前回は「コンテンツマーケティング」を実施するメリットを中心に扱いました。中小企業にとって経営資源の不足は大きな問題になります。しかし、

●良質なコンテンツの制作
●コンテンツを発信する場

の2つさえ整っていれば、すぐにでも実施できるコンテンツマーケティングは、中小企業にとっての新たな武器となることが分かりました。今回は、「メディアプランニング」という視点から、少ない予算でも、集客、認知・購入までの導線を設計するメディアプランニングの方法をご紹介していきます。

リーチ数よりもリーチする層をねらう!

大前提は、ターゲットとなる顧客に向けて、最も適切なタイミングで必要な情報を提供し、どのようにアプローチしていくかを決める事が「メディアプランニング」最大の目的です。

「たくさんの人に自社サイトや広告を見てもらいたい」。そう思うことも大切ですが、それよりも重要なのは「買ってくれそうな人」に見てもらうこと。この点に注力させて、ペルソナ(ターゲット)となる「層」をはっきりさせる事が、マーケティングを行う上で最も重要であると、今連載を通して、何度もお伝えしてきました。

企業側は、プロの視点であるのに対して、消費者は素人です。躍起になって、わずかな優劣の差や横並びのイベントで差別化をはかったとしても、消費者の目には、家電を探している人に食料品を勧めているような、全く的外れなものになる可能性さえありえます。現代の消費者の心を動かすためには、「その人のインサイトを理解して提供する」という捉え方が大事です。

更に掘り下げると「趣味趣向」や「価値観」を汲み取ったうえでのプランニングが必要です。そのためには、顧客の属性(既存・新規・潜在)に合わせたアプローチ方法をシナリオ化し、複数用意しておくことが役立ちます。

わかりやすく言えば、SNSユーザーが多い層にアプローチするのであれば、SNSを活用しない手はありませんよね。普段からあまりテレビを見ないユーザー層に向けてはどうでしょうか?そのような層に向けてテレビCMを流しても意味はありません。ネット広告など別の手段を検討する方が賢明です。

大切なことは、「届けたい相手」に情報を伝える仕掛けづくりなのです。どのような顧客に、どのような内容を、どのような媒体を活用して情報を届けていくのか。予め綿密な計画を練っておけば、無駄な経費をかけずに商品・サービスの魅力を知らせることができます。これが、「メディアプランニング」を行うメリットです。

メディアプランニングを始める前に知っておくべきこと

メディアプランニングを始める準備段階として、「顧客」の様々な心理段階を把握しておくことが役立ちます。
では、ここで問題です!以下の3人のうち、すぐにでも商品を買ってくれそうなのはどのお客様でしょうか?

・ユーザーA:巷で話題になっている商品なので、一度、実物を見てみたいと思っている
・ユーザーB:友人が持っているので、違う配色のものがあれば買いたいと思っている
・ユーザーC:迷っているので、店頭で実際の商品を見てから決めようと思っている

ここではおそらく、ユーザーBの購買意欲が一番高いと考えられます。違う配色のものがあれば「買いたい」と明言しているからです。次に確率が高いのはユーザーCです。試してみて良ければ(買うかも?)…という可能性があるからです。ユーザーAはどうでしょうか?「見るだけ」はしておきたい、という段階なので、購入するかは分からない状態ですね。

このように、顧客の欲求に様々な段階があることを理解できていれば、潜在顧客のマインドチェンジからゴールまでを一連の流れでイメージできます。実際に購買するまでの流れをイメージできれば、用意するべきコンテンツも見えてきます。

顧客の心理状態に合わせたメディアプランニングの必要性

コンテンツには、集客の増加や認知を目的としたものから、潜在顧客の育成を目的としたもの、そして最終的に購入を決定するために働きかけるコンテンツ、など様々な種類があります。それぞれのコンテンツをどのような媒体から発信していくかを決めておくことは、広告宣伝費の節約になります。顧客の特性(心理状態)を理解して「最も心に届きやすい状態」で有益な情報を届けることができれば、確実な集客や収益に繋げていけるからです。

ここでは、コンテンツの種類と顧客の心理状態を組み合わせながら考えてみましょう。
顧客の心理状態については、「注目」「欲求」「決定」という3つの状態を考えてみます。

1.【集客の増加・認知】

◆見つけた(いいね!コンテンツ)=注目①
◆気になる(自分事化・身近な人・コト コンテンツ)=注目②

2.【潜在顧客の育成・検討】

◆そのうち買いたい(ニーズ学習、学びコンテンツ)=欲求①
◆もっと詳しく知りたい(感情刺激コンテンツ)=欲求②
◆他の商品・サービスと比較したい(詳細・比較コンテンツ)=欲求③

3.【ファン化・決定】

◆ここで買いたい!買わなければ!(決断オファーコンテンツ)=欲求④・決定①
◆店舗・ECサイトへの集客(ゴール)=決定②

注目①②→欲求①②③④→決定①②までの流れを確認してみると、徐々に「買いたい」気持ちが強くなっていることが分かります。ゴールとなる「店舗・ECサイトへの集客」へと繋げるためには、次の段階に進んでもらえるような「説得力あるコンテンツ」が必要になります。つまり、購買までの「あと一押し!」を担っているのが、コンテンツなのです。顧客からの「納得・共感」が得られなければ、ゴールまで辿り着かないうちにその場から去ってしまう為、非常に重要な役割があることが理解できます。

顧客の心を掴むために、何ができるか

お客様の心を掴むこと。これより強力な武器はありません。良い商品・良い品物があっても、知られていないのであれば、そこに存在しないのと同じです。では、どのようにすれば商品・サービスの価値を知ってもらえるのでしょうか?商品・サービスの宣伝方法について、何か普段から意識していることはありますか?

