前々回からブログで稼ぐこと、YouTubeで稼ぐことについて書かせていただきました。いずれもGoogleが開発したアドセンス(Adsense)という広告料金課金システムがバックグラウンドで稼働しています。今回は、そのアドセンスについて書いてみたいと思います。

■アドセンスの仕組み

アドセンスは、2003年にGoogleがリリースした広告ターゲティング配信システムです。Googleと言えば検索結果ページに表示される広告、いわゆるワードリスティング広告が有名ですが、Googleはインターネット上に無数に存在するウェブコンテンツと、それらに掲載する広告とをマッチングさせる広告配信システムを運営しています。それがアドセンスと呼ばれるものです。

アドセンスの仕組みはシンプルです。まず、ウェブコンテンツのオーナー(「パブリッシャー」と呼びます)が自分のウェブコンテンツをアドセンスに登録し、アドセンスが発行する専用のタグをウェブコンテンツに埋め込みます。埋め込まれた場所は広告スペースになり、Googleが広告主の広告を掲載します。掲載された広告は通常、クリックごとか、閲覧されるごとに広告料金が広告主に課金されます。課金された広告料金は広告の種類などに応じてパブリッシャーに配分されます。配分比率は、ディスプレイ広告で最大68%と言われています。

パブリッシャーは、自前で広告課金システムを準備しなくてもアドセンスのタグを埋め込むだけで広告収入が得られるため、アドセンスはリリースからたちまちブレークし、世界中に拡大しました。今日、グーグルの売上の22%はアドセンスからもたらされているとされています。

■ジャンルによって違う広告料金

前々回、ブログにアドセンスのタグを埋め込み、広告を掲載することで月間10,000PVあたり3,000円程度の収入が得られると書きました。厳密には、それは私が運営しているウェブコンテンツにおける平均収入額です。つまり、ジャンルによってアドセンスの売上は上下します。アドセンスの広告料金はオークションで決定するため、人気のあるジャンルの広告は高く、そうでないジャンルの広告は低くなります。

一般的には、「金融」「保険」「医療」「美容」「ダイエット」「自動車」などのジャンルの広告の広告料金が高いとされています。検索者の検索ニーズが高く、切実性も高い一方、秘匿性を保ちたいといったジャンルです。また、当方の運営しているウェブコンテンツもそうですが、一般にはあまり知られていないものの、一部の人にとって意味があるニッチなジャンルも、広告料金が高くなる可能性があります。

■稼げるジャンルに合わせるのは本末転倒

「金融」「保険」「医療」といったジャンルの広告料金が高いからと言って、知識や経験もないのにそれらのジャンルのウェブコンテンツを作るという、いわばアドセンスのためのウェブコンテンツを作ることについては、筆者は反対の立場です。巷には「アドセンスで月に○○円稼ぐ方法」といった類の情報が溢れていますが、アドセンスつまり広告収入が欲しいからコンテンツを用意するというのは、順番が逆だと思うのです。

ウェブコンテンツは、まずはコンテンツとして良質であるべきで、コンテンツが良質であるから広告掲載スペースとして良質となりうるのです。この順番を間違ってしまうと、ただ単にコンテンツを寄せ集めて量だけいたずらに増やせばよいといった、少し前に問題になった某上場企業の医療系まとめサイトのような事態を生じてしまうのです。

ということで、最後にはやはり良質なウェブコンテンツを形作る、あなた自身の知識、情報、スキル、経験、人脈、構想力が重要なのですよという結論に相成るわけです。たかがアドセンス、されどアドセンス。けだし奥深いものであると、昨今の筆者はしみじみ思わされています。

記事制作:
ジャパンコンサルティング合同会社
代表 前田健二

ノマドジャーナル編集部
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