プレイングマネージャーとは?
まずは、ビジネスにおけるプレイングマネージャーという言葉の意味から説明をしていきます。
管理と実務2つの働きが求められる
ビジネスの世界におけるプレイングマネージャーは、“管理者と実務者を兼任できる人材“のことをいいます。
つまり、営業などお客様とのやり取りや交渉といった実務をこなしながら、管理職もしくは部下をまとめる立場としてチームを指揮しながら働いているのです。
ビジネスの世界でもプレイングマネージャーが増えている
これまでスポーツの世界でプレイングマネージャーが重宝されたのは、自分が選手として試合に参加することで、戦局を判断することはもちろん、チームメンバーの動きや様子をより近いところで見ることができたからです。
とくに野球といった団体スポーツにおいては、選手がそれぞれ自分の役割を分担されています。こうした背景からも、プレイングマネージャーという形をとりやすかったのではないでしょうか。
この数年で、ビジネスの世界でも、団体スポーツのように、チームとして働く機会が増えてきました。その結果として、ビジネスにおいてもプレイングマネージャーとしての働きを求められる社員が増えてきたのです。
プレイングマネージャーに求められる課題や役割とは?
では、ビジネスにおけるプレイングマネージャーにはどのような課題や役割が求められるのでしょうか。ここでは大きく3つの観点からみていきます。
1. 目標達成(組織と個人)
まずは目標達成についてお話しします。
どのような業界であっても、会社からなんらかの目標が定められているのがビジネスの世界です。営業職であれば売り上げ目標、マーケティングであれば開拓件数などの数値目標が設定されているのが一般的ではないでしょうか。
プレイングマネージャーは、自分が管理するチームや部下がこの目標を達成するために一緒に力をあわせて進んでいくことが求められます。部下へのアドバイスはもちろん、顧客先への同行などその形はさまざまです。
もちろん、プレイングマネージャー自身にも目標が課されています。そのため、自身の目標を達成しつつ、チーム全体も目標が達成できるように働きかけていかなくてはなりません。
2. チーム形成と構築
実務者として仕事に忙しくすることはもちろん、管理者として自分がまとめるチームを作ることもプレイングマネージャーの仕事のひとつです。
チームに足りない要素を分析して、部下に共有することはもちろん、場合によってはチーム全体での勉強会などを開催することもあります。
またチームのリソースが足りない時には、会社へメンバーの補充などを交渉するのもプレイングマネージャーの仕事です。
3. チームマネジメント
プレイングマネージャーには管理者としてチームを形成・構築することとあわせて、チームマネジメントが仕事として課されます。
チームで起こるトラブルや問題に対処し、解決へ導くのもプレイングマネージャーに求められる仕事なのです。
チームマネジメントが上手にいかないと、部下は業務が多すぎて疲れてしまったり、反対に仕事がなくて時間を持て余してしまったりと、どちらにしてもチームにとって大きな損失になります。
プレイングマネージャーとして働く3つのメリット
実務・管理の2つの働きをしなくてはならないプレイングマネージャーですが、この働き方にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つ紹介します。
1. 自身の経験を部下に伝えやすい
まずは、自身のこれまでの実務経験を部下に伝えやすいことです。プレイングマネージャーの場合には、自身も実務者として働いているため、最新の知見と適切な温度感で話をできます。
これが管理だけを業務としている人だと、そうはいきません。技術に対する認識のギャップがあるのはもちろん、実務の面においても温度差が出てきてしまいます。
2. 部下との距離感が近く、双方が接しやすい
これも実務をしていることによるメリットですが、部下との距離感が近いことです。業務内容が近いのはもちろん、知識も共有できていると部下としては話がしやすいし、相談もおこないやすいです。
一緒に実務をおこなっているからこそ、構築された距離感だといえます。
3. プレイヤーとして働きながら管理職としての能力が鍛えられる
これまでの企業では、実務者からいきなり管理職へ登用されるため、立場が変わってからチームマネジメントや部下の動かし方を学ぶ人が大半です。
そのため、実務者とのギャップがあるようなマネジメントをしてしまう人も多く、管理職になった途端に部下とうまく関係が築けなくなる人が少なくありませんでした。
プレイングマネージャーとして実務をこなしながら、チーム管理をおこなうことは、管理職になるための事前準備にもなります。管理職になってから焦らないためにも、今からチームマネジメントを経験できるのは大きなメリットではないでしょうか。
プレイングマネージャーが陥りやすい3つの罠!
