ハワイ・ホノルル在住の日系アメリカ人ディーン・オキモトさんが、家庭菜園で野菜を栽培し、地元のレストランに販売して稼ぐ方法を説明しています。今回は、このディーンさんのケースに学んでみましょう。
■野菜の販売先としてレストランは最高
ディーンさんによると、レストランは野菜の販売先として最高だそうです。レストランはコンスタントに野菜を購入してくれ、売れ残るリスクが少ないからです。また、クオリティの高い野菜を提供すれば、高値で買ってもらえます。
家庭菜園で野菜を作り、販売しているアメリカ人は少なくありませんが、ほとんどの人が近所の人や知人に直接売ったり、スタンドを設置して販売しています。このやり方ですと、作った野菜すべてが売れるとは限らず、売れ残るリスクが残ります。
ディーンさんは自分の家庭菜園でサラダ用オーガニック野菜、フレッシュハーブ、各種のマッシュルームなどを栽培し、ホノルルの最高クラスのレストランやホテルに販売しています。ディーンさんが育てた野菜はそれぞれのお店でサラダや各種の料理に使われ、しかも一般的な野菜の二倍の高値で買ってもらっているそうです。
■クオリティを保つ事と、「価値がわかるシェフ」に売る事
レストランに野菜を販売するに際し、一番重要なのが野菜のクオリティを保つ事です。ディーンさんは毎朝早朝に野菜を収穫し、フレッシュな状態をキープしたままレストランに配達しています。鮮度を保つために、遠距離のお店はあえて営業対象から外しているそうです。
また、野菜のクオリティと新鮮な野菜の価値をきちんとわかってもらえるシェフに売る事も重要です。野菜のクオリティと価値を理解でき、その価値をお店の売りとして活用しようというシェフを捕まえる事がポイントです。それゆえ、ディーンさんはファミリーレストランやチェーンレストランなどは最初から相手にせず、あくまでもトップクラスのシェフを相手に営業をしています。
■キーワードは「フレッシュベジタブル」と「バイローカル」
ある調査によると、アメリカで生産される農作物の80%が平均1,500マイル(約2,400㎞)も移動して生産者から消費者へ届けられているそうです。しかも、アメリカで生産される野菜の50%は、消費される事もなくゴミ処理場で生涯を終えるそうです。毎朝採れたての「フレッシュベジタブル」を届けるディーンさんの家庭菜園ビジネスは、この壮大な無駄に対する、ひとつの代替ビジネスとなりうる可能性を秘めているかも知れません。
また、ホノルルという、比較的コンパクトにまとまった都市でディーンさんの家庭菜園ビジネスが行われている事には、アメリカでバズワード化しつつある「バイローカル」を地で行っている感を覚えます。日本でも地産地消が叫ばれ始めていますが、ディーンさんは日本に住む我々の一歩先を歩んでいるのかも知れません。
■それぞれのレストランの看板になる野菜を栽培
レストランに営業するに際しては、それぞれのお店の看板になる野菜を提供する事が重要だとディーンさんは説きます。あるお店は新鮮な生のマッシュルームを使ったサラダが、あるお店は珍しいハーブをふんだんにトッピングしたラビオリが、あるお店は苦みが強いエンダイブを付け合せにした鶉のポワレが、それぞれ看板になるかもしれません。そうした看板メニューを構成する野菜を提供すれば、長期に渡って取引する事も可能になるでしょう。
副業というには本格的に過ぎる感があるディーンさんの家庭菜園ビジネスですが、一つの協働マーケティングの事例として見ても面白いかも知れません。レストランを外部から支え、価値を向上させるそのやり方は、私達の普段の仕事にも十分に応用出来るでしょう。
参考サイト
https://www.profitableplantsdigest.com/selling-your-fresh-produce-to-restaurants/
記事制作:
代表 前田健二