消費者のニーズや価値観が大きく変わり、市場自体も縮小している中、セオリー通りの戦略が機能しないと感じることはありませんか?

「努力はしているが、成果が出ない・・・。」
「頭では理解しているが、具体的にどうしたらいいのかわからない!」
「方向性やゴールイメージを見出せないからモチベーションを保てない・・・?」

こんな悩みを持っている中小企業やスタートアップ企業は多く存在します。経営陣は目標を掲げるばかり、現場は目の前の売上目標に追われるだけ・・・。
では、中小企業やスタートアップには大手企業に負けない独自の「強み」は存在しないのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。
そこには小さいからこそ優位に立てる独自の「強み」が間違いなく存在します。「強み」を理解し、活用することで、大企業にも十分対抗できるパワー(差別化要因)を秘めているのです。

本連載では、これから全12回にわたって、大手企業に比べ「人・物・金・情報」といった経営資源に課題を抱える中小企業、あるいはスタートアップ企業を対象に、基軸となる「マーケティング」と「ブランディング」の視点から効果を最大化させ、成果をあげる、実践型の方法・プロセスにフォーカスしてお伝えしていきます。

常に本質を意識しながら学ぶことで、きっと新たな「気づき」が得られるはずです。必要な手順、仕組み、仕掛けを理解し実行することで、仕事の「質」をあげ「時間」を確保し、新たな「ビジネスモデル創発」のきっかけになれば幸いです。

継続的に価値あるPDCAを何度も回し「経験×学習」でどんどん強みを育成していきましょう。やがて予想もしない化学反応(レバレッジ効果)が起きるはずです。

キーワードは「己の限界を知る」こと

経営においてまず押さえておくべき大事なポイントは、「経営資源が限られている」という事実。そこで重要になるキーワードが「己の限界を知る」です。

この短い言葉には、実にさまざまな意味が込められています。端的にいえば、「できることと、できないことをわきまえろ」ということ。徹底的に自分の可能性にチャレンジして、ここが限界だという場所を理解する。そんな努力と理解、行動が今後お伝えする戦略を実践していただく上での前提条件となります。

しかし、それらを理解した上で、さらに大事な要点があります。それは「限られたリソースの中で、いかに早く自分の適性を見つけ出し、そこに向かってチャレンジできるか」です。
これは、変化の激しい時代において、中小企業やスタートアップが常に意識していなければいけない絶対条件と言えるほど、重要な要点です。故に、それを可能とする「戦略」が必要とされているのです。

「強み」を理解し実践することの重要性

強いものが生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。

チャールズ・ダーウィン

今大企業が苦戦している要因は、変化激しい時代において、システマチックに動いていることにあります。そこで成功するには、今までのやり方から脱却し、新たな方向性を打ち出し、そこに向かおうとする変革力が必要となります。
しかし、その動きを迅速に違う方向に変えていくには、多大な時間と労力といったエネルギーを要します。

これに対し中小企業、スタートアップは、大企業が置かれた立場との優位性を認識し、小さいことをデメリットではなく、メリットとして、ポジティブにとらえることが大切です。

マクロの視点で見る、中小企業・スタートアップが持つ3つの「強み」

ここで、大企業にはない中小企業・スタートアップの強みについて、見ていきましょう。

①意思決定のスピード

現場と経営との距離が近いため、経営トップのリーダーシップが、そのまま事業のアクセルとなります。これは言い換えれば、変化に対し経営者の判断スピードが、ビジネスのスピードに直結するということです。

②変化対応力

大企業はいったん物事が進んだら、なかなか方向性を変えることができません。新規事業を立ち上げるにも、既存事業を廃止するにも、そう簡単にはいきません。ましてや雇用の問題も存在します。
しかし、中小企業やスタートアップは経営者の意識次第で、厳しい時は方針変更し、違う方向に走り出せます。仮に失敗したとしても、被害を最小限に抑え、リカバリーすることも可能です。

③ニッチな市場への進出

大企業は量を売らなければならないという宿命があります。そのため、万人向けの商品を作る傾向にあり、なかなか独自性のある商品は作れないものです。
一方、中小企業、スタートアップは商品を大量につくるほどの資金力がありません。その代わり、大手が狙わないニッチ市場への進出や顧客との関係性を強化することができます。