プレイングマネージャーとして働く上で、どのようなことに気をつけていかなくてはならないのでしょうか。ここでは働く上で陥りやすい3つの問題を中心に説明します。
1. チームマネジメントがおろそかになる
1つ目は、チームマネジメントがおろそかになる点です。これは、管理よりも実務の方に集中してしまうプレイングマネージャーに起こりやすいことです。
このような人たちが、自分が実務だけを業務としておこなっていたときの経験から抜け出せず、実務の方にのみ集中してしまいます。
その結果、チームマネジメントに目を向けられず、大きなトラブルが起こってから問題を把握するというケースが少なくありません。
マネジメントがおろそかになると、部下からの信用も下がりやすくなるため、早い段階で“実務だけではなく、チームの管理も自分の仕事である”という自覚をもつ必要があります。
自身の目標が達成できない
2つ目は、チームの目標が達成できても、自分の目標が達成できない点です。これは、実務よりも管理の方に集中してしまうプレイングマネージャーに起こりやすいことです。
どうしてもはじめてのチーム運営となると、「何とかして、チームの目標を達成しなくては!」と意気込んでしまうプレイングマネージャーが少なくありません。
その結果、チームの方ばかりに目がいってしまうため、自分の実務がおろそかになってしまいます。チームと同じだけ、自分の実務にも目を向けてあげるとこの問題は解消へ向かうはずです。
3. 周囲の評価に過敏になり、本来の力を発揮できない
3つ目は、周囲の評価に過敏になり、本来の力を発揮できないことです。こうした人は、周囲の目線が気になり、何をしようとしても前に進めなくなってしまいます。
これまで責任のある立場を経験したことがない人や他者からの評価に対して過敏な人に とくに多いです。このような問題に当たったときには、「まずは、行動を起こしてみよう!」と自分の気持ちを一つ割り切ることが重要です。
評価に過敏になるあまりに行動を起こせないでいると、“行動の起こせないリーダー”としてみられてしまいます。そのため、まずは失敗をしてもいいので行動を起こすところからはじめてみてはいかがでしょうか。
組織に取り入れたい!企業としてできることは?
最後に、今後プレイングマネージャーを組織に取り入れたい企業ではどのようなことをおこなう必要があるのかを考えていきます。
すでにプレイングマネージャー制度を取り入れている企業やその担当者の方も、新しい発見や自社の方向性の確認になりますので、もしよかったらご覧ください。
マネージャーとして働く社員のフォロー体制を整える
まず大切なのが、プレイングマネージャーとして働く社員のフォロー体制を整えることです。
プレイングマネージャーは実務と管理の2つの側面から業務を行います。これまで実務だけを担当していた人からすると、とてもきついことです。中には毎日新しいトラブルを経験している人も少なくありません。
最初のうちは、プレイングマネージャーと半月に一度ぐらいのペースでフィードバックの機会を設けることをオススメします。この期間で確認をおこなっていれば、大体は問題が起こっていても修正をしながら進めることができるからです。
また、プレイングマネージャーが実務や管理に偏っていないかを確認することはもちろん、チームに問題が起こっていないかについても同時にチェックできます。
チームをマネージャーひとりに任せっきりにしない
またプレイングマネージャーに、ひとりでチームを任せっきりにしないような配慮が会社として必要です。
責任感の強いプレイングマネージャーほど「自分ひとりでどうにかしなくては!」と考えてしまいがちです。しかし、実務と管理のプレッシャーから会社が想像する以上の重圧がマネージャーにはかかっています。
プレイングマネージャーの相談役となるような社員をメンバーに入れることや、すぐに他のマネージャーたちと連携が取れるようなチーム編成にすることなど、マネージャーが孤立しない体制を会社側も考えていく必要があります。
まとめ
ビジネスにおけるプレイングマネージャーの働きやその役割を中心に紹介しました。プレイングマネージャーは自身を成長させる働き方であると同時に、周囲と連携する力も求められます。
プレイングマネージャーとして成功するためには、自身で働き方を管理することはもちろん、部下との連携や会社のサポートも欠かすことができません。