コンサルティングでの経験を活かし、株式会社スタディストにて、マニュアル作成・共有ツール「Teachme Biz」を開発。広報PRとマーケティング、ユーザーサポート、営業等を担当しながら東京と福岡を往復しながら場所にとらわれない働き方を実践している豆田裕亮氏にお話を伺いました。

東京-福岡を行き来しながら成果を最大限発揮する秘訣

Q:まずはお仕事の内容を簡単に伺えますか?

豆田 裕亮さん(以下、豆田):

株式会社スタディストでは、「Teachme Biz」というマニュアル簡単作成・共有ツールを提供していて、私はその開発以外のすべての業務を担当しています。メインとしては広報PRとマーケティング、ユーザーサポート、営業、また企業とのコラボレーションなどです。

開発以外全部というのは、開発は開発の仕事に出来る限り集中してもらうためですね。現在、会社のメンバーは8人と少数ですが、弊社のサービスを導入していただいている企業は600社(2015/11現在)にのぼります。それを8人で回すために、徹底的に社内の業務効率を上げたり、外部のリソースをうまく利用しています。

私は基本、外出していることが多くて、毎日およそ2~3件アポがあって、お客さんのところに伺ったり打ち合わせに行ったりと、あまりオフィスにはいない状況です。かつ僕は福岡市民で、家族は福岡に住んでいるんですね。そのため、基本月のうち10日間くらいは福岡で過ごしていて、月の20日間、残りを東京で過ごしています。

Q:福岡市民なのに東京でそれだけ働くというのは驚きです。広報のお仕事やPRのお仕事を現在なさっていると思いますが、もともとそういうお仕事をされてきたのですか?

豆田:

元は製造業向けのコンサルティング会社にいて、自動車会社や自動車部品メーカーの設計や製造のコンサルティングの仕事をずっとやっていました。スタディストの創業メンバーが全員そこの出身で、全員、業務改善のプロだったというバックグラウンドがありますね。

もともとサービス開発をしたことのないメンバーだけで0からサービスを作ってきました。

なぜマニュアル作成サービスをはじめたのか?

Q:例えば、いろんな働き方がある中で、今のスタイルにこだわりを持っていらっしゃると思うんですが、創業から今のスタイルに落ち着くまでの経緯はありますか?

豆田:

もともと創業したとき、この「Teachme Biz」はまだ出来てませんでしたので、まず前職でやっていたコンサルティングの知識を活かして、同じように製造業向けのコンサルティングをずっとやっていました。それが社員6人で、月曜から金曜まで日中はすべて地方に出張するなど、顧客がいる現場にいることがほとんどで、社員に会わないんですね。その頃から、みんなノマドのような感じでした。

Q:現在のマニュアルサービスのアイデアはどこから生まれたのですか?

豆田:

コンサルティングのときに、現場の方々にシステムを入れた際にマニュアルをパワポやエクセルで導入するのですが、、その後、パイロットで少し動かしてから1ヶ月後や3か月後にマニュアルを直すのがというのが非常に面倒、時間がかかるなのです。あと現場の方々はパワポやエクセルに慣れていない事が多く、、どう直したらいいかわからないとか、そもそもスライドマスタってなんですかという所から始まる。そうなってくるとハードルが高すぎて、マニュアルの定期的な更新できないんですよね。

そのため、現場の方でも簡単にマニュアルができるツールがないときついよね、となんとなく感じていたのです。今の代表が起業したあとに、そういうものを作ろうかという話になり、合流しました。そのため、Teachme Bizは現場の困りごとが発端ではじまっています。

世の中のマニュアル作成の過程には無駄が多すぎる

Q:例えば世の中に100ページを超えるマニュアルが結構あると思うんですよ。必要な部分・不必要な部分もあると思うのですが、そういったものもご覧になると無駄なところをけずっていくことができるのですか?