広告を出している、という企業は多いかもしれませんね。しかしここでも、中小企業にとっては「広告予算」という問題があります。広告の種類(ネット広告・マス広告〔テレビ・新聞・雑誌・ラジオ等〕・SP広告〔DM、OOH、POP 交通広告、フリーペーパー〕)をとっても、実に様々な形態が存在していますので、どの形態がもっとも利用しやすいのかについても、慎重に検討していかなくてはなりません。

いきなり広告を出すよりも、綿密な市場調査をし、どのような目的のもので、どのような対象に向けて、どんな形態で発信していくのか…予め決めておく方がはるかに効率の良い宣伝ができます。

最も高い効果が得られるのは、顧客が触れる可能性の高い媒体を選ぶ、という方法です。顧客が接する媒体を選んで広告を出せば、認知度は当然高まります。

そして、より多くの顧客を絞り込んでいくために必要となるのは、「一貫性」のあるコンテンツです。

ここで、「裏ワザ紹介の動画」を例に挙げて考えてみましょう。
最近では、「○○が無いときでも便利!」といったテーマで、様々なライフハック動画が配信されています。しかし幾つかの動画を見ていると、かなり多くの材料を必要とする方法であったり、通常の家庭には用意されていないような道具を使っていたり…とっさには用意できないものだったり…というものがあります。

また、たとえ、その中に、本当に「すごい!」と思えるものが含まれていたとしても、一部に「え?それ本当に裏ワザ?」と疑ってしまうような内容が含まれていると、一気にそのメディアに対する信頼感が失われます。

コンテンツも、これと同じです。内容の一貫性があって始めて「信頼感」を勝ち取ることができます。ターゲットとなるユーザーが欲しい情報・知りたい情報を、説得力のある仕方で発信していけば、「共感」「納得」「安心感」「信頼感」を手に入れられるのです。くれぐれも失敗しないように注意したいところです。

説得力のある文章(根拠)を用意するべき理由

ここで自社メディアについて見直してみましょう。顧客からのレスポンス率が悪いことをサイトのデザインのせいにしてしまう方を結構見かけます。もちろん顧客視点で、UIやUX視点で改善する余地はあります。その為、視覚的に魅力的な方が良いのは確かです。しかし、それよりも重要なのは「価値ある内容」を含んでいるか、という期待を裏切らない中身の方がはるかに重要です。

画像や動画を通して視覚的に商品・サービスを知ってもらうことは大切です。画像がブレた商品の写真よりも、お洒落で洗練された写真の方が、当然印象は良くなるはずです。
しかしそこで終わってはいないでしょうか?写真・動画を揃えただけで満足していませんか?

集客や収益の結果に繋げるためには、ここから一歩踏み込んでいかなくてはいけません。考えるべきなのは「説得力」を加えることです。ビジュアルを整えるのはもちろんのこと、そのビジュアルを支えるような文章(根拠)が必要なのです。この点を考えても、前回の記事でご紹介した「ブログ記事発信」は非常に役立ちます。ビジュアル面だけでなく、文字を通した論理的な発信も、顧客の心を動かす重要な要素となるからです。定期的に、価値あるコンテンツを掲載していくことは、情報という「資産」を蓄積し、顧客からの「信頼感」を得られることで、ブランディング効果に繋がるのです。

活用しないのは本当にもったいない!!そう思いませんか?

低コストで、実現可能な手法は、以前の記事でもご紹介しているオウンドメディア(自社メディア)の活用です。少ない予算で最大の効果を生み出すために、できることをコツコツ続けていくことをオススメします。

次回はいよいよ、連載最後の記事となります!
新しい何かを「創り出す」こと、そして「現状を変えるプロデュース思考」について、実践例を交えながらご紹介していきます。

専門家:山口 貴光
大手アパレル企業4社で、ブランドの新規立ち上げ、百貨店のフロアプロデュース、
リブランディングなど、主に変革型の事業を中心に、プロジェクトの責任者を歴任。
独立後、株式会社レバレッジラボ- 研究所を設立。
http://leveragelabo.com
マーケティング・ブランディングを基軸とした実践型のメソッドで、
戦略立案から実働支援・事業プロデュースなど、これまで数十件の支援実績を持つ。

「個人が活躍する時代」を支援するビジネス創発メディア
『Leverage-Share』を事業化
個人から大企業まで、その道のプロが集う「アライアンスネットワーク」を構築している。
http://leverage-share.com

ノマドジャーナル編集部
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