今回は前回にひきつづき、日本でのHR Techの導入事例をご紹介します。今回は、日本でも積極的に活用されている代表的な採用SNSとその活用事例、そして、近年活性化しているユニークな転職サイトについて取り上げてみたいと思います。

株式会社メルカリ × LinkedIn

LinkedInは、海外ではすでによく知られたサービスで、転職市場が成熟しているアメリカでは、多くのビジネスパーソンがアカウントを持っています。日本では2011年にサービスが開始されました。LinkedInはビジネス用のSNSで、仕事を探す個人と人材を採用したい企業とが直接コンタクトを取ることができるダイレクトリクルーティングのシステムです。求職者は自分の学歴や職歴、現在の仕事などを公開します。一方、企業は自社情報を公開し、LinkedInを検索して気になる人材を見つけたら、直接スカウトすることができます。

フリーマーケットアプリ「メルカリ」を運営している株式会社メルカリは、海外との取引も多いグローバル企業であるため、英語が堪能でキャリア人材が多いLinkedInを採用しました。「他の媒体では出会うことが難しい層へのアプローチを考えた際、外せない選択肢のひとつでした」といっています。 LinkedIn のビジネスSNSとしての機能を重視して、スカウトよりもファンづくりに注力し、自社イベントへの招致を積極的に行っているそうです。求人ツールを、求人にとどまらず自社のブランディングにも活用した好例といえるでしょう。

LinkedIn:https://jp.linkedin.com/
参考:https://seleck.cc/194

株式会社マイネット × Wantedly

Wantedlyは、LinkedInと同じようにダイレクトリクルーティングを可能にするビジネスSNSです。求職者は自分のプロフィールを充実させておくことで、企業からのスカウトを受けることができます。予め希望職種などを登録しておけば、対象企業のアプローチだけを受けることができます。インターンシップにも力を入れており、応募をする前に企業訪問をすることもできます。募集要項は「求人ではなく、ラブレター」であるとし、想いを伝えて共感してもらう採用を目指すプラットフォームになっています。

ゲームサービス事業を行っている株式会社マイネットは、応募者とのつながりを可視化でき、応募者を一元管理できるのが便利だと、Wantedlyをかなり早い時期から利用していました。社員に応援ボタンを押してもらい、SNSへ積極的に拡散していったそうです。「候補者と会う前から共通のつながりを確認できるので、会うことに対する敷居が低かった」とのことです。会う前から親近感を醸成し、人間性にまで踏み込んだ採用が可能になる点が、ビジネスSNSのメリットの一つといえそうです。

Wantedly:https://www.wantedly.com/
参考:http://dojo.wantedly.com/post/90441736148/mynet

Facebookを最大限に活用して仕事を探す、switch

株式会社ネットマーケティングが運営するswitch(スイッチ)は、Facebook上で Web業界に特化したスカウト型転職サイト(アプリ)を展開しています。Facebookにログイン後、匿名かつ無料で登録ができ、企業からのスカウトを待ちます。スカウトが来て、気に入れば「この求人にいいね!」をクリック。これによりマッチングが成立し、お互いにチャットでコミュニケーションが取れるようになります。採用されると、Amazonギフト券がプレゼントされるという面白いサービスもあります。

公式サイト:http://switch.bz/lp/landing/

ITエンジニアがポートフォリオを作って転職する、Forkwell

Forkwell(フォークウェル)は、株式会社 grooves(グルーヴス)が運営するサービスです。エンジニアが自分の制作物やURLをポートフォリオとして公開し、各種SNSで拡散できるシステムです。ネット上にポートフォリオを公開し、他の人からの評価をたくさん集めることで、転職活動やスカウトに役立つツールにすることができます。また、「Forkwell Jobs」というITエンジニアの求人に特化したサイトがあり、両者を連動させることで効率的に求職・求人活動を行うことができます。

公式サイト:https://forkwell.com/

人工知能がベストマッチングを教えてくれる、Careertrek

Careertrek(キャリアトレック)は、大手会員制転職サイトを運営する「ビズリーチ」が運営する転職サイトです。人工知能を駆使して、その人に合った最適な仕事を探してくれます。30万人分のキャリア分析を行い、そのデータに基づいて、ふさわしい仕事を紹介してくれるサービスです。「今の仕事はどうも合わない」と思っても、いざ転職するとなると、どんな企業のどんな仕事に応募すれば分からないことがあります。まだキャリア形成途上で、自分の適性がよく分かっていない若い転職希望者向けに、AIがアドバイスをしてくれます。

公式サイト:https://www.careertrek.com/

まとめ

ビジネス特化型SNSは、人と人のつながりからよい人材を探しだすという、画期的なシステムです。現代のトレンドにマッチし、学歴や実績以外での判断ができるなど柔軟な採用が可能になるため、今後ますます利用者・利用企業が増えることでしょう。さまざまな工夫を凝らした転職サイトも増えており、転職市場はこれから活況を呈しそうです。次回は、「労務」の業務にフォーカスし、現状どのような課題があるのか、その課題をHR Techを導入することでどう解決できるのかについてお伝えします。

記事制作/神尾 マキ

ノマドジャーナル編集部
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