日本でもパラレルワークやリモートワーク、フレキシブルワークが取りざたされて久しいですが、今回はこれらのトレンドの最先端を行く、米国のフリーランス経済に注目してみたいと思います。

米国フリーランス経済の成長

米国では、全労働力の35%を占める約5,500万人がフリーランスワークを行っていると言われています。過去3年間でフリーランスの仕事をした人の数は、毎年100万人ずつ増えています。フリーランス経済の収益は約1兆ドル(約110兆6,860億円)と見積もられ、これはすでに米国経済全体に大きく貢献する数字となっています。

米国の労働力調査

仕事の依頼主とフリーランサーとのマッチングサイトUpworkと米Freelancers Unionは、米国でどれだけの人がフリーランスの仕事をしているのか、なぜフリーランスなのか、そしてフリーランスの未来はどうなるのかを明らかにするために、独自の労働力調査を行いました。対象となったのは過去12ヶ月間に行った作業に対して支払いを受けた成人6,000人以上、データは2016年7月29日から8月24日まで収集されました。

この調査では「フリーランサー」を、一時的、補足的、契約的、またはプロジェクトベースの仕事で収入を得た人。「フリーランスでない労働者」を、フリーランスの仕事として定義されていない方法で収入を得た人と定義しています。

そしてフリーランサーを以下の5つのサブカテゴリーに分けています:
  •独立請負業者 ― フリーランサーの35%に当たる、雇用者を持たず、プロジェクトごとに作業を行う人たち。
  •多様化労働者 ― フリーランサーの28%に当たる、従来の雇用主を含む「複数の」収入源から収入を得ている人たち。一般的には、雇用者のもとでパートタイムで働き、パートタイムでフリーランスの仕事をしている。
  •ムーンライター ― フリーランサーの25%を占める、フルタイムの仕事を持ち、夜間や週末にフリーランスの仕事をしている人たち。
  •フリーランス事業主 ― フリーランサーの約7%に当たる、従業員1~2名を抱える事業経営者。
  •派遣労働者 ― 派遣代理店を通じて短期派遣労働者として働く、フリーランサーの7%を占める人たち。

2015年以降フリーランサーの中で、
  •独立請負業者の数は1%減っています。
  •多様化労働者とフリーランスのビジネス事業主数は、それぞれ2%増えています。
  •ムーンライターと派遣労働者数は、それぞれ2%ずつ減少しています。

フリーランスをしている理由

米国人がフリーランスを選ぶ理由は主に3つあります。そしてフルタイムのフリーランサーと、パートタイムのフリーランサーとの間には、多少の違いが見られます。
  •自分がボスとなるため ― フルタイマーの77%/パートタイマーの60%
  •柔軟な勤務スケジュール ― フルタイマーの73%/パートタイマーの65%
  •どこからでも働ける ― フルタイマーの72%/パートタイマーの61%
これらの他にも、働きたいプロジェクトを選択できる、仕事以外の情熱を追求できる、未来の財政管理のため、家族とより多くの時間を持てるから、などの理由があります。

収入面が改善されたフリーランサーの内分けは、パートタイマーが74%と、フルタイマーの68%に勝っています。これはパートタイマーが副収入のためにフリーランス仕事をしているということでうなずけます。フリーランサーの平均労働時間は週36時間、仕事の量に満足している人は全体の52%いるそうです。

フリーランス労働の問題点

フリーランス労働には多くの利点がある一方、負の側面もあります。昨年マスコミを騒がせたUber労働者の権利要求ストもその一例です。フリーランサーの懸念にはその他にも、収入の予測が立たないこと、大企業や他のフリーランサーとの競争、公正な報酬の支払い、税金の高さなどがあります。

米国のフリーランサーの85%以上が、政治家がフリーランス労働力についてよりよく学び、発注者からの支払いを確実にさせるセーフガードの確立など、フリーランスの職場環境を改善させるべきだと考えています。

フリーランサーの仕事の探し方

フリーランス経済の繁栄の背景にはテクノロジーの進歩があります。オンライン広告、求人掲示板、マーケットプレイス、フリーランスに特化したウェブサイト、ソーシャルメディアはすべて、フリーランスの雇用の増加に貢献しています。フリーランサーのほとんどが、家族や友人のつて、専門家間の繋がり、以前の雇用主からの紹介、地方紙の広告、雇用代理店を通じて仕事を見出している一方で、インターネットで仕事を見つける風潮が急成長しています。

フリーランスの未来

フリーランスの未来はどう評価できるでしょうか。米国ではこの数年間でフリーランスへの認識が向上し、フリーランスが「正当なキャリアパスである」と考える人が増えています。統計では回答者の84%がフリーランスの未来を肯定的に見ており、86%は今よりも多くの自由雇用の機会を期待していると答えています。過去1年間にワークロードが増加した人は46%、伝統的な仕事を辞めた後1年以内に、以前より多くの収入を得た人は79%いました。

まとめ

米国の雇用市場でフリーランス化、フレキシブル化への移行が始まったと報道されているのは、主に公共部門の場合です。民間部門の雇用市場はそれよりもはるかに流動的かつ革新的です。

米国のフリーランス経済を支えているのは、企業の小型化、経済状況の変化と、従来の雇用形態に不満なミレニアルズ(米国のゆとり世代)のようです。米国では18〜21歳のミレニアルズの47%、22〜34歳の43%がフリーランスの仕事をしています。

米国のフリーランサーの数は、男女間で均等に分かれており、教育的背景にも偏りはありません。フリーランサーの47%が郊外に住んでいるのは、職場へのアクセスの困難さを反映しているのでしょう。

どちらにしても、フリーランサーの63%が自らの意思でそうしており、フリーランスが「伝統的な仕事よりも優れている」と考える人は全体の79%。そして米国のフリーランサーの半数が、どんなに報酬を積まれてももとの仕事に戻ることはないと、自らのキャリアパスに非常に肯定的なのは将来への明るい兆しと言えそうです。

参考記事:
https://homebusinessmag.com/businesses/freelance-economy-statistics-2016-us-economy/

記事制作/シャヴィット・コハヴ (Shavit Kokhav)

ノマドジャーナル編集部
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