アクセラレータープログラムを導入している企業が急増中

アクセラレータープログラムとはいったいどういうものなのか知っていますでしょうか。

アクセラレータープログラムとは、大手企業がベンチャー企業に対して、出資やサポートを行い、一緒に事業の成功を目指すプログラムのことです。

最近では日本でもアクセラレータープログラムを積極的に運営している企業が増えています。民間企業だけでなく自治体も主催している状況で、その数は年々増加しています。これはスタートアップ企業をサポートしようという社会的な機運を象徴するような動きといっていいでしょう。

そこで今回は、アクセラレータープログラムとはどういうものかを明らかにした上で、主催している企業や自治体の事例をご紹介していきます。

アクセラレータープログラムとはどういうものか

アクセラレータープログラムとは

上述しましたが、アクセラレータープログラムとは、大手企業がベンチャー・スタートアップ企業に対して、出資やサポートを行い、共に事業の成功を目指すプログラムのことです。

2005年頃から北米でスタートし、日本でも2015年頃から積極的に導入する企業が増加してきました。

「アクセラレーター」とは加速者という意味があり、スタートアップ企業が成長するのをサポートして、成長スピードを加速させることをメインの目的としているのがアクセラレータープログラムです。

インキュベータープログラムとの違いは?

アクセラレータープログラムとよく勘違いされるものとして、インキュベータープログラムがあります。

アクセラレータープログラムは既に起業している企業の成長をサポートする一方で、インキュベーター・インキュベーションは起業前のアイデアを考えている段階からサポートします。

プログラムの内容は資金援助から、より良いサービスが提供できるような環境の整備にも力を注ぎます。対象となるのは、ビジネス経験が長くはない若い起業家のケースが比較的多いです。

※インキュベーションプログラムとも呼ばれています。

どういうスケジュールで進められのか?

一般的には、アクセラレータープログラムは以下のようなスケジュールで進められます。

  1. ビジネスプランの募集スタート
  2. 書類による選考
  3. 面接による選抜(通常は一次と二次の2回の面接を実施)
  4. 最終選考によりプログラムの参加者を決定
  5. 出資
  6. 支援スタート
  7. プログラムによる支援期間が終了後に成果の報告
  8. フォローアップの実施

以上が1~2ヵ月ほどで実施されます。

アクセラレータープログラムを導入している企業の事例

2017年に実施されたアクセラレータープログラムの中から、代表的な事例の一部をご紹介します。

三菱地所コーポレートアクセラレーター

三菱地所がすべての企業を対象にアクセラレータープログラムを募集しました。「街から起こすイノベーション」をキーワードに、いろいろな空間やサービスに要求される価値を深く考え、社会に価値を提供できる起業家や事業家をサポートすることを目的としたプログラムです。

ベンチャー企業や中小企業のオリジナルの「アイデアやスピード感、フットワークの軽さ、覚悟」と、街をつくっていくことによる社会貢献を使命として事業を進めてきた三菱地所が保有するリソースやネットワークなどをコラボさせ、新たなリノベーションが生まれることを目指したプログラムです。

TOYOTA NEXT

「TOYOTA NEXT」は、トヨタ自動車が協業やシナジー効果が期待できる企業を対象に募集したアクセラレータープログラムです。このプログラムへ参加すると、トヨタ自動車が保有する車両情報のビッグデータを活用したり、全国にあるトヨタの販売店のネットワークを利用したりすることができました。さらにはトヨタ自動車と共同して開発していくこともできます。

応募した企業は500社を超えましたが、協業先として選抜されたのは、「カウリス」・「giftee」・「シェアのり」・「ナイトレイ」・「エイチーム」の5社でした。

アクセラレータープログラムは東京都でも導入されている

アクセラレータープログラムは民間企業だけでなく、自治体でも導入されています。その一例として、東京都の「TOKYO STARTUP GATEWAY」があります。

東京で革新的なビジネスを生み出していくため、世界で通用するアントレプレナーを育成するためのビジネスコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY」。その注目度は高く、3年間トータルの応募者は2000名ほどになり、国内では最大規模のコンテストです。

「TOKYO STARTUP GATEWAY」の特徴としては、たった400文字で事業について書けばいいだけで、本格的な事業計画書は必要ない点です。また、さまざまな分野の起業家やベンチャーキャピタリストたちがサポートする体制が整っていて、参加者同士のコミュニティで相互にサポートし、高め合っていくこともできます。

アクセラレータープログラムからどんな成果が生まれるか注目されている

アクセラレータープログラムとはどういうものかを明らかにした上で、導入している企業や自治体の事例をご紹介しました。

事業をスタートして間もない企業にとって、アクセラレータープログラムは大手企業と提携できる絶好のチャンスです。さらには、ベンチャーキャピタルからの出資、オフィスや販売ネットワークの活用、成功へと導いてくれるアドバイスなどは大きなメリットです。アクセラレータープログラムを導入する大手企業にも、自社の力だけでは生み出せない事業を生み出したり、中小企業と交流することにより人材が成長したりするメリットがあります。

アクセラレータープログラムを導入する大手企業は増加していくことが予想されますが、今後どのような成果を生み出せるか注目されています。