首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのような事業展開を進めるべきなのか、北海道札幌市に住む筆者が北海道で開催された「地方創生」に関するイベントのレポートを行っていきます。

今回は、一見「地方創生」にはつながりがなさそうですが、日本にとっては大きな影響を及ぼす可能性が高いテーマを扱ったセミナーをレポート。

11月8日に決まる第45代アメリカ合衆国大統領。バラク・オバマ大統領の後任として、共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のヒラリー・クリントン氏を中心に熾烈な選挙戦が繰り広げられていますが、10月13日・木曜日に、札幌国際プラザ(札幌市中央区)にて興味深いセミナーが開催されました。在札米国総領事館のジャスティン・トール総務・経済・領事部担当領事が、「アメリカ大統領選の見どころ」と題して、知っておきたい大統領の予備知識を1時間半弱に渡って講演しました。

被選挙権の「14年以上アメリカに住んでいること」の意味

4年に1回の大行事ということで、北海道でも大きな興味を持たれている選挙。定員50人のところ100人近い応募があり、多くの聴衆が詰めかけました。ちなみに、札幌国際プラザと在札米国総領事のコラボレーションイベントとしては最大の動員となるほどの盛況ぶりでした。

まずは、アメリカ大統領選挙の概要からスタート。アメリカの建国時の目標は「州と中央政府とが権力を分け合う」「言論と表現の自由」「個人の自由」「国の結束」などでした。それを実現するための大統領選挙の被選挙権は「アメリカ生まれの市民」「35歳以上」「14年以上アメリカに住んでいること」のすべてを満たす人に与えられます。

なぜ「14年以上住んでいる」ことが求められるのか。アメリカは移民が中心に建国された背景を持つことから、それ相応のアメリカ市民としての経験が必要とされるからです。また、副大統領選も同時に開催されますが、その被選挙権は大統領の3条件に加え「大統領と違う州の出身者」であることが求められます。もちろんこれは、権力の地域集中を防ぐためです。

大統領選挙では、アメリカ市民は2回投票します。まず予備選挙で、総選挙に出馬する候補者を決め、その後に本選挙(4年ごと、11月の第2火曜日)が開催されます。

選挙人団と「勝者総取り」の関係性

ここで日本の選挙との大きな違いが説明されました。日本の場合は国民が国会議員を選び、国会議員が首相を選びますが、アメリカの場合は国民が選挙人団を選び、選挙人団が大統領を選ぶというシステムが採用されています。そして、アメリカは「勝者総取り」という、勝者がその州のすべての選挙人を獲得できます。

このシステムがあるので、アメリカ大統領選挙でポイントになるのは「選挙人団」です。州と中央政府が権力を分け合う方式として考えられたものですが、選挙人団は全部で538人いるので、270人以上の選挙人団を獲得すると過半数というわけです。

アメリカでは「誰が勝ったか」はもちろん、「どうしてその人が勝ったか」が重要視されるので、出口調査が人気を博しています。この出口調査で、アメリカ市民が今回の選挙に求めている傾向がわかるからです。とはいえ、メディアの報道だけで判断するのは危険で、トールさんは「隣人との会話も重要」と話していました。

(後編へ続く)

取材・撮影/橋場了吾(株式会社アールアンドアール)

ジャスティン・トール

1973(昭和48)年、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。
2015(平成27)年8月に札幌に着任前は、
フィジー共和国の首都スパの領事やアメリカ国務省本省のアフリカ担当国務次官補の
スタッフアシスタントなどを歴任。
国務省入省以前は、パイロットして米空軍に従軍していた経歴も持つ。

【専門家】橋場 了吾
同志社大学法学部政治学科卒業後、札幌テレビ放送株式会社へ入社。
STVラジオのディレクターを経て株式会社アールアンドアールを創立、SAPPORO MUSIC NAKED(現 REAL MUSIC NAKED)を開設。
現在までに500組以上のミュージシャンにインタビューを実施。
北海道観光マスター資格保持者、ニュース・観光サイトやコンテンツマーケティングのライティングも行う。

ノマドジャーナル編集部
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