小さい会社でも、こうしたマクロの「強み」と自社独自の「強み」を融合することができれば、決して、大企業に負けることなく、互角以上の勝負ができることが理解いただけたと思います。

「どこからどのように手をつけ、推し進めたらいいのか?」

「売り上げを上げる」という大きな目標に取り組むということは、「何をすべきか」を考えるのと同義です。
自社の分析や業界の動向、顧客のニーズ、新たなマーケティング手法に最新ツール。さらには経営陣の意向に現場の不満、社内の組織体制と、考慮すべき要素は数多く存在します。

そんな中で、上述した優位性を強みに変えていくには、どのように戦略を練り上げ、どこから着手し、どうやって実現させていくのかという戦略プロセスの設計が必要となります。

実践のコツは、価値観ギャップの克服と目的にあり

ではなぜ、「立派な戦略を描いても成果がでない」のか?実は、戦略以前に重要な論点である「目的」と「目標」のステップを見逃しているからに他なりません。

「目的を達成したい」と考える成長過程で「気づき」のステップが高まると、問題解決に向かう糸口へと一気に近づくことができます。少し抽象的になってしまったので、わかりやすく説明をしてみます。

例えば、あなたが日常生活の中で「風邪をひいた」という問題に直面した時、どのような反応から「風邪」だと判断していますか。

①なんだかしんどい・・・調子が悪いな・・・
②うーん・・・これは病気なのかな・・・
③うーん・・・これは風邪かもしれないな・・・

人によって「風邪」だと判断する理由は異なります。風邪をこじらせやすい人は、③のように考え、すぐにこれが「風邪の症状」だと判断がつくでしょう。しかし、滅多にひかない人は①のように調子が悪いという段階から、なかなか風邪だと自覚できません。

これはつまり、その人が風邪に直面したことのある「経験と回数」によって、判断基準が変わってくるということを意味します。何を言いたいかというと、人によって、理解度や価値観にはギャップがあるということです。戦略を実行するには、こうしたギャップを理解して、誰もが共通認識を持たなければなりません。そのために必要なのが、一貫したマネジメント体制と、伝える術(スキル)です。

ここでまた、風邪の話に戻します。対処方法はさまざまですが、いずれの場合も、ゴールは「元気になりたい」のはずです。つまり、最終的な「目的」は、皆同じということです。

こうした各対処方法が、目的達成への「戦略」となります。なお、この戦略を現場が実行できるレベルに持っていくには、以下3つの要素が必要です。
①シンプルであること
②本質的であること
③行動に移せる指針があること

上記の内容でまとめた場合、理解度も価値観ギャップもギュと縮まってくるはずです。逆に言えば、目的達成に必要のない、民間療法はムダなのでやめましょう、ということです。

これからの経営者・リーダーに求められる資質

論理として戦略を立てられるだけではなく、事業を方向付ける旗振り役が今、求められています。
なぜかというと、戦略は最終的に意思を持って決断するため、決して論理だけで決着できるものではないからです。常に「こうありたい」「こうあるべき」という意思に伴った仮説を立てながら、行動や事実で裏付けを取り、周囲の納得を得る。そんな思考や行動によって、個人の意思が全体に広がり、やがて大きな動きを生み、成果へと繋がっていくのです。

この一貫した流れを「仕組み化」することで、他社にはない「独自の強み」を持ちつつ、持続的な成長を手に入れることができるはずです。

次回以降は、今回の内容を土台として、より具体的なテーマの本質に迫ります。考えるだけではなく、走りながら事業を変革・成長させていける内容をお届けします。

専門家:山口 貴光
大手アパレル企業4社で、ブランドの新規立ち上げ、百貨店のフロアプロデュース、
リブランディングなど、主に変革型の事業を中心に、プロジェクトの責任者を歴任。
独立後、株式会社レバレッジラボ- 研究所を設立。
http://leveragelabo.com
マーケティング・ブランディングを基軸とした実践型のメソッドで、
戦略立案から実働支援・事業プロデュースなど、これまで数十件の支援実績を持つ。

「個人が活躍する時代」を支援するビジネス創発メディア
『Leverage-Share』を事業化
個人から大企業まで、その道のプロが集う「アライアンスネットワーク」を構築している。
http://leverage-share.com

ノマドジャーナル編集部
専門家と1時間相談できるサービスX-bookを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。