28歳のアメリカ人女性のメルさんが、クルーズ船で働いた経験をブログに綴っています。日本人にはあまり馴染みがないですが、長期間かけて世界中を旅するクルージングは欧米人が大好きなレジャーの一つです。今回はメルさんの経験から、クルーズ船で働くイメージを教えてもらいましょう。
万人向けではないクルーズ船の仕事
大学を卒業して得た最初の仕事がクルーズ船内で開催されるショーのステージマネージャーだったというメルさんによると、クルーズ船で働く事は万人向けではないそうです。まず、地上の仕事と違って自分のプライバシーが保護されない。劇団のスタッフは船内で四六時中顔を突き合わせていて、自室キャビンでくつろいでいても突然電話が鳴ったりする。乗船中は寝ていても起こされる可能性もある。協調性のない人には基本的に向いていない。
また、実際の仕事量はそれほど多くなく、ショータイム以外はペーパーワークや翌日のショーの準備をするくらいしか仕事がない。一方で、乗船客の居住エリアやショッピングエリアなどに入る際にはユニフォーム着用か正装が必須で、堅苦しくてしようがない。毎晩仕事が終わると船内のスタッフ用バーに行って酒を飲むのが日課になったそうです。ちなみに、スタッフ用バーではビール1杯90セント(約99円)、カクテル1杯1ドル40セント(約154円)と格安で飲めるので、顔馴染みのスタッフの多くが毎日入り浸っていたそうです。
ステージマネージャーの仕事とは
ステージマネージャーとしてのメルさんの仕事は、毎日開催されるショーを円滑に運営する事。そのためには照明システムを操作し、ショーの運営を自ら手伝ったりもする。メルさんが乗った乗客定員2,000人のクルーズ船には席数900の大劇場と席数200の中劇場、10の音楽用小劇場があり、開催されるすべてのショーの運営責任を持たされていたそうです。また、ショーの運営に必要な機材や資材などの購入や、劇団員の給与支払いなどの業務も任されていたそうです。
ところで、ステージマネージャーの仕事が合わなくて辞めてしまう人は少なくなく、メルさんの前任者も船がアラスカの港に着いた途端に船を降り、突然いなくなってしまったそうです。そのため、メルさんがクルーズ船の会社のホームページから求人へ応募した次の日に早速面接が行われてその場で採用が決まり、その翌々日には飛行機でアラスカへ飛んで船に乗ったそうです。クルーズ船内での仕事を「狂気」と評しているメルさんも、いきなりの採用と配置に面食らった事でしょう。
気になる報酬の額は?
ところで、気になる報酬の額ですが、クルーズ船内の仕事は日給制で、メルさんは日給90ドル(約9,900円)からスタートし、勤務開始から五年後には126ドル(約13,860円)まで上がったそうです。乗船中は休日なしで毎日が支給対象日となり、衣食住にはお金がかからないため、給与の相当分を貯金出来たそうです。船内でお金を使うのはバーの支払い位で、それでも週に30ドル(約3,300円)程度だったそうです。クルーズ船で働いて得たお金で、メルさんは大学の教育ローンをすべて返済出来たそうです。
なお、ステージマネージャーの仕事以外にも、クルーズ船では様々な職種で人材が求められています。レストランのスタッフ、ショップの店員、観光ガイド、フィットネスクラブのトレーナー、ITエンジニア、配管工等々、仕事はたくさんあります。メルさんによると、Googleで検索すればいくらでも仕事が見つかるそうです。
クルーズ船のステージマネージャーの仕事を五年間行い、五大陸のすべてを無料で旅して来たと語るメルさんにとっては、かけがえのない経験となったようです。メルさんのキャリアにおいても異彩を放っている事は間違いないでしょう。
参考サイト:http://www.budgetsaresexy.com/true-story-lived-cruise-ship/
記事制作/ジャパンコンサルティング合同会社, 代表 前田健二