人事の仕事にはいろいろな業務があります。今回は「人事企画」業務にフォーカスし、現状どのような課題があるのか、その課題をHR Techを導入することでどう解決できるのかについてお伝えします。

◎人事企画の業務とは

人事業務の目的を定義するなら「人材を育て、適所に配置し、働きやすい環境を作って業績を上げ、企業組織を大きくすること」といえます。この目的を達成するために、人事企画・採用活動・労務・評価・人材育成の諸活動を行うのが人事の仕事です。

その中で人事企画は、人事に関する基本施策を企画・立案する仕事になります。人材教育システムを構築したり、その年度の採用方針を決めたり、評価基準・サイクルの見直しと改訂、報酬や人員配置の見直しなどを行います。わかりやすく言えば、社員が働きやすい環境を作り、企業活動をスムーズにするためのさまざまな施策を考え、作る大切な仕事といえるでしょう。人事企画には、その会社の企業風土や個性が出ます。人事企画が適切に動いていないと、社員のやる気や成果に影響し、退職者・転職者の増加につながることもあります。

こうした業務には、豊富な経験とスキルが必要になります。企業活動の要になる重要な仕事ですから、よい担当者がいるかどうかが鍵になります。しかし、担当者のスキルや能力に頼っていては、いつまでも安定した業務を行うことができません。そこで、HR Techなどのテクノロジーを活用して、安定的・効率的な業務を行うことが必要になります。

◎現状の人事企画の問題点

人事企画では、具体的に次のような点が問題になります。特に重要になるのが、各プロセスにおける公平性や効率性をいかに確保するかという点です。

<人事企画の問題点>

・効率的な採用活動が行われていない
・人材評価が適正に行われていない
・人材育成が効果的に行えない
・人事配置が適材適所ではない
・各部署間に人事に関する不公平が出ている
・経営トップと各部署間の調整がうまく取れない

◎HR Techで導入でできること

それでは、上記のような問題に対して、HR Techでどんなことができるのでしょうか。具体的に見てみましょう。

◎採用活動の効率化

採用活動では今、多様な媒体が活用されています。従来のような求人媒体への出稿だけでなく、自社媒体を使った求人やSNS求人などが盛んになっており、より戦略的に採用活動を行うことが求められています。そこで、HR Techを導入し、採用活動の各プロセスのデータを集め分析します。どの媒体にどの程度の応募者が集まったのか、そのうち内定まで至ったのは何人だったのかなどを集計しデータ化する作業は、テクノロジーの力を使ったほうが早く、正確にできます。さらに、集めた正確なデータを資料化し、それをもとにより効果的な採用戦略を練ることができます。

◎人材評価の適正化

終身雇用・年功序列型の日本企業では、人材評価はそれほどシビアではありませんでした。一定の勤続年数に応じて評価がなされ、昇進や給与が決められていたので、業績やスキルの評価を厳格に考える必要性が乏しかったのです。しかし、現代では、日本企業もアメリカ企業並みに人材の移動が行われるようになっています。転職・中途採用の途も広がり、グローバルにさまざまなバックグラウンドを持つ優れた人材を集める、いわゆるダイバーシティ(多様な人材の積極的な活用)が求められています。

こうした状況のもとでは、より客観的でスピーディーな人材評価が求められます。評価には公正さ、透明性が求められますし、リアルタイムな評価を行うことで、社員のやる気にもつながります。そこで、テクノロジーの力を借りて、より客観的で公正な評価を行う必要性が高まっています。

◎人材育成の効率化

人材育成を社内のマンパワーにだけ頼っていると、その社員が転勤・辞職したときに困りますし、誰の教育を受けたかによって能力やスキルにばらつきが出てしまいます。人材育成・社員研修は、いつ誰に対して行う場合でも常に一定レベルの教育を確保することが重要です。

近年インターネットを通じた各種教育サービス(eラーニング)が開発されるようになり、広く社外のサービスを活用する企業が増えてきました。英語やITスキル、資格取得講座など、社外の専門サービスを活用して、社員がより高度で安定的な教育を受けられるようにしています。

◎人事配置の適正化

従来、人事異動(配置転換)にはいずれの企業でも不透明な部分が多く、社員はどのような通達がなされても従うものとされてきました。しかし、本来人事異動は社員との合意に基づいてなされるべきもので、無理な人事異動を行えばストレスとなり、社員のモチベーションを下げて健康被害をもたらすことにもなります。

この点、テクノロジーを活用すると、適材適所の人事配置が可能になります。社員のキャリアや志向をデータ化し、配属先の上司との相性なども調べることで、どこに誰を配置すればよいのか、後任を誰にすべきかなどを客観的に判断することができるようになるのです。その結果、年功序列システムの中での慣例や人事担当社員の人的判断によらないことで、決定の公正さを担保し、社員が納得できる人事異動を実現することができます。

◎まとめ

「人事企画」業務は、企業の成長を支える人材に関する企画立案行う、非常に重要な仕事です。人材不足が深刻になればなるほど、企業規模が大きくなればなるほど、グローバル化すればするほど、重要性を増していきます。次回は、この人事企画の業務を支えるHR Techにはどのようなものがあるのかについてお伝えします。

記事制作/神尾 マキ

ノマドジャーナル編集部
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