豆田:

内容に関しては無駄がないです。作る作業に非常に無駄があるのです。レイアウトを考えたりとか、デザインや見栄えを考えるとか、ひとりひとりが考えることが無駄だと思っています。

内容だけに特化すればいいのに、人が作ったレイアウトを探したり、フォントの大きさを考えたり、カメラで撮影した画像を取り込んだりとか、いろんな無駄がいっぱいあるわけです。

仕事の「可視化」で業務改善に繋げる

Q:リアルタイムのアップデートを毎日というのも、一つのポイントですね。

豆田:

実際に作業をしている人がマニュアルを作ることに意味があります。外部の人が来てマニュアルを作るのであれば、マニュアルを更新するときにまた呼ばないといけないですし、本社の人にマニュアルを作ってもらったら、毎回本社の人に来てもらわないといけなくなる。現場のスピードに全然追いつかなくなってしまう。コストも時間も膨大にかかってしまいます。

そうではなくて、現場で主導して更新し、マニュアルというよりワークメモという感じで、日々のちょっとした気づきやノウハウをたくさん出していく。

業務改善に必要なことは、「可視化」だと思っています。業務を可視化することが必要で、その業務可視化のハードルが高かったのでなかなかできなかった。現場の人がスマートフォンで自分の作業を更新することで、「あいつこんなふうにやっているけど、俺がいいやり方を教えてあげようか」となったりする。そうすると、その人の稼働の効率も上がって、会社も全体的に良くなるしスピードもアップする。

Q:例えば大規模な小売業や飲食店でも、導入することで効率は上がりますか?

豆田:

もちろん、上がります。大規模店舗フランチャイズでは全店舗共通マニュアルを共有したうえで、各店舗ごとに微妙に異なる設備やレイアウトによるオペレーションの違いを現場主導で、ローカルルール的なマニュアルを作ってもらう。また、現場のオペレーションの可視化ができるので、良いオペレーションを他の店舗に展開しやすくなります。

会社規模にかかわらず、どこの会社も業務改善の流れは同じで、「可視化」して「標準化」して「マニュアル化」していくという形になります。

Q:御社にとって、マニュアルとはどういう位置付けになりますか?

豆田:

少人数でサービスを最大効率で回すための必須ツールです。

自分たちの会社の中でも、マニュアル作りを結構進めています。僕らは8人でTeachme Bizを回していますが、事務作業的なことはほぼすべてアウトソースしています。

事務作業は、埼玉県の主婦の方と三重県の企業に委託しています。ちゃんと業務の仕組みというか流れを作っておいてマニュアル化しておくと、場所によらないものであれば、遠隔地へのアウトソーシングすることができます。

Q:外部のリソースを上手く使える方法ですね。

豆田:

フルタイムで働くことができないけど、数時間なら働けるという方はたくさんいらっしゃると思っています。例えば、弊社の事務を手伝ってもらっている方は元SEで、作業スピードも素晴らしく早い。お子さんが小学校に行っている数時間と深夜に在宅で作業していただいているだけですが、かなり助かっています。

クリエイティブな仕事をする時間を作り出す

Q:最後に、会社自体が目指すところを教えていただけますか?

豆田:

会社のビジョンは「知的活力みなぎる社会をつくる」なので、つまりそれは「生産的でクリエイティブな仕事に集中しよう」ということです。

マニュアルで言えば、作に膨大な時間がかかる上に、更新も大変。さらには大変な労力をかけて作ったマニュアルが結局使われていなかったり。そんな「伝えること」に関するロスをなくしたい。そして、生産的でクリエイティブな仕事に集中できるようにしてあげたい。「マニュアル」はあくまで一つのフィールドで、ビジョンに準じることを他にもやっていきたいです。

Q:新事業のときも、スピード感が違いますよね。

豆田:

そうですね。新規事業立ち上げのときも、ちょっとしたノウハウとか残しておけば、後がラクなはずですから。

仕事には、クリエイティブな部分とマニュアル化できるルーティンの部分があるはずです。

広報手順などもすべてマニュアルにしてあるため、やるべきことが抜けていたといったことも防げます。また、最初から完成形を目指さないことも大事で、だんだんブラッシュアップしていけば、ある程度王道の流れになるということです。今後も、そういったものを、負荷をかけることなく社内に残していけたら、と考えています。

取材・記事作成/早野 龍輝
撮影/加藤 静

【専門家】豆田裕亮氏
株式会社スタディスト 執行役員 CMO
早稲田大学大学院理工学研究科卒。株式会社インクスにて大手自動車メーカーの設計製造コンサルティングに従事し、その後、2007年に同社経営企画室。2011年3月に株式会社スタディストに参画。Teachme Bizの広報・マーケティング・カスタマーサポートを担当。
ノマドジャーナル編集部
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