現役フリーランスはどうやって仕事を探している?

「フリーランスとして、自宅やオフィスで気ままにお仕事を……」と思って、憧れのフリーランスデビューを飾っても、そもそも仕事がなければ生活していくことができません。会社から独立してフリーランスへの道を希望していても、一から仕事探しをするにはどうすればよいのか、不安に思う人は少なくないでしょう。

会社に在籍さえしていれば、毎月口座に給料が振り込まれる会社員とは異なり、フリーランスは自分の力で仕事を見つけ、仕事の成果をクライアント(顧客)に認めてもらわなければ、収入を得ることはできません。

では、現役でフリーランスとして働いている人は、どのようにして仕事を探し、生活していくだけの収入を得ているのでしょうか?

フリーランスや個人事業主の働き方を調査した、平成27年度の「小規模事業者等の事業活動に関する調査に係る委託事業報告書」(平成28年3月、株式会社日本アプライドリサーチ研究所)によれば、「フリーランスとして仕事を受注する方法」の第1位は、「知人、同業者からの紹介」で55.1パーセント、第2位は「自らの営業(自分のホームページ・ブログ、チラシの作成・配布、飛び込み営業等)」で50.7パーセント、第3位は「クラウドソーシング」で7.8パーセントでした。

現役のフリーランスの半数以上が、「知人、同業者からの紹介」で仕事を受注しているということがわかります。これはフリーランスとして独立してからというよりも、サラリーマン時代の人脈によるものと考えられるでしょう。

第2位の「自らの営業」も、サラリーマン時代に営業活動やホームページ制作の経験のある人が、独立後にスキルを活かして仕事を得ていると考えられます。しかし、すべてのフリーランスが豊富な人脈があるわけではありませんし、自ら営業活動をして仕事を取ってくるというのは、スキルや実績がないとできるものではありません。

「人脈も営業スキルもない人は、フリーランスに向いてないの?」

もちろん、そんなことはありません。人脈や営業スキルがなくても、フリーランスとして独立して、サラリーマン時代の収入を超える人もたくさんいます。そのヒントが、本記事でご紹介する「クラウドソーシングの活用」です。

参考:平成27年度 小規模事業者等の事業活動に関する調査に係る委託事業報告書

フリーランスのクラウドソーシング活用術

そもそも、クラウドソーシングとは何なのでしょうか?

クラウドソーシングとは、インターネットを利用して不特定多数の人に業務を委託する新しい雇用システムです。もっと簡単に言えば、仕事を発注したい人と仕事を受注したい人が集まり、仕事の契約を結んだり連絡を取り合ったりできるサービスのこと。

サラリーマン時代の人脈を頼ったり、自らセールスをかけたりすることができないフリーランスの方にとっては、だれでも利用できるクラウドソーシングで実績を積んでいく、というステップが一般的になっています。

仕事探しは大手2社のクラウドソーシングを使い分ける

クラウドソーシングは、利用者の多さ、案件の多さから次にご紹介する大手2社の利用をおすすめします。

ランサーズ(https://www.lancers.jp/)
クラウドワークス(https://crowdworks.jp/)

ランサーズとクラウドワークスで、システムの違いや案件の種類、仕事内容、手数料などに大きな差はありません。ただし、大きな違いとして報酬が自身の登録した銀行口座に振り込まれるタイミングに違いがあります。

ランサーズは、毎月15日締め当月末支払い/毎月月末締め翌月15日支払いで固定となっていますが、クラウドワークスにはさらに申請後3営業日以内に報酬を受け取ることができる「クイック出金」が利用できます。ただし、これには3.5パーセントの手数料がかかります。

とくにフリーランスを始めて間もない方にとって、資金繰りのスピードは重要です。フリーランスとして独立してすぐ、サラリーマンと同じくらいの収入が得られるとは限りません。資金繰りのスピードと報酬の積み立てを両立させるなら、クラウドワークスで早めに報酬を受け取りながら、ランサーズで積み立てていくという方法がおすすめです。

プロジェクト・タスク・コンペの違いとは?

クラウドソーシングには、次に挙げる3種類の異なる仕事の依頼形式があります。ここでは便宜上、仕事を発注する側をクライアント、仕事を受注する側をフリーランスとして、それぞれの形式について説明します。

プロジェクト形式

クライアントが特定のフリーランスに仕事を依頼する、1対1の形式です。クライアントの募集に対し、フリーランスが実績やスキル、納品までの期日を提案し、両者が金額・工程・納品日を相談、お互いに同意したうえで契約が結ばれます。

働いた時間に対し時給換算で報酬が支払われる「時間単価制」と、成果物に対し報酬を支払われる「固定報酬制」があります。主にアプリの開発、ホームページ作成、記事のライティング(長文・長期)など、ある程度フリーランスのスキルが求められる仕事で採用されています。

タスク形式

クライアントが不特定多数のフリーランスに公開状態で依頼する形式です。契約や作業前の打ち合わせが不要で、5~10分で完結する簡単なアンケート調査などの作業に適用されます。クライアントから成果物を採用された場合に、フリーランスんほ報酬が発生します。

スキルや実績がなくてもだれでも受注できるため、主にフリーランス初心者の方が実績づくりに利用するケースが多いようです。

コンペ形式

クライアントが不特定多数のフリーランスから提案を募る形式です。主にロゴ作成、バナー作成、ネーミングなどデザイン系のお仕事でよく見られます。クライアントから成果物が採用されたフリーランスにのみ報酬が発生します。

クラウドソーシングで単価の高い仕事を受注するには?

