みなさんは「アクティブラーニング」という言葉を聞いたことがありますか。最近、教育関連の記事にはよく出てきますので、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。ただその具体的な意味までは分からない人も多いかと思います。そこでここではアクティブラーニングの意味から、さらにその効果と課題についてご紹介します。

アクティブラーニングってどういう意味?

「アクティブラーニング」とはどのような意味なのでしょうか。「アクティブ」を「活動的」と考えてしまうと、体を動かすことをイメージしがちですが、実際には「アクティブラーニング」は「能動的学習」と訳します。文部科学省の資料によれば「アクティブラーニング」は「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」と定義しています。ではなぜこうした学習方法が必要なのでしょうか。

アクティブラーニングがなぜ必要なの?

「アクティブラーニング」がどのような学習方法なのかは分かりましたが、なぜそれが必要なのでしょうか。文科省としては、これまでの授業のように知識を得ることが授業の目的ではなく、「知っていることを使ってどのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」が重要だとしており、そのために「アクティブラーニング」が必要だとしています。確かにコンピュータの発展により、知識を覚えるということについてはコンピュータに勝つことはできません。その知識を活用する方法を考えることが人間に求められる能力でしょう。また、タブレットやパソコンが普及したことで、自宅でも楽しくを学習できる環境が実現できるようになりました。こうした環境の変化により、知識を覚えることは自宅で行い、それを活用するのが授業という流れの中で、「アクティブラーニング」が必要とされているのは間違いありません。

アクティブラーニングの効果は?

「アクティブラーニング」がなぜ必要であるのかというのは分かりましたが、では実際にどのような効果があるのでしょうか。ここでは「国立教育政策研究所」が行った「全国学力・学習状況調査」と「ベネッセ総合教育研究所」がまとめた「第5回学習基本調査」をもとに書かれた木村治生の論文をもとに紹介します。

1.学力の向上

「全国学力・学習状況調査」によれば、「児童生徒が学級やグループで課題を設定し、その解決に向けて話し合い、まとめ、表現するなどの学習活動」をした学校の児童の方が平均正答率が大会という傾向が分かります。つまり知識を使うことで、知識が定着し、より点数を取ることができるという傾向が見られたということです。これは「アクティブラーニング」の効果の一つでしょう。

2.教科を好きになる

ベネッセの調査結果に基づき、木村治生が「アクティブラーニング」と教科の好き嫌いについてまとめています(「小学校・中学校・高校における「アクティブ・ラーニング」の効果と課題」)。そのデータによれば「アクティブラーニング」を多く実施している生徒たちの方が、実施するのが少ない生徒たちに比べ、その教科を好きだという割合が高いと分かります。単に知識を覚えるだけの授業よりも、友達と話しあったり、調べたりする授業の方がその教科を好きになる可能性が高いと言えるでしょう。

3.興味・関心が広がる

また、木村治生は「アクティブラーニング」と興味・関心についてもまとめています。それによれば、「アクティブラーニング」がその教科に興味や関心を持つきっかけになることが分かります。確かに不思議なことや面白いと思うことを調べることで、その教科に興味や関心を持つようになるのは確かでしょう。教室でただ知識を覚えるよりも不思議なことを調べたり考えたりする方が楽しいですよね。

アクティブラーニングの課題は?

「アクティブラーニング」の効果について述べましたが、その課題はどのようなものがあるのでしょうか。ここでは「アクティブラーニング」の課題についてご紹介します。

1.学校によって実施率に差がある

「アクティブラーニング」は学校によって実施率に差があります。積極的に実施しているところもあれば、していないところもあります。こうした差をどのように縮めていくのか、その効果も含めて、しっかりと各学校に伝えていく必要があるでしょう。

2.先生によって差がある

同じ学校でも先生によって差があります。各先生によって教え方が変わるのは仕方がありませんが、「アクティブラーニング」の効果は認められているのですから、先生によってその実施率が異なるのは問題です。「アクティブラーニング」をどのように行えばよいか、それはどのような効果があるかなど先生間の共有が必要でしょう。

授業法の確立を!!

「アクティブラーニング」という言葉が先行してしまい、実際に現場でどのように行えばよいか手探り状態でもあります。そのため「アクティブラーニング」を使った授業法というのをしっかりと確立する必要があるでしょう。そしてその結果として、子どもたちが知識を使えるようになって欲しいですね。

記事作成/ジョン0725