フリーランスで働くSEが年々増えている

特定の会社と雇用契約を結ばずに、クライアントと直接契約を結ぶ、そんなフリーランスという働き方を選択するひとが増えています。それは、システムエンジニア(SE)も例外ではありません。

フリーランスとして独立することで、働く時間を自由に決めたり、複数のクライアントと仕事できるため、年収アップやライフスタイルの充実を図れるメリットがあります。

フリーランスSEになる方法は?

それでは会社員をやめてフリーランスSEになるためには、どうしたらよいのでしょうか?まずは、フリーランスