人前で話をするのが苦にならない、むしろ好きだという人にうってつけな副業が研修講師です。研修は一般向けと企業向けに大別できますが、特に企業向け研修講師の仕事に対しては常に一定の需要が存在しています。あなたが何らかの専門性を身に付けている場合、副業として研修講師をするというオプションが検討可能です。
■普通の人が行うのは難しい一般向け研修
一般向け研修とは、文字通り一般人に向けて行われる研修です。多くの場合、講師には世に知られた有名人が充てられます。芸能人、政治家、実業家、ジャーナリスト、スポーツ選手、科学者、芸術家、冒険家等々、著名人が行う研修がほとんどです。
この種の研修講師の最大の資格要件は「普通の人ではない」ことです。報酬も「普通の人ではない」ことの程度と、話す内容への需要の大きさで決まります。また、時節のトレンドや流行なども相場に影響を与えます。ちなみにアメリカ大統領経験者の報酬相場は講演一回あたり10万ドル(約1130万円)程度だそうです。
■テーマによっては成立可能の場合も
一方、テーマによっては成立する可能性がある一般向け研修もあります。筆者のクライアントに3Dプリンターのメーカーさんがおられますが、その会社の社長は一般人を対象にした3Dプリンターの組立研修を行おうと考えておられます。実際、競合企業が先行して類似した内容の研修を行っていますが、多くの学生や社会人が参加しているそうです。
また、ある方は生け花の師範をされていますが、英語が得意で訪日外国人を対象にした英語の生け花教室を行っています。また、タイ料理好きが高じてアマチュアのタイ料理研究家になられた方が、タイ料理の伝道者よろしく各地でタイ料理の講習会を行っておられます。
■需要の大半は企業向け研修にあり
一方で、研修講師の需要の大半は企業向け研修にあります。ある民間の調査会社が、昨年の我が国の企業向け研修サービス市場規模を4,970億円と見積もっていますが、微増ながら年々増加しています。特に中堅・中小企業向け研修サービス分野が伸びているそうです。
企業向け研修は、業界、業種、あるいは専門性に特化したものへの需要が大きいのが特徴です。小売業の接客マナーから製造業の製造工程管理、あるいはマーケティングやIT技術まで、それぞれの業界のそれぞれの専門領域で講師が求められています。
■それだけで食べてゆくのは難しい研修講師
ところで、研修講師の仕事だけを行って食べてゆくのは非常に難しいのが実情です。私も多い時で年に20回位研修講師をしましたが、収入面では非常に限定的でした。実際のところ、研修講師だけを行って生計を立てられる人というのは、芸能人と同様、極めて一部の人達に限られるようです。多くの研修講師は、私もそうですが、研修講師以外にも複数の仕事を持ち、それらを相互に絡み合わせて仕事をしています。
逆に言うと、研修講師は副業として行うには悪くないケースが多いのも事実です。特にシステム開発などのIT系の分野の講師は常に不足していて、報酬の相場も相応に高くなっていますし、スケジュールなども講師の都合に合わせやすくなっています。さらに、本業を持ちながら研修講師をすることで、自分の専門性にさらに磨きをかけられるというメリットもあります。
■研修講師という名のマーケティングツール
結局のところ、ライターと同様に、研修講師という副業をあなた自身のマーケティングツールとするのが色々な意味でベストなやり方でしょう。あなたの知識やスキルを世に提供し、あなた自身とあなたの専門性を世に知らしめ、何らかのフィードバックが返ってくる結果になれば、単なる収入以上のメリットとなるのは間違いないでしょう。
記事制作:
ジャパンコンサルティング合同会社
代表 前田健二
専門家と1時間相談できるサービスOpen Researchを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。