【連載第5回(全7回)】

本格的な利用が期待される仮想通貨「ビットコイン」。本連載では、仮想通貨・ビットコインを使った投資について、メリット・気を付けたいコトを株式・FX等にも精通する小田玄紀氏がわかりやすく解説します。仮想通貨や取引所の選び方は? 何をしたら得して、何をすると損する?仮想通貨投資への一歩をココから踏み出しましょう!

*本連載は2016年10月に発売した小田玄紀氏の書籍『1時間でわかるビットコイン入門』より、「ビットコイン投資の基礎」に関する解説を再編集・掲載しています。

小田 玄紀さん

株式会社ビットポイントジャパン 代表取締役社長。 1980年生。東京大学法学部卒業。大学在籍時に起業し、後に事業を売却した資金を元にマッキンゼー出身者らと共に投資活動を始める。「頑張る人が報われる」をコンセプトにして起業家や社会起業家の事業立上げ・経営支援を行う。株式、FX、債権などの投資にも精通し、仮想通貨取引にも携わる。2016年3月に上場会社子会社として初の仮想通貨取引所であるBitpointを立上げ、同社代表取締役に就任する。

ビットコインの価格は取引所によって少し異なる

現在、国内には10ほどの仮想通貨取引所がありますが、ビットコインを売買している人の中には、複数の取引所に口座を開いている人も少なくありません。
なぜそんなことをするのかというと、より安い取引所でビットコインを買い、それより高く売れる取引所で売る、という売買を行うためです。

実は、ビットコインの価格は取引所によって異なります。
株式投資では、どの証券会社で売買しても株価は同じですが、FXを含む外貨投資ではFX会社や証券会社など、金融機関によってレートが異なります。ビットコインも外貨と同じように、取引所によって価格が異なるのです。

取引所によって価格が違うのは、各取引所が、別の取引所の価格を見て、「うちはもっと安く売ろう」とか、「高く買おう」などとしているわけではなく、ビットコインの価格が需要と供給によって決まるからです。
買いたい人が売りたい人に比べて相対的に多いほど、価格は高くなります。取引所によっても、買いたい人、売りたい人のバランスが異なりますから、取引所によって価格が異なるというわけです。

ビットコインを安い取引所で買って高い取引所に送金

ここはいつも安い、といったことはなく、自然にいくらかの差が生じるだけで、今日のこの時間はたまたまA取引所が安く、あの時間はB取引所が安かった、という感じです。
したがって、C取引所がいつも安いからC取引所で買う、ということはできないのですが、価格差に注目して利益を得ることはできます。

具体的には、より安いところでビットコインを買い、高く売れる取引所を探し、その取引所にビットコインを送金。そこでビットコインを売る、ということです。これを「アービトラージ取引」(裁定取引)といいます。

それができるのは、ほとんど手数料がかからずに送金ができるからです。

手数料がかかってしまえば、そのコストを上回るだけの価格差がなければ利益が出ません。これはブロックチェーンの技術によって送金が安くできるビットコインの強みであり、送金手数料がほとんどかからないビットコインだからこそ、このような取引ができるのです。

基本的に、取引所による価格差は1BTCあたり何百円というほど大きなものではなく、何十円単位ですが、ほぼ手数料ゼロで送金できれば、それでも十分、リターンが得られるわけです。

たとえば、2016年9月某日では、買値が最も安かったのはB取引所で6万3199円。これを売値が高かったC取引所の6万4051円で売れば、852円の利益が得られます(手数料を考慮せず)。
わずかではありますが、これを1日2回、3回と行えば、利益が積み上がっていきます。
お小遣い稼ぎの感覚でアービトラージをするというのも、ありでしょう。

なお、仮想通貨取引所に口座を開く場合、一般的に口座開設手数料や維持手数料はかかりませんから、コストを気にせず、複数の口座を持つことができます。

(次回へ続く)

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