前回、現在台頭している副業解禁のトレンドは、フリーランスエコノミーの到来を知らせる予兆であると書かせていただきましたが、今回は、今後日本で副業が盛んになる理由について書いてみたいと思います。

■シェアリングエコノミーの台頭

現在、世界規模でシェアリングエコノミーが拡大しています。シェアリングエコノミーとは、不動産などの資産や、モノ、ノウハウ、サービスなどの資源を、必要とする人が必要な分だけ、あるいは必要な時間だけ利用し、皆で共用する新たな経済の事です。

2010年に民泊マッチングサイトのAirbnbが立ち上がったことで本格的な成長が始まったとされ、その後ライドシェアリングのUber、ペットシッターマッチングのDog Vacayなどが相次いで登場、市場拡大を牽引しています。

シェアリングエコノミーは何故拡大しているのでしょうか?理由は色々考えられますが、資産や資源を特定の個人や組織が独占的に所有するよりも、皆で共有する方が経済的なメリットも含めて社会全体のリターンが大きくなってきたという事が最大の理由のひとつでしょう。

ビジネスパーソンが持つスキルやノウハウについても同様で、特定の組織がビジネスパーソンを独占的に雇用して彼または彼女が持つスキルやノウハウを独占するよりも、社会全体で共有する方がリターンが大きくなってきたのです。

■労働市場の流動化

また、労働市場の流動化も今後副業が盛んになる理由のひとつです。最近、解雇に関する規制が緩和されて雇用者が労働者を解雇しやすくなりましたが、一方で労働者の方も転職志向が強まり、我が国の労働市場においては労使共にそれぞれ流動化を進めています。

こうしたトレンドにおいては、特に労働者の側に「特定の企業にのみ雇われる状態」を忌避する傾向を生じさせ、出来るだけ複数の企業と契約して労働環境と収入の平準化を図ろうとするモチベーションを生みます。

労働市場の流動化は今後も進むと予想されますが、それに伴い副業を志向する労働者の数も増えていくでしょう。

■属人性の高いスキルを志向する人の増加

現在、AI技術が私たちの仕事の多くを奪ってしまうという危機感が世界的に高まっています。AIが人間の能力を超越する「シンギュラリティ」と呼ばれる現象が各分野で起こりつつあり、会計士や弁護士といった高い専門性の仕事ですらAIによってリプレースされると懸念されています。

そうした中、AIがリプレース出来ないような属人性の高いスキルを身につけ、高めようとする機運がビジネスパーソン全般に広がりつつあります。

広告、映画、音楽、出版、エンターテインメントといった業界ではすでにその傾向が見られますが、高いクリエイティビティが求められる業界では、そこで働く労働者一人ひとりにも属人性の高いスキルが求められます。

なお、ここで言う属人性の高いスキルとは、その人だけが持つ才能、個性、無二のアウトプットを生み出す創造力などと言い換えてもいいかもしれません。

ビートたけしが、さすがにお笑いはAIがリプレースできないだろうと豪語していましたが、たけしほどの才能でなくても、ある程度属人性の高いスキルを身につければ、AIによって仕事が奪われるリスクは低くなるでしょう。

属人性の高いスキルを持った労働者には通常、たけしのように、複数の企業からオファーが出される傾向にあります。今後属人性の高いスキルを志向する人が増え、実際に彼ら彼女らのスキルが高まるにつれ、それらの人たちに複数の企業からオファーが出されるケースがどんどん増えて来るでしょう。

以上、今後日本で副業が盛んになるコレだけの理由と題して書いてみました。自分で言うのもなんですが、おそらく方向性としては間違っていないと思います。ほとんど新たな産業革命と呼ぶべき大転換の時代にあって、ただ一社のみに忠誠を尽くすという生き方は、ある意味相当ハイリスクであると私は思っています。

記事制作:
ジャパンコンサルティング合同会社
代表 前田健二

ノマドジャーナル編集部
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