首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのような事業展開を進めるべきなのか、北海道札幌市に住む筆者が北海道で開催された「地方創生」に関するイベントのレポートを行っていきます。
11月17日・木曜日に、札幌市内で開催された「米国ビジネスセミナーin札幌」。これは、ジェトロ北海道が主催、在札幌米国総領事館、経済産業省北海道経済産業局が共催で開催されたセミナーで、外資流通大手のコストコホールセールジャパン株式会社の日本支社長ケン・テリオ氏の講演会もあるということで予定を超える100名近い聴衆が集まりました。
(※ジェトロ=JETRO/日本貿易振興機構)
その中で、テリオ氏のほか同領事館首席領事のレイチェル・ブルネット-チェン氏、ジェトロ・ロサンゼルス事務所の能勢凱夷氏、ジェトロ・ニューヨーク事務所のアンソニー・ガレフィー氏もそれぞれの担当分野について講演を行いましたので、その模様をレポートします。
今回は、ジェトロ・ニューヨーク事務所のアンソニー・ガレフィー氏の講演の様子・後編です。
日本の食品は「すべてユニーク」
ガレフィー氏はアメリカ人のサンドイッチ好きに注目。一人当たりのサンドイッチ消費量は、年間193個。ガレフィー氏曰く「サンドイッチに使う食材を扱っている日本商社は「今すぐアメリカに進出するべき」と熱弁するくらいポテンシャルがあるようです。
またアメリカ人がカロリーを摂っている食品トップ3は「パン・クッキー・ケーキ」ですが、アメリカのそれらの商品よりも日本の商品の方がおいしい(ガレフィー氏の意見)ので、この分野でも攻めるべきだと語りました。
その中で「割と安く 割と良く 割とユニーク」が食品のヒットの要素で、日本の食品はすべてユニークであると考えられています。「シンプル原料」とカテゴライズされている食品の中で注目されているのが「黒にんにく」「冬みかん」「椎茸」など。キノコは大ヒットしているのですが、韓国からの輸出が多いのだとか。
そして今大爆発しているのがケール。2007年にCSAボックス(農家直売の福袋のようなもの)にケールが入ったものの、購入した人がどう食べたらいいのかわからず混乱を引き起こしました。その後雑誌で特集されたり、レシピ本が出たりして大人気に。これは、アメリカではちょっとしたユニークさがあればブレイクする可能性が高いということを証明しています。これは日本の食材にも「隙間に入るチャンス」がたくさんあるということです。
そのまま持ち込むのではなくアレンジをする
日本には「コンプレックス原料」にカテゴライズされるサラダドレッシング・麺類にも可能性があり、「RTC(Ready to cook)」にカテゴライズされる冷凍食品、「RTE(Ready to eat)」(消費に比べて宣伝費が投入されていることが特徴)にカテゴライズされるスナックやアイス、乾きものなどもブレイクするのではとガレフィー氏。ただ気を付けないといけないのは、今のアメリカ市場のトレンドである「No MSG(化学調味料不使用)」にする必要があることです。
アメリカで「売れる商品」を作るには、日本で販売しているものをそのまま持ち込むのではなく、アメリカ流にアレンジすること。ポテンシャルは世界でも屈指の日本の食材ですから、一工夫加えて自信を持って進出すべきだということです。
そしてアメリカで大切なのは、自分が責任をもって売り込むこと。もちろんブローカーや商社は存在しますし流通には欠かせませんが、最終的に責任を取るのは自分たち。良い商品を作って、自分たちで営業するという努力は必要不可欠になるということです。小売店に入り込みたければ、小売店から攻めていってその可能性を感じた商社などが自然についてきます。
ガレフィー氏は「トランプ氏がアメリカをグレイトにすると言っていますが、私は日本の食材のグレイトさを知っていますので、日本の皆さんがアメリカに進出していくことを期待しています」と締めくくりました。
取材・撮影/橋場了吾(株式会社アールアンドアール)
同志社大学法学部政治学科卒業後、札幌テレビ放送株式会社へ入社。
STVラジオのディレクターを経て株式会社アールアンドアールを創立、SAPPORO MUSIC NAKED(現 REAL MUSIC NAKED)を開設。
現在までに500組以上のミュージシャンにインタビューを実施。
北海道観光マスター資格保持者、ニュース・観光サイトやコンテンツマーケティングのライティングも行う。
専門家と1時間相談できるサービスOpen Researchを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。