首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのような事業展開を進めるべきなのか、北海道札幌市に住む筆者が北海道で開催された「地方創生」に関するイベントのレポートを行っていきます。

今回は、11月8日に本選挙が行われる第45代アメリカ合衆国大統領選挙についてのレポート。バラク・オバマ大統領の後任として、共和党のドナルド・トランプ氏と民主党のヒラリー・クリントン氏を中心に熾烈な選挙戦が繰り広げられていますが、10月13日・木曜日に、札幌国際プラザ(札幌市中央区)にて興味深いセミナーが開催されました。在札米国総領事館のジャスティン・トール総務・経済・領事部担当領事が、「アメリカ大統領選の見どころ」と題して、知っておきたい大統領の予備知識を1時間半弱に渡って講演。

地方創生には関係がなさそうに見えますが、意外なつながりがありました。

二大政党制が確立している理由

現在のアメリカは、政治状況への不満・政治家への信用の低下が顕著になっていることからも今回の選挙は注目されていますが、第三党の影響はどのようなものなのでしょうか?

アメリカで二大政党制が強い理由は、小選挙区制では1選挙区で1政党しか勝てないこと、そして共和党と民主党が幅広い政策で支持を集めているからです。

例えば、A党(保守)の投票率が45%、B党(リベラル)の投票率が40%、第三党の支持率が15%だとします。この場合A党が勝利するわけですが、第三党の支持者の内訳が「保守3%、リベラル12%」で保守が48%、リベラルが52%になったとしてもA党が勝ってしまうので、第三党を支持することにリスクがあるというわけです。

また、力の均衡も注目すべきポイントです。大統領(オバマ氏は民主党)と上院の多数党、下院の多数党(現在はともに共和党)がバラバラになると連邦議会との緊張も生まれます。この議会との関係も、大統領選挙に大きな影響を与えるものです。

大統領が変わる=大使が変わる可能性が高い

講演終了後、トールさんにインタビューすることができました。

Q:アメリカ大統領選挙が、地方都市に与える影響はどのようなものがあるとお考えですか?

「まず、日本でこれだけアメリカの大統領選が注目されていることにびっくりしました。こんなに集まってもらえると思わなかったので緊張しました(笑)。大統領が変わると、大統領が指名したスタッフが変わります。その中には駐日大使も含まれているので、キャロライン・ケネディ大使が変わる可能性は高くなります。大使が変わると、その大使の興味のある文化やビジネスが変わるので、地方との交流の仕方や優先順位が変わることが予想されます。政治的な関係性は、あまり表に出てくるものではありません」

Q:トランプ氏やクリントン氏に関しては、政治的な部分以外のトピックにも注目が集まっていますね。

「それは、大統領選に勝つための発言かどうかを見極める必要がありますね。さまざまなメディアの情報を集めて、総合的に判断することで誰が大統領にふさわしいかを深く考える必要があると思います」

Q:トールさんが札幌にやって来たのは2015年8月ということですが、1年ちょっとの都市・札幌の可能性は何か感じられましたか?

「私はカリフォルニア出身ですが、実はスキー場もあるのでウインタースポーツが大好きなんです。北海道のスキー場のパウダースノーは、信じられない素晴らしさです。それとスープカレー、ジンギスカンは最高ですね。パウダースノーとこの食べ物に関しては、札幌が世界に誇れるものだと思います」

取材・撮影/橋場了吾(株式会社アールアンドアール)

ジャスティン・トール

1973(昭和48)年、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。
2015(平成27)年8月に札幌に着任前は、
フィジー共和国の首都スパの領事やアメリカ国務省本省のアフリカ担当国務次官補の
スタッフアシスタントなどを歴任。
国務省入省以前は、パイロットして米空軍に従軍していた経歴も持つ。

【専門家】橋場 了吾
同志社大学法学部政治学科卒業後、札幌テレビ放送株式会社へ入社。
STVラジオのディレクターを経て株式会社アールアンドアールを創立、SAPPORO MUSIC NAKED(現 REAL MUSIC NAKED)を開設。
現在までに500組以上のミュージシャンにインタビューを実施。
北海道観光マスター資格保持者、ニュース・観光サイトやコンテンツマーケティングのライティングも行う。

ノマドジャーナル編集部
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