ある大阪の小学校が調査で、小学四年生を対象に将来就きたい職業を聞いたところ、第三位にユーチューバーがランクインして先生や保護者を驚かせたというニュースがありました。保護者の中には、ユーチューバーなる職業が存在することすら知らなかったという人も少なくなかったようですが、子供たちの認識では、ユーチューバーはサッカー選手、医師に続く憧れの職業になっているようです。今回は、YouTubeで実際に稼ぐ事は可能なのかについて書いてみます。

■YouTubeの収益分配の仕組み

まず、YouTubeの収益分配の仕組みをおさらいしておきましょう。YouTubeの収益は広告収入です。広告主がYouTubeへ広告を掲載し、クリエーターの動画内で広告が再生されるか、広告がクリックされるとYouTubeが広告主に課金します。課金された広告料金は月ごとに集計され、決済されます。決済された広告料金はYouTubeの売上となり、広告が再生された、またはクリックされた動画のクリエーターに一部が還元されます。一説には、売上の55%がクリエーターに還元されると言われています。

YouTubeの広告料金はグーグルアドセンスのオークションによって決まるため、広告掲載場所、キーワードやターゲティングの内容、季節などの要因で上下します。一般的に広く認識されているところでは、動画の再生回数1,000回で平均1〜3ドル程度がクリエーターに支払われるようです。日本国内向けの動画で日本人対象の動画の場合、再生回数1,000回で平均100円程度がクリエーターに支払われるようです。

■稼いでいるのはほんの一握りの人達

ということは、月の再生回数が100万回あれば10万円程度の収入が期待出来ることになりますが、100万回の再生回数を稼ぐのは簡単ではありません。前回、ブログの月間PVが1万回に達すると月に3千円程度稼げるようになると書きましたが、私の見たところ、月に10万円を稼ぐためにブログの月間PVを33万回にするよりも、YouTube動画の月間再生回数を100万回にする方がはるかに難しいと思います。

全世界のユーチューバーの中で、昨年最も稼いだ人はスウェーデン人ゲーマーのPewDiePie(ピューディーパイ)さんで、稼いだ総額は1,500万ドル(約16億5千万円)でした。PewDiePieさんのYouTubeチャネルは累積再生回数100億回、サブスクライバー数4,975万人と、圧倒的な数を誇っています。ユーチューバーの世界も作家や漫画家などの他のクリエーターの世界と同様、PewDiePieさんのような一部の成功者と、大多数の一般人とに二分される世界です。つまり、クリエーターとして何らかのバリューを創造し、それに対する支持を得られなければ成功出来ない類の世界なのです。ユーチューバーとして成功することとは、「作家として成功する」、「漫画家として成功する」、「芸能人として成功する」ということと同義だと考えるべきでしょう。

■YouTubeの外で、マルチで稼ぐ

ところで、PewDiePieさんの収入の内訳ですが、すべてがYouTubeの広告収入から得たものではないそうです。それ以外にも、YouTubeレッドシリーズ(YouTubeが最近始めた有料オリジナルビデオコンテンツ)の売上、本の印税(11万部も売れたそうです)、オリジナルモバイルゲームの売上、グッズの売上などでも稼いでいます。つまり、YouTubeの広告ビジネスを核にし、YouTubeの外でもマルチで稼いでいるのです。

PewDiePieさんのようなやり方は、スケールを小さくして他の人々も同様にやっています。YouTubeでオリジナルコンテンツを配信し、コンサルティングやセミナーなどを受注し、それで稼いでいる人や、オリジナルDVDコンテンツの一部をYouTubeで配信し、気に入った人にDVD本体を販売している人もいます。要するに、YouTubeを生計の手段とするのではなく、マルチで稼ぐための中核媒体として利用しているのです。PewDiePieさんのようなYouTubeクリエーターを目指すのでなければ、そのような形でYouTubeを活用する事が、一般人の我々にとっては現実的なようです。

記事制作:
ジャパンコンサルティング合同会社
代表 前田健二

ノマドジャーナル編集部
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