ブログに食べ物の情報を投稿して収入を得るフードブロガー(Food Blogger)と呼ばれる人達がいます。ちょっとしたお小遣い稼ぎでやっている人から、制作チームを組織して本格的にやっている人まで、世界中で様々なフードブロガーが活動しています。今回は、このフードブロガーという仕事を紹介します。

■小学校教師が立ち上げたPinch of Yum

Pinch of Yumは、米ミネソタ州の小学校で教師をしていたリンゼイ・オストロムさんが2009年に立ち上げたフードブログです。Pinch of Yumとは「ひとつまみの美味しさ」という意味ですが、可愛らしい洒落たタイトルのブログは、現在アメリカで非常に人気のあるフードブログです。2009年に立ち上げてから五年間、昼は学校で子供達を教え、夜にフードブログの記事を書いて投稿するという二重生活を続けてきたリンゼイさんは2014年にPinch of Yumの事業に専念することを決意、夫と共同で組織化しました。

Pinch of Yumの構成はシンプルで、様々な種類の料理が綺麗な写真と共に紹介されています。それぞれの料理の写真をクリックすると詳細ページへ飛び、レシピや実際の作り方などの情報が掲載されています。それぞれのページでは読者がレビュー投稿と五つ星評価が出来るようになっていて、たくさんのポジティブなコメントが載せられています。ビジュアル主体のPinch of Yumは、Pinterestなどのソーシャルメディアとも連動しています。

面白いことに、このPinch of Yumは自らの収支を公開しています。それによると、Pinch of Yumが初めて収支を公開した2011年8月の売上は21.97ドル(約2,417円)でした。Pinch of Yumの収入はその後うなぎ上りで増え続け、2016年11月時点で月間売上95,197,34ドル(約1,047万円)、費用28,505.27ドル(約314万円)、利益66,692.07ドル(約733万円)を計上するまでになっています。

私は、「すべての本業は副業から始まる」を仕事上の信念にしていますが、Pinch of Yumのケースは、副業として始まった仕事が成長し、いつしか本業になった優れた事例として挙げられるでしょう。

■世界を旅するフードブロガー、マーク・ウィーンズさん

マーク・ウィーンズさんは、ネットの世界では知る人ぞ知るフードブロガーです。アリゾナ州立大学を卒業後、在学中のアルバイトで貯めたお金で世界旅行を開始したマークさんは、途中タイのバンコクで旅費が尽き、お金を稼ぐために現地で英語教師の仕事を始めます。英語教師の仕事の傍ら、旅行する国々を現地の料理と共にブログで紹介する事を思いつき、フードトラベルブログMigrationologyを立ち上げます。

ブログに記事を投稿するとともにマークさんは、自身が現地のローカルフードを食べるシーンを撮影した動画をYouTubeに投稿、瞬く間に人気フードYouTuberにもなります。マークさんのYouTubeチャンネルには今日現在で98万8807万人ものサブスクライバーが登録し、アップロードされた700本以上の動画が視聴されています。なお、マークさんは日本も大のお気に入りのようで、何度も来日して日本料理の記事を投稿しています。

マークさんのブログによると、ご自身の収入はYouTubeからの広告収入、ブログの売上、Tシャツの売上で構成されているそうです。YouTubeのサブスクライバー数がほぼ100万人規模であれば、マークさんにはフードブロガーという仕事を成立させるに十分な収入があるのは間違いないでしょう。

■好きな事でお金を稼ぐ典型例

フードブロガーという仕事は、好きな事でお金を稼ぐ仕事の典型例と言えるでしょう。リンゼイさんもマークさんも、人に強制されてフードブロガーという仕事を始めたのではなく、好きだからその仕事を始め、好きだからその仕事を続け、結果的にそれが本業になったのでしょう。世界的にモノ余りの時代になり、多くのモノがコモディティ化した現在、惰性的に仕事をしがちになる我々の多くも、両氏の仕事振りから何かを学べるような気がします。

参考サイト

http://www.huffingtonpost.com/entry/how-much-food-bloggers-make_us_590209e9e4b0af6d718c4e70

記事制作:
ジャパンコンサルティング合同会社
代表 前田健二

ノマドジャーナル編集部
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