首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのような事業展開を進めるべきなのか、北海道札幌市に住む筆者が北海道で開催された「地方創生」に関するイベントのレポートを行っていきます。
11月17日・木曜日に、札幌市内で開催された「米国ビジネスセミナーin札幌」。これは、ジェトロ北海道が主催、在札幌米国総領事館、経済産業省北海道経済産業局が共催で開催されたセミナーで、外資流通大手のコストコホールセールジャパン株式会社の日本支社長ケン・テリオ氏の講演会もあるということで予定を超える100名近い聴衆が集まりました。
(※ジェトロ=JETRO/日本貿易振興機構)
その中で、テリオ氏のほか同領事館首席領事のレイチェル・ブルネット-チェン氏、ジェトロ・ロサンゼルス事務所の能勢凱夷氏、ジェトロ・ニューヨーク事務所のアンソニー・ガレフィー氏もそれぞれの担当分野について講演を行いましたので、その模様をレポートします。
今回は、レイチェル・ブルネット-チェン氏の講演会のレポートです。
日本の投資がアメリカにもたらすメリット
在札幌米国総領事館には3名の領事がいますが、その中の首席領事がレイチェル・ブルネット-チェン氏。ブルネット-チェン氏は今年8月に着任、これまで台北・ワシントンDC・北京・東京で勤務、特にアジアでの経験が豊富な人物で、「米国市場の概況について」というテーマで、20分ほどの講演を行いました。
まずは先日の大統領選の話から。「これからの日米関係が、ドナルド・トランプ氏が大統領になることで不安に思っている人も多いかもしれません」と切り出したブルネット-チェン氏ですが、「まさに今日、安倍首相とトランプ氏が会談しますので、この先どのような関係が構築されるのか期待したいと思います」と話しました。
つぎになぜ日本の投資がアメリカにとっていいことなのかという話。アメリカ国内にある日本法人で働くアメリカ人は80万人。例えば、ネブラスカ州にとって日本は第3位の貿易相手国で、15もの日本法人が進出しています。日本の強みである製造業の投資が多いのですが、注目したいのは食品の33億ドルだといいます。パーセンテージとしては低い食品への投資ですが、今のアメリカのマーケットを考慮するとその将来性が見えてきます。
というのも、アメリカのマーケットの魅力は、GDP(国内総生産)が世界トップであること、エネルギー・電気コストが安いこと、そして在米子会社を輸出拠点としてグローバル展開できることなどです。特にグローバル展開ができるということは、それだけマーケットの拡大につながるということです。
「クールジャパン」は製品や食品にも
ブルネット-チェン氏は先日SNSで「Bento Box」…弁当箱の広告を見つけました。このような伝統的な日本製品が、アメリカのフィルターを通して「クールジャパン」の一端を担っていることを紹介。そのほか「UMAMI(旨味)バーガー」や「ORIGAMI(スターバックスのインスタントドリップコーヒー)など、日本語をおしゃれに使用することがマーケティング的に良い印象を与えているということです。
また健康志向のアメリカ人には日本食が大人気、「Healthy Japanese Food:The Key to Longevity is Washoku(日本食が長寿の鍵)」というようなコピーも使用されています。
そのような中、2011年にスタートしたのが「SelectUSA」。オバマ大統領がスタートさせた、日本からのアメリカへの投資促進プログラムです。同領事館が特に力を入れているのが、グローバル人材の育成。現在、多くの日本企業からの相談を受け付けているとのことです。
(後編へ続く)
取材・撮影/橋場了吾(株式会社アールアンドアール)
同志社大学法学部政治学科卒業後、札幌テレビ放送株式会社へ入社。
STVラジオのディレクターを経て株式会社アールアンドアールを創立、SAPPORO MUSIC NAKED(現 REAL MUSIC NAKED)を開設。
現在までに500組以上のミュージシャンにインタビューを実施。
北海道観光マスター資格保持者、ニュース・観光サイトやコンテンツマーケティングのライティングも行う。
専門家と1時間相談できるサービスOpen Researchを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。