ここからは、フリーランスとして生活していくために、クラウドソーシングを有効活用するコツをお伝えします。

クラウドソーシングを利用して仕事を得ていくうえでもっともネックとなるのは、1件の仕事あたりの報酬の低さがあります。「知人、同業者からの紹介」や「自らの営業」で仕事を得る場合、サラリーマン時代の実績や信頼が前提としてあるため、フリーランスとして独立した直後でも、ある程度高い報酬が見込まれる仕事が得られるでしょう。

一方、クラウドソーシングには、なかなか単価の高い仕事は見つかりません。さらに、フリーランスとして実績やスキルが乏しい時期は、とくに単価が安くて簡単な仕事ばかりを受注しがちです。

実績を積んでいくことは大事ですが、あまりに単価の安い仕事ばかり受注しても、十分な稼ぎにはなりませんし、モチベーションも高まりません。結局「フリーランスでは稼げない」と諦めてしまうことにもなります。

クラウドソーシングで単価の高い仕事を受注するためには、「1.プロジェクト形式の仕事を受注する」「2.単価の高い仕事にも提案する」「3.最低限のルールを守る」の3つを心がけましょう。

しかし、スキルも実績もフリーランス初心者のうちは、ベテランには太刀打ちできませんし、クライアントもなかなか大事な仕事を依頼してはくれません。そんなフリーランス初心者でもできることがあります。

それは、どのフリーランスよりも早く納品すること。とくに短期間に多くの成果物を求めているクライアントにとって、仕事の早いフリーランスは貴重な存在です。

単価の高い仕事を受注するための3つの心がけを大前提として、さらに「最速納品」を自分の武器にすれば、スキルや実績がなくても高い仕事を依頼される可能性が高くなります。

最速納品は単価の高い仕事を受注する方法として有効なほか、納期をしっかりと守り、かつクライアントの想定よりも早く納品できるフリーランスは、クライアントから継続して仕事を依頼されることになるでしょう。

ネットで完結、クラウドソーシング以外の仕事探し

ここ数年で副業として、あるいは専業としてクラウドソーシングを利用する人が多くなり、フリーランスによる競争率の過熱しつつあります。さらに、安い単価で仕事を発注したいクライアントと、単価が安くても受注してしまうフリーランスの間で、仕事1案件あたりの単価がますます安くなっていく傾向にあります。

それでもクラウドソーシングは仕事探しには欠かせないツールですが、より単価の高い仕事を探したいという方には、自社サイトや自社メディアなどでフリーランスを募集しているクライアントを見つけるという方法もおすすめです。

たとえば多くの情報サイト、ニュースサイトは、常にライターを募集しています。実際に単価の高い仕事を依頼されるかどうかは相談してみないとわかならいところもありますが、クラウドソーシングには掲載されていない仕事が見つかる可能性もあります。

さっそくクラウドソーシングを利用してみましょう

本記事でクラウドソーシングの基礎を学んだら、さっそく登録して仕事を受注してみましょう。多く経験を積むことこそ、フリーランスとして生活していくための一番の近道です。

実際に、ライターとして、エンジニアとして、デザイナーとして、クラウドソーシングでこつこつと実績とスキルを身につけ、大手企業のクライアントから仕事を受注しているフリーランスもたくさんいます。

最初は月に1万円も稼げなかったり、単発の仕事ばかりでなかなか継続して仕事ができるという状況ではなかったりもします。それでも、しっかりとスキルと実績を身に付け、クライアントが希望する成果物を納品できていれば、専業フリーランスとしてサラリーマン時代を越える収入を得ることも不可能ではありません。

ここ数年で働き方や雇用形態が変化したことにより、フリーランスとしての働き方に注目が熱っています。クラウドソーシングの急激な発展もその一端と言えるでしょう。

しかし、冒頭でご紹介したアンケート調査からも、クラウドソーシングで仕事探しをしている人は、全体の10パーセントにも満たなかったように、フリーランスという働き方を希望する人はいても、クラウドソーシングの存在すら知らないという人が多いことも事実です。

「自分がやりたい仕事、できる仕事はどのようにして見つければいいのか」その答えを知っている人が、フリーランスとして生き残っていると言っても過言ではありません。フリーランスとしてのデビューを健闘している方も、すでにフリーランスとして自立している方も、クラウドソーシングで新しいビジネスチャンスをつかんでみませんか?