人の上に立つということは大変なことです。自分よりキャリアの浅い若手や新人だけでなく、場合によっては自分より年長の社員、あるいは契約社員、アルバイトなど雇用形態の違う人たちもマネジメントしなければいけません。
これは、外部人材についても同様にいえることで、ビジネスノマドが企業に入り込んで稼働する場合でも、いきなりプロジェクトマネジメントを任されることもあります。その場合は、外部人材でありながら、内部のプロジェクトメンバーのマネジメントが必要になるのです。
彼らを束ね、相談に乗り、アドバイスを与えながら、業績を上げていく。やらなければいけないことがたくさんありすぎて、途方に暮れてしまう新人マネージャーも多いことと思います。
そこで今回は「マネージャーになったときに覚えておきたい言葉」を集めてみました。いったいどのような気持ちで部下たちに相対すればいいのか? 人生の先輩である経営者たちの言葉を参考にしてみてください。
人を動かすということは、人の心を動かすことにほかならない
上田準二 ファミリーマート代表取締役会長
マネージャーの役割は「人を動かす」ことです。デール・カーネギーの『人を動かす』という自己啓発の名著は世界的ベストセラーになりました。それだけ多くの人が「人を動かす」ことに関心を払っているのです。
とはいえ、「人を動かす」とは「人を駒のように動かす」という意味ではありません。人を上手く操ろうなんて考えたら、必ず失敗するでしょう。
マネージャーが相手にするのは、駒ではなくて人間です。人間の心を動かすために大切なのは、相手に対する敬意、リスペクトです。リスペクトを感じた現場は、自分たちが主役なんだとプライドを持ち、意欲的に仕事に取り組みはじめます。
ファミリーマートには、全国で10数万人のアルバイトスタッフがいるそうです。彼らを動かしているのも、現場に対するリスペクトなのです。
一番大事なのは、あなたを信頼しますという姿勢、
あなたが仕事をしてくれると私は信じていますよという姿勢です。
カルロス・ゴーン 日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)
瀕死の状態にあった日産自動車の経営を立て直し、アメリカの経済誌に「アメリカ国外にいる最強の事業家の一人」とたたえられたカルロス・ゴーン氏。
ゴーン氏は、マネジメントの鍵は、上司が担当者に細かく介入せずに任せることだと語っています。過剰なマイクロマネジメントはモチベーションの低下を招くだけ。その上で自分が何を期待しているかを正確に伝えることです。「いつまでに何をどうしてください」と伝える。これをゴーン氏は「期待水準を伝える」と表現しています。
あとは、その人を信頼する。そうすることで、モチベーションの高い仕事が引き出せるのだそうです。そのためには、誰にどんな仕事をしてもらうのか、自分自身が明確に把握していなければいけません。
人の上に立つ人間は、
自分の持ち時間の2割ぐらいは後進の教育に充てないといけない。
川村 隆 日立製作所相談役
2015年、過去最高益を叩き出した日立製作所。日立グループ復活の立役者が、執行役会長兼社長として辣腕をふるった川村隆氏です。そんな川村氏が最も力を入れたのが人材育成でした。人材育成こそ、企業を持続的に成長させる要だと考えたからです。
自身が部課長時代は、後進を育てるため、要所で一緒に行動するようにしていたといいます。取引先で叱られることがわかっていたら、部下を連れて訪問する。あえて自分が叱られる姿を見せて、部下と一緒に事情を説明したそうです。
部下のために自分の時間の2割を割くのは大変なことだと思います。それだけ自分の仕事を効率よく済ませる必要があります。それでも、部下の成長は、会社に多大な貢献であり、マネージャーの功績になります。一度、自分の持ち時間を計算して、その2割を部下のために費やすようにしてみてください。
ライター・編集。著書に『名言力 人生を変えるためのすごい言葉』(SB新書)、『平成の名言200 勇気がもらえるあの人の言葉』(宝島SUGOI文庫)、『野原ひろしの名言 「クレヨンしんちゃん」に学ぶ幸せの作り方』、『野原ひろしの超名言 「クレヨンしんちゃん」に学ぶ家族愛』(いずれも双葉社)などがある。構成を担当した書籍に『一生成長し続ける人が大切にしている五賢人の言葉』(小宮一慶著、SBクリエイティブ)など。
ノマドジャーナル編集部
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