダイの資本提携は、圧倒的な経験を得る手段だった

久保田:今回だから聞けることかなと思うので、ぜひ突っ込んで聞いてみたいんだけど、今、自分がDMMの会長の亀山さんと新社長の片桐さんといった方たちのすごく近くにいることに関しては、どんな面白さを感じる?

久世:買収の話とかもよく皆さんに聞かれます。「自分でやっといた方がよかったんじゃないか」とか。でも、僕の中では時短術というか。自分でやるよりも、もっと早いタイミングで大きなことを経験できるんじゃないか、という期待がありました。
亀山さんや片桐さんも、僕と同じような状況だったんです。もともと自分で創業した。それで、どうしてDMMに入ったんですかと聞かれたら、まずは惚れたというのが一つ目。それから、自分とすごく似ているんだけど、僕では亀山さんや片桐さんを超えられる気がしなかったんです。
だから一旦すごい会社の中に入って手腕を直に体感し、会得したら、もっと大きいことできるんじゃないかと思いました。そういう虎視眈々さを向こうも求めているし、こっちがそれを言ってもそれを受け止めてくれるだけなんです。「僕、数年後はスピンアウトします」って相談したりしても、「お前のやりたいようにやったらいいんじゃないの」って返ってくる。普通そんなこと言えないと思うんですよ。
僕も企業買収のディールをまとめたりするんですけど、自分の思い通りに動いてほしいという気持ち、すごく強いですから。それがお二人には無いんです。だったら、僕もこの場所を利用してもっと大きくなれるんじゃないかっていうのがありましたね。

久保田:久世くんが見初められたのは、亀山さんの大きな希望が二つあるよね。一つは君自身。もう一つはDMMの大きなリブランディングの絵として、若者層に向けたサービスが選ばれているところがある。そういう広告塔として、DMMブランドと一緒にやっていくことについてはどう思う?

久世:今、僕の会社は二期目にも関わらずテレビ出演や取材もありえないくらいいただいていて。「社会にとって良いことをしてる」って思える。一方で、DMMは若い人にしてみればすごい会社というイメージなんですけど、日本の古い体質からしたら、「アダルトコンテンツを作っている会社だ」と思われる。その上ではすごいリスクではありました。
ただ、この市場を創りたいと思った時に、時間が無かった。だからリスクという毒を飲んででも、若い子に影響力がある、自分が思った通りにできる会社で、もっともっと大きいことをしたいと思いました。

久保田:経験を買ったっていうことなのかな。決断した、って感じだね。

久世:そうですね。僕からしたら多分10億積んでも一緒に働けない人たちですから。
正直、お話をいただいてから、しばらくは危なそうだな、怖いなって思って断ってたんですけど、ニーズがここまで合致するか?って思えるくらい合致する部分もあって。今思うと、それで決まったなと思うところはありますね。

久保田:最初に言った「惚れた」っていうのは大事だよね。

久世:大事ですね。

ものごとを「線」で捉えれば、進むべき方向が見えてくる

久保田:最後のテーマ。「明日から作れる攻めの姿勢」、今日来てくれている方たちも何かしら日々挑戦をしていると思うんですよね。その人たちが、今日とは違う「攻めの姿勢」を創るとしたら、何を意識したら良いと思う?

久世:点じゃなくて線で見るということですかね。点だけで見るとその先が真っ暗ですが、線で捉えるとある程度先が見えて、戦略を立てられる。すると、全体的に攻めの姿勢になれると思います。

久保田:久世くんのコメントはお坊さんの話を聞いているみたいで、非常に内省的な気持ちになるね(笑)。

久世:すごく哲学的なのかもしれないですね(笑)。こういうのって、みんな耳障りのいい言葉が好きじゃないですか。僕は天の邪鬼なんで、その通りになりたくない。自分なりの言葉を探さなきゃいけないなって思うと、哲学的になります。
それもあって、人前で喋るのが苦手なんです。今日もいろいろ台本作ってもらったんですけど、どうしても言いたくなくて(笑)。作ってくれたことはすごくありがたいことなんですけどね。この通り自己紹介したら結構ウケるって言われたんですけど、全部無視しちゃいました。それも攻めの姿勢ということで。

久保田:凹むことはある?

久世:ありますね。今日も帰ったらきっと凹みますね。もっと喋れたんじゃないかって。

久保田:一番前向きな瞬間は?

久世:否定された時と、今自分が考えていたレイヤーとは全然違う高さの思考に触れた時にやる気になりますね。ツイッターとかでも名言botとかめちゃくちゃフォローしてます。

久保田:僕も名言は大好きだな。いいよね、自分の中で変換されて、整理されていく。

久世:そうですね、勝手に自分のいいように解釈できるので。それが結構前向きになれる瞬間ですね。

久保田:もうそろそろ時間ということで、後ろで運営メンバーが言ってるので。今日はこのあたりにしよう。素敵な話をありがとう。僕自身も今日は帰って反省することになりそうだ(笑)。

久世:緊張しましたが、良い機会でした。ありがとうございます!

【サーキュレーションラウンジ第26回】久保田、久世さん