こんにちは、経営コンサルタントの前田健二です。このコラムでは経営コンサルタントの視点から見た日本のビジネスパーソンのワークスタイルと、予想される未来について論じてみたいと思います。

最近「副業」という言葉が世間一般でやかましくなってきています。安倍政権はアベノミクスのさらなる拡大に向け、我が国労働者の副業・兼業の促進を政策のひとつとして打ち出しています。

副業とは、改めて言うまでもなく本業以外に収入を得る事です。これまでの一般的なビジネスパーソンの場合、就業規則に副業禁止が謳われていて、多くの場合副業は禁止でした。ところが、長引く景気の低迷や賃金の伸び悩みなどから大手企業を中心に副業を容認、解禁するケースが出始め、最近に至って国民的話題として広まり始めたのです。

副業を希望する人も増えていて、2012年時点で副業を希望する労働者の割合は全体の5.7%、20年前から1.6ポイント上昇したそうです。

■インディペンデントコントラクターという新たな身分

ところで、副業をするということは、本業の仕事をしている企業とは別の企業から仕事をもらう事です。つまり、自ら主体的に複数の会社から仕事を請負うということです。こういう形態で仕事をする人をアメリカではインディペンデントコントラクターと呼んでいます。

米労働省の調査によると、1995年のアメリカでは全労働者の93%が企業と雇用契約を結んだ正社員かパートタイマーでした。この割合は2000年代を通じて横ばいで推移していましたが、5年ほど前に突然変化が起きました。複数の企業から仕事を請負うインディペンデントコントラクターの割合が急増、全体の15%に達したのです。その割合は2020年までに20%程度に増加すると予想されています。

アメリカでインディペンデントコントラクターが増加した理由は諸説ありますが、ミレニアル世代が就職難でインディペンデントコントラクターにならざるを得なかったこと、労働市場が流動化し、ネットやソーシャルメディアの発達により各種のタレントを企業がオンデマンドで使う事が可能になったこと、高齢労働者が収入確保のために経験やスキルを切り売りし始めたこと、等々が挙げられています。いずれにせよ、アメリカの労働市場は今日、フリーランスエコノミーと呼ばれる新たな領域に突入したのです。

■アメリカの労働トレンドは数年遅れて日本へ

過去を振り返ってみると、アメリカの労働トレンドは通常、数年遅れて日本へやってきます。SOHOしかり、ノマドワークしかり、インディペンデントコントラクターしかりです。日本におけるインディペンデントコントラクターの労働者比率はアメリカのトレンドを追い、今後数年で全体の15%程度に達すると私は見ています。

その萌芽は既にあちこちで見られます。例えば、フリーランサーと企業をつなぐマッチングサイトが急成長したり、ビジネスパーソンのスキルを切り売りするサービスが始まったり、ビジネスパーソン同士を結び付けるソーシャルメディアが台頭したりし始めています。

つまり、現在台頭している副業解禁のトレンドは、フリーランスエコノミーの到来を知らせる予兆なのです。労働者の賃金が伸び悩んでいるので副業を解禁すべきだというような近視眼的議論におさまらない、労働市場全体と私たち一人ひとりの仕事に大きな影響を与える、新しい大きなトレンドの到来を知らせているのです。

それゆえ、副業と聞いて単なる小遣い稼ぎであるとか、片手間にやるサイドビジネスであるなどと単純に考えない事です。繰り返しますが、現在の副業解禁のトレンドは、今後到来するフリーランスエコノミーの予兆です。その意味で、副業というものを自分のプロフェッションを拡大発展させるためのひとつのチャンスであり手段であると今の時点で考えられる人は、来るべき時代にスタートダッシュをかけられる可能性が高いでしょう。

そこで次回は、日本で副業が盛んになる理由について考えてみたいと思います。

記事制作:
ジャパンコンサルティング合同会社
代表 前田健二

ノマドジャーナル編集部
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