起業時に使う融資は「創業融資」と呼ばれ、多くの起業者を助けてきました。よく使われる創業融資としては、公的機関である日本政策公庫が挙げられます。前回お伝えした通り、銀行からの創業融資はなかなか実現しにくいということもあり、昔から根強い人気を誇っています。

そこで今回は、日本政策金融公庫における創業融資の手続きについてご紹介いたします。融資をもらうために効果的な方法をわかりやすく説明していますので、ぜひご覧ください。

まずは最寄りの支店にいく

日本政策金融公庫は全国に支店がありますので、あなたの住む街にも、きっと支店があるはずです。まずは、最寄りの支店に挨拶にいきましょう。そこで「起業した」「後々に利用させてもらいたい」という旨を伝えると、融資担当が出てきてくれます。挨拶した融資担当が自分の担当になるわけではありませんが、しっかりと挨拶しておきましょう。後々申し込むことを伝えると、申し込みのための必要書類ををもらえます。記入は基本的にボールペンでの1発勝負になるため、複数枚もらっておくことをオススメします。

事業計画書を完成させる

銀行の融資担当者は事業計画書の作成に手を貸してくれますが、日本政策金融公庫の場合は、サポートはありません。申込の段階で、完成版の事業計画書を出す必要があります。そのため、提出する事業計画書は、文句のつけようのない計画内容にしてください。

特に気を付けるべきなのは、「取引先の記入」の項目です。「どんな事業をしていくら儲けるのか」についてはあまり重視されませんが、いま現在、どこの会社と取引しているのかをよく見られます。具体的な会社名、窓口になっている担当者名、月どれくらいの取引額があるのか等を詳細に記述するようにしましょう。

なお日本政策金融公庫の場合、自前の事業計画書フォーマットはNGです。事前にもらった必要書類の中に専用の事業計画書フォーマットがあるので、フォーマットに沿って記入していきましょう。

申込をして面談の準備をする

事業計画書が出来たら、いよいよ申し込みです。申込み自体は、申込書と事業計画書を日本政策金融公庫の支店まで郵送すれば完了です。郵送から数日後に先方から電話があり、面談の日が決定します。その後、当日に持ってくるべき必要書類が書かれた手紙が郵送されてくるので、確認してください。なお、時と場合によって、若干の変動がありますが、面談までに必要になる主な書類は以下の通りとなります。

■光熱費の支払いを証明するもの(領収書・お客様控えなど)
■家賃の支払いを証明するもの(領収書振り込み用紙など)
■自己資金を証明するもの(預金通帳など)

光熱費と家賃の支払いを証明するものは、1か月分では不十分。半年分ほど用意するといいでしょう。必要書類が用意できてなければ、問答無用で審査は落ちます。面談日までにしっかりと準備しておいてください。

面談に臨む

面談は、以下の流れで行われます。

1.家族構成についての質問
2.事業計画書について不明瞭な点の確認
3.必要書類のコピー

以上の通り、内容としては非常にシンプルで、早ければ10分から15分で終わります。実は準備をしっかりと行っている人ほど、アッサリ面談が終了します。

一方、準備が不十分だと多くの質問を受けることになるため、30分以上の面談時間になることも。とくに必要書類を用意できていない場合は、自分の生活状況について根ほり葉ほり聞かれます。面談時間が長くなればなるほど、審査に落ちる可能性は高くなるといっても過言ではないでしょう。

結果発表

面談から2週間ほど待つと、日本政策金融公庫から電話で結果を伝えられます。もし落ちているなら、そこで終了です。なぜ審査に落ちたかは、明確に教えてくれません。合格している場合は、後日支店まで行って融資実行のための書類記入やスケジュールの解説を受けることになります。合格発表のあとは、自分で能動的に何かする必要はありません。なお、実際に融資が実行されるのは、結果発表があってからおよそ1カ月後になります。

審査に合格するためのコツ

ここまで日本政策金融公庫の融資の流れについて紹介してきました。最後に「審査で通るためのコツ」について紹介しておきましょう。

日本政策金融公庫の重視されるのは、事業計画書ではなく、必要書類です。面談の日が決まったあとに手紙で指示される必要書類を、いかに準備できるかがもっとも重要となります。普通なら事業計画書が一番大事と思われがちですが、日本政策金融公庫の場合はそうではありません。日ごろの生活をいかに規則正しくおこなっているかを重要視するのです。

まとめ

以上、公的融資である日本政策金融公庫の創業融資のとり方について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?もし創業融資にチャレンジするのであれば、ぜひ参考にしてみてください。

記事制作/イソダ カツヤ

ノマドジャーナル編集部
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