起業を成功させるためには、一人の力では到底できません。そこで、優秀な人材を集めることが必要になります。最初は給与を支払うだけの余裕がないかもしれませんが、黒字化し、少しずつ利益が出てきた段階で、事業や志に共感してくれる仲間を見つけるべきです。

求人広告で集めるにせよ、友人や知人に会社に入ってもらうにせよ、人を雇うとなれば給料を決めなければなりません。そこで今回は、給与設定のポイントをお伝えします。

給料設定は意外と難しい

みなさんは会社で働いていて、毎月、給与をもらっていると思います。「もっと増えたらいいのに」とは思っていても、いったい自分の能力に見合う額はどのくらいなのか、と聞かれると悩んでしまうと思います。それが、他人であればなおさら難しいですよね。

また、創業時には人件費にかけられるコストがあまりありません。大学生の就職人気ランキングで毎年上位になる商社やメーカー、銀行など、大企業のようにたくさんの給与が払えないという厳しい現実があります。

しかし、人件費をケチってしまうのはNGです。やはり会社は、人が育てていくものです。大企業並みの給与を設定するのは無理かもしれませんが、大企業にはない魅力を打ち出しつつ、出せる限りの金額を提示することで、誠意は伝わるはずです。

平均年収よりも少し高めに設定する

では、どのくらいの金額ならいいのでしょうか。起業したばかりの会社は、当然ですが、知名度がありません。つまり勤めていることそのものが、ステータスにはならないのです。どちらかといえば、ベンチャーという言葉にマイナスのイメージを持つ人もいるでしょう。
そのため給与設定は、同業他社に比べて10%〜30%程度高くするのが望ましいです。たとえば大卒の初任給は20万円ほどに設定している企業が多いので、22~26万円にするといいでしょう。

定期昇給は設定しない

期待以上の成果を出してもらうには、より大きな責任を引き受けてもらい、成長してもらう必要があります。そこで、定期昇給は設定せずに、業績によってのみ賞与などで報酬を渡すようにしましょう。

「優秀な人材」にはいろいろな定義がありますが、向上心は大きな要素のひとつです。その芽を摘んでしまう可能性があるのが、定期昇給なのです。初期給料を高くして人材を得たら、成果報酬を設定することで、成長意欲をさらに増やすことができます。

ただし、成果報酬の設定にはポイントがあります。特に新卒者や若年層の場合には、規模や責任の大きなプロジェクトに率先して手を挙げて挑戦した場合には、結果のいかんに関わらず、積極性とチャレンジ精神に対して評価し、報酬を与えます。もし「失敗したらゼロ」という条件にしてしまえば、挑戦することにためらいや不安が生まれてしまいます。

スキルや職歴は無視して構わない

給料を設定する時、その人がもつスキルによって給料を変更しているケースがよくあります。もちろん、弁護士や医者など業務をするのに必須の資格については取得していることが大前提ですが、いわゆるビジネススキルや、どんな仕事の経験があるのかについては、考慮しないほうがいいです。

なぜなら立ち上げ時には、専門性よりも「なんでもやる」といった積極性の方が、よほど大事だからです。他に人材がいないので、なんでもやらざるを得ない状況下では、あなたが想定していないスキルが必要になる場面はたくさんあります。そこで「スキル(経験)がないからできません」というスペシャリストよりは、「やったことないけど、やってみます!」という人材がいたほうが、間違いなく役に立ちます。

また、やったことのない仕事を任されるというのは、任された本人にとっても、新しいスキルを身につけるまたとないチャンスにもなります。
面接の際はぜひ、「何ができるか」「何をやってきたのか」ではなく、「何をやりたいのか」に焦点を当てて、聞いてみるようにしてください。

記事制作/イソダ カツヤ

ノマドジャーナル編集部
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