人事企画の業務は、採用計画と実施、人事研修計画と実施、人員配置計画、評価システムの⾒直し、給与関係など多岐にわたります。こうした人事企画業務に関するHR Techのサービスには、どのようなものがあるのでしょうか。代表的なサービスとその内容についてご紹介します。
Greenhouse(アメリカ)
◎概要
リクルーティングに関して、そのプロセスを最適化するためのシステムを提供している会社です。たとえば、採用企画に関しては、ある業務に最適な人材をリクルートするためにはどのような人材を探すべきか、スキルや職歴、資格などをリサーチし、一覧にして示します。
◎特徴
サービスの一環として、採用活動チーム内の役割分担などを効率的に行うことができるマネージメントシステムも開発しています。マネージャー、リクルーター、コーディネーター、ソーサーなど採用活動の各プロセスに携わるメンバーに対して、効果的な採用のために必要な日々の仕事のアサインなどを簡単に行えます。
◎メリット
採用活動の全体像を一度にチェックすることができるのがメリットです。採用企画から求人媒体の管理とパフォーマンスチェックなど、サービス内で一括管理できます。
公式サイト:https://www.greenhouse.io/
Namely(アメリカ)
◎概要
「The All-In-One HR Platform」というキャッチフレーズの通り、人事に関するさまざまな業務を一括管理できるサービスです。主に、中堅規模の企業が導入しており、世界20カ国以上で使用されています。Greenhouseなどと並んで、アメリカのHR Tech市場で大きく飛躍しているサービスです。
◎特徴
多岐に渡る人事の業務をシンプルにし、企業と社員それぞれが本業にフォーカスできるサポートを行います。360度評価で多面的かつ公正な評価を行い、人材をデータ化して効率的なチーム設計を行います。さまざまな分野について、必要に応じた人事プロファイルを作成します。
◎メリット
社員データがとても見やすく、プロジェクトメンバーの構成も顔写真入りで作成できるので、素早く適切な人員配置ができます。モバイル対応でいつでもどこでも使いやすいのもメリットです。
Glint(アメリカ)
◎概要
人事の中でも、「従業員エンゲージメント」に関するサービスを提供しています。
◎特徴
「従業員エンゲージメント」とは、社員が自分の働く会社に愛着を持ち、企業の描くビジョンを共有しながら、やりがいを持って働くことをいいます。これがないと社員のパフォーマンスが落ちて離職率も高くなってしまいます。Glintは、これを管理するシステムで、社員の精神状態や健康、モチベーションやパフォーマンスなどのデータを蓄積し、リアルタイムに把握して、必要なフォローを素早く入れます。
◎メリット
近年注目されている「従業員サーベイ(従業員満足度調査)」なども行うことができます。パルスサーベイと呼ばれる定期調査で、設問にいくつか回答させながら社員と会社との関係性に問題がないかをリサーチし、データ分析をすることができます。
公式サイト:https://www.glintinc.com/
jinjer(日本)
◎概要
国内で初めて、HRの分野でトータルのソリューションを提供したサービスです。リリース後1年で導入企業3,000社という実績がありますが、それだけ日本企業でもHR Techが望まれていたという証といえるでしょう。
◎特徴
社員にとって使いやすいようシステムの操作性・利便性を高めており、出退勤のタイムカードをスマホで押せる仕組みも構築されています。ユニークな機能としては「AIによるエンゲージメントアラート機能」があります。これは、社員一人一人の勤務状況をAIがチェック、少しやる気が落ちていそうだと判断した場合には、人事にアラートが送信されるというシステムです。知らないうちに状況が深刻になっていて、突然退職願を出されるといった事態を未然に防ぐことが可能になります。
◎メリット
すべての人事業務を一括管理できるのがメリットです。人事の業務は非常に多く、それぞれの業務が縦割りになっているケースも少なくありません。しかし本来、採用〜人材育成〜労務まで、一つの戦略のもとに行われるのが人事です。jinjerは、人事企画のようにトータルな戦略を練る部門に役に立つといえるでしょう。
Visier(アメリカ)
◎概要
各プロジェクトごとに、最適な人員配置をプランニングするサービスです。「Goodbye Tactics.
Hello Strategy.」(戦術ではなく、戦略を。というような意)のキャッチフレーズの通り、データベースを活用して、より大局的な視点から社員のスキルや能力を生かした人員配置を行うシステムです。
◎特徴
IT技術を活用して企業の人材をデータベース化し、最適な人材プランを作成します。適材適所の人材配置だけでなく、予算内で適正な人材分配ができるように調整することも可能です。また、採用活動を効率的に行うためのデータ分析なども行うことができます。
◎メリット
このシステムを使うと、従業員スケジューリングなど、リアルタイムでのワークフォース管理ができます。たとえば、誰かが急に病欠した場合も、最新のデータを見ながら代わりに誰を配置すべきか判断できるので、スピーディーな配分が可能になります。従来のエクセルシート管理のような煩わしさもありません。
まとめ
これまで人事の分野は、データ管理に不向きな業務とされてきました。ここに数値による分析や可視化、管理という考え方を持ち込み、人事業務より戦略的に行って企業の成長につなげようというのがHR Techです。次回は、人事企画の分野でのHR Tech活用事例を取りあげます。
記事制作/神尾 マキ
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