AIも人間のように学習している?
AIとは人工知能のことですが人工知能は学習しているというのをご存知ですか。学習していると聞くと皆さんが学校や職場で勉強している様子を思い浮かべるかもしれませんが、そのイメージとは随分と違います。ここでは人間はどのように学習するのか、一方、AIはどのように学習するのかについて説明します。
人間の学習の仕方は?
人間の学習には認識、記憶、思考の3つがあります。この3つを繰り返すことで人間は学習していくのです。これを効率よくできる人が「勉強ができる」と言われている人たちでしょう。ここでは、それぞれの項目について説明します。
1.認識すること
認識するとはどういうことかというと、人間の知覚に関する機能です。見てそれが何か分かるのは人間の得意な能力のひとつです。本来は「これは猫である」と認識するためには、膨大な量の情報が必要になるのですが、それを一瞬で判断できます。においや音も同じですよね。これが何のにおいか、これは何の音かなど瞬時に判断しています。もちろん間違うこともあるのですが、この能力は人間のすぐれた能力であり、学習に関わる重要な能力のひとつです。
2.記憶すること
人間は認識したことを記憶することができます。記憶することで学習した内容が蓄積されていき、成長していくことができるのです。ただ残念ながら人間の記憶は消えていったり、うすれていったりするものです。そういう意味ではAIには勝てない部分ですが、忘れることができるのも人間の能力ですね。いつまでもつらい記憶を残しておくと生きるのが辛いのが人間です。といっても学習に関しては記憶力が高いかどうかは重要な要素でしょう。
3.思考すること
思考するとは認識した情報や記憶から結論を導き出す作業です。「AだからB」という論理的思考が代表的な思考方法ですが、人間の場合、誰しもが同じ結論になるわけではありません。逆に言えば誰しもが同じ結論になるようなことは人間よりもコンピュータが得意です。同じAというインプットがあってもBというアウトプットが人によって違うのが面白さであり、人間のオリジナリティーになるでしょう。学習においても知識の応用部分についてはこうした能力が問われます。
AIの学習の仕方は?
AIの学習の仕方は人間の学習と違います。人工知能と言っても人間の持っている知能とは違うのです。ここではAIがどのように学習するのか、その学習の仕方の発展の歴史をふまえて説明します。
1.機械学習
まずAIの進化の歴史で重要なのが「機械学習」です。「機械学習」とは膨大な量の知識をコンピュータに学ばせる方法です。人間があるデータの特徴を入力しておけば、膨大なデータの中からその特徴にあったデータを抽出してくれます。この技術は確かに優れているのですが、人間がその判断の基準を入力しなければいけないので、その判断基準が分からない場合は、こちらの技術が活用できませんでした。
2.ディープラーニング(深層学習)
「機械学習」をさらに発展させたのはディープラーニング(深層学習)です。これは人間が判断の基準を入力するのではなく、自ら判断の基準を見つけていきます。例えば猫を猫だと認識するためには、これまで耳の形、鼻の形、色などを教えておく必要がありましたが、ディープラーニングによって膨大な猫の写真を見せることで自らその共通点を発見できるようになったのです。こうした技術があれば、例えば人事採用してきた人たちのデータをコンピュータに認識させることで、その判断基準を明確にすることができます。これまであいまいであった基準が人工知能を使うことで明確になるのです。
3.深層強化学習
最近、ニュースにもなりましたが、「アルファ碁」が人間に勝ちました。これは前述したディープラーニングに「強化学習」を組み合わせた結果です。「強化学習」とは正解を得た時に報酬を出す仕組みです。そのため、AIは碁で高い報酬を得るために最適な手を常に学習するようになったのです。ご褒美を与えて、勉強してもらうのは人間と同じ部分でもあって面白いですね。
人間の優れているところ、AIの優れているところ
人間とAIの大きな違いは思考部分でしょう。AIの場合は膨大なデータの中から共通点を見つけ、判断していくのですが、あくまでもデータに基づいています。人間の場合、その判断が一見すると不合理にも見えることがありますが、その方がうまくいくこともあるのです。こうした判断の違い、判断の不合理さ、つまりは判断の不十分さが人間の強みなのかもしれません。これはとても面白いですよね。
自分の考えを大切にしよう
AIよりも人間の優れている部分は認識と思考の部分です。ただし認識の部分は今後AIが進化していくと、その差はかなり縮まるでしょう。しかし、人間らしい発想、不合理な発想、面白い発想は人間にしかできないことです。特にあなたの面白い発想は人間の中でもあなたにしかできないことです。常になぜそうなるのか、自分ならどう考えるという考える訓練をするようにしましょう。それが人間にとってとても大切な学習なのです。
記事作成/ジョン0725