起業してからすぐに黒字化できる人は、滅多にいません。ですが、黒字化するまでの地獄のような期間は自分自身を成長させてくれる時間でもあり、すべての起業家が通る登竜門といっても、過言ではないでしょう。

とはいっても、黒字化するまでの道筋やコツを知っておくことに越したことはありません。自分に当てはまるかどうかはともかく、いろんな方法を学んでおくことで、自分のやり方、新しい方法も見つけやすくなると思います。

経費を極限まで削る

いきなり地味な方法が出てきたので、がっかりしている方も多いかもしれませんが、早期に黒字化するための最も大切な方法が「経費を削る」ことです。黒字化前に撤退する原因の多くが資金の枯渇です。黒字化するまでの厳しい日々をどう生き残っていくかが重要なのですが、経費を削ることがもっとも現実的で効果的な「生き残るための術」です。

利益が徐々に出てきたとしても、経費が多ければいつまでたっても黒字にはなりません。必要最小限の経費で会社が回る仕組みを早いうちに作っておきましょう。役員報酬を最初から高めにしておくなんて言語道断。早く黒字化したいなら、前職の給料よりも低くなる覚悟をもってください。利益をあげて一時的な黒字をつくることも大事ですが、恒久的な黒字をつくるためには経費削減は必要不可欠です。

高額な広告に依存しない

経費の中で、最もコストをかけてしまいがちなのが広告です。法人向けの広告になると、数十万円から数百万円の費用となり、会社の経費を切迫してしまう一番の要因となります。しかし金額がかかるがゆえに広告の力は非常に強力で、自社のサービスや商品に実力が伴ってなくても、広告の力だけで売れてしまうことはよくあります。一度広告の力だけで売れてしまうと、広告なしの状態が考えられなくなってしまうという罠に陥ってしまいます。会社の商品やサービスの「地力」をつけるためにも、広告に頼る戦略は避けるようにしましょう。

なお、こうすることで、広告をしなくても売れるためにはどうすればいいのか、という観点を持つことができ、商品力・接客力・口コミなど会社が成長していくための基礎体力がメキメキとついていくはずです。広告は一種のドーピングのようなものだと考え、広告なしで生き残っていくことを考えるのも、早期の黒字化には必要不可欠です。

1つのサービス・商品に固執しない

なるべく早期に黒字化させるためには、売り上げの中心となる商品やサービスが必要です。ただし、最初に準備していた商品やサービスがなかなかヒットしないこともあります。こだわりを持って送り出しているため、切り替えが難しいでしょうが、何が当たるかわからないのがビジネスの世界。もし複数の種類を提供できるのであれば、提供するサービスや商品は1つに固執しない方がいいでしょう。

お客さまはこちらが思いもよらぬ反応を示すことが多く、自分が自信をもっているものには見向きもせずに、特に力を入れてなかったものに人気が集中することもあります。柔軟な対応が求められる今日のビジネスの現場では、自分のこだわりやポリシーに縛られていると、なかなか黒字化は見込めません。複数提供することに別途お金がかかるのであれば、下手にラインナップを増やす必要はありませんが、ノーリスクで増やせるのであれば、ドンドン出していくべきです。

成功したことは複数回上手くいくまで信用しない

ビジネスの世界には、新米経営者の「落とし穴」が存在します。それが「ビギナーズラック」です。特に販売努力をしていない・なぜ売れたのかよくわかっていないのにも関わらず、いきなり売り上げが伸びる商品が出てくることがあります。
ここで「売れた」という事実に満足して、商品にもちうる資本を全て費やしてしまうのはNG。本来会社の売り上げを支える商品の「器」ではなかったのに、下手に資本を費やしまい、気づいた時には全く売れない、ということにもなりかねません。

もしなにかしら成功したことがあれば、ビギナーズラックだと考え「なぜ売れたのか」「うまくいったのか」という理由を明確にすることが一番大事です。複数回または長期間うまく売れ続ければかならず「なぜ売れたのか」という理由も見えてくるはず。資本を注入して勝負をかけるのは、そこからでも遅くありません。

記事制作/イソダ カツヤ

ノマドジャーナル編集部
専門家と1時間相談できるサービスOpen Researchを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。