私の友人に副業でサイトM&Aをやっている人がいます。サイトM&Aとは、何らかの形で収益を生むウェブサイトを育て、売却してキャピタルゲインを得る事です。今回は、サイトM&Aについて書いてみます。
■収益物件としてのウェブサイト
ウェブサイトが収益を生む方法にはいくつかあります。中でもわかりやすいのは広告です。前にGoogleのアドセンスについて書きましたが、アドセンスではウェブサイトの月間PVが10,000位になると数千円程度の収益が得られます。ページビューが多いサイトはその分多くの収益を得られます。仮にあるウェブサイトの月間PVが100万だとすると、数十万円の収益を得ることになります。ウェブサイトのPVが安定していると、一年で240-360万円程度の収益が得られます。このくらいになると立派な収益物件と言えるレベルです。
また、多くのウェブサイトではアドセンスと並行してアフィリエイトの売上も得ています。その場合、アドセンスの収益とアフィリエイトの売上を合算してそのウェブサイトの収益とします。
■さらに上を行くネット通販サイト
収益を生む方法で、広告と並んでメジャーなのがネット通販です。特に自分のウェブサイトにショッピングカートや決済機能を付けた自己完結型のネット通販サイトの人気があります。ネット通販サイトの場合も広告と同様、利益の大きいサイトが収益物件としての価値があります。ここで重要なのは売上ではなく利益の額です。売上がいくら大きくても利益が出ていない、または赤字であるといった場合、収益物件としての価値は下がります。一般的に、赤字のネット通販サイトは売却が難しいケースが多いです。きちんと利益が出ていて、仕入れ先や客先も安定していて、スムースに買い手に引き継げるといったネット通販サイトの人気があります。
■最近はマッチングサイトも
また、最近はマッチングサイトも人気のようです。特に人材系のマッチングサイトの人気が高く、SEなどの技術系人材のマッチングサイトは引っ張りだこです。マッチングサイトのM&Aの場合、求人企業を一定数確保しておいて、まとまった状態でM&Aするケースが多いです。私が最近目撃したケースでは、最初からM&Aすることを前提に技術者人材のマッチングサイトを立上げ、営業してまとまった数の求人企業を確保し、十分に収益が出るようになった段階でM&Aした方がいました。若い女性でしたが、大したものだと大いに感心しました。
■相場はあってないようなもの
ところで、気になるのはサイトM&Aの相場、つまりいくらで売れるかですが、これについての黄金律はありません。一般に得られる収益の数年分などという大雑把な数字が出されることもありますが、絶対ではありません。将来得られるであろうキャッシュフローを見積もって現在価値に割り引く、いわゆるDCFと呼ばれるやり方で計算する人もいますが、それとて絶対ではありません。
一般論として言えるのは、多くの買い手が手を上げるサイトが高く売れる確率が高まることです。上に挙げた女性のマッチングサイトの場合、かなり多くの買い手が手を上げたらしく、それなりの値段で売却できたようです。
いずれにせよ、ウェブサイトを企画し、立上げ、マーケティングし、お客を付け、売上を上げ、利益を確保するという一連のプロセスを行うには、それなりの時間やリソースの投入が必要で、カンタンではありません。サイトM&Aの世界ではそれを「サイトを育てる」などと言いますが、収益を出せるサイトに育てるのは、並大抵のことではありません。
という事で、いつもの「楽して儲かるものはない」に帰結してしまいました。それでもサイトM&Aをやるぞという方には、本業に差し障りのない、無理のない範囲でやって下さいとアドバイスさせていただきます。
記事制作:
ジャパンコンサルティング合同会社
代表 前田健二
専門家と1時間相談できるサービスOpen Researchを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。