起業すると、精神的にも相当な負担がかかります。想像以上にストレスが降りかかる毎日を過ごすため、最悪の場合うつ病に至ることも少なくありません。精神を健全に保つのも、スタートアップを成功させるために、重要な要素の一つです。放っておくと、どんどん精神をすり減らしがちな時期をどう乗り越えればいいのでしょうか。

そこで今回は、今後起業する人向けに起業時における「精神を健全に保つこつ」をご紹介いたします。すべての人に合うわけではありませんが、何か一つでも響くポイントがあるはず。ぜひ取り入れていただければと思います。

「失敗して当たり前」だと思う

起業する際、多くの人が「成功」という大きな夢を持っています。しかしその夢があなたの精神をすり減らす要因になりかねないのです。

夢を抱いている時は、どうしても「自分の思い通りになる」と考えてしまいがち。自分が失敗するなんて、1ミリも思っていません。特に、自己啓発書に触発されて起業に至ったような人は、この傾向が強く見られるように思います。自己啓発書には「失敗をイメージすると失敗する」なんて書かれていることも多いため、意識的に「失敗」を考えないようにすることもあるでしょう。

しかし現実とは非常に残酷なもので、起業してずっとうまくいくなんてことは絶対にありません。誰しもが大なり小なり失敗を経験します。もし「自分の思い通りになる」という気持ちを強く抱えたまま失敗してしまえば、心に大きなダメージを負うことでしょう。歴史に名を遺した偉大なる経営者も、誰一人として「無敗」の人はいません。すべからく失敗を経験しているのですから。必ずといっていいほどある「失敗」に負けないためにも、起業時から「失敗して当たり前」という心構えで臨むことをオススメします。

「上には上がいること」を受け入れる

たとえば、プロ野球に挑戦するのは、「今までずっと1位だった」選手ばかりです。自分の所属していた野球チームや地域では1位だった選手が一同に集います。しかし成功するプロ野球選手はほんの一握り。「今までは自分が1位だったのに・・・」と嘆いている選手は、星の数ほどいます。

起業もプロ野球の世界と変わりありません。会社でナンバーワンの売り上げだった人が、起業後は全然うまくいかないことは本当によくあります。「自分が一番だ」という確信を否定されることほど辛いことはありません。ですが、起業する際に「上には上がいる」という気持ちで臨めば、過度のストレスを受けることを未然に防げます。「自分が一番になる」なんて鼻息荒くしないで、社会に胸を借りるつもりで挑戦するのがちょうどいいのです。

「やらない」という選択肢に罪悪感を持たない

起業をする人の多くが、自己啓発書を好んで読みます。しかし起業時の荒波を超えてきた人ほど、自己啓発書には目を通しません。それは、なぜでしょうか。自己啓発書が、実情とは的外れのことばかり書いているからです。自己啓発書で紹介されている考え方をそのまま実践してしまうと、自分自身に過度な負荷をかけることになってしまいがちです。

とくに自己啓発書によく紹介されている「とにかくやる」という考え方は、危険極まりないと言えます。ビジネスの世界では一度の失敗が致命傷になることが非常に多く、慎重な選択を求められることばかりです。「とにかくやってみる」を実践して、再起不能の痛手を食うことも少なくありません。

また、いくら起業したばかりといえども、ビジネスの世界でそれ相応の知識と経験を得た人が起業しています。そのため、危険な選択肢には「これはやらないほうがいいのでは?」と直感で気づくこともありますが、自己啓発書では「とにかくやる」ことが正解のように書かれているため、「やらない」という選択肢に罪悪感をもってしまうのです。さらに、罪悪感から逃れたいという気持ちから結局やってしまい、再起不能の失敗をすることになりかねません。懸命な起業家ほど「やらない」ことの方が多いのが、真実です。直観で「やらない方がいい」と思ったのであれば、罪悪感を持たずに従ってみてはどうでしょうか。

「等価交換」を意識しすぎない

「10やったら10返される」。等価交換の原則です。いわゆる「やったらやった分だけ返ってくる」という考え方。しかし起業時に等価交換の原則は、適用されないことがほとんどです。やったらやった分だけ返ってくるなんてことは、なかなかありません。最初は、やってもやっても、何も見返りがないことばかりです。等価交換の原則を意識しすぎると、「こんなに頑張っているのになぜ結果が伴わないんだ・・」と思い悩んでしまうことにもなります。下手に精神をすり減らさないよう、等価交換を忘れて日々の業務に取り組むほうがいいでしょう。

まとめ

以上、起業時における精神を健全に保つポイントについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?起業にストレスはつきものですが、今回紹介したポイントを意識すれば、ストレス負荷も押さえられるはずです。

記事制作/イソダ カツヤ

ノマドジャーナル編集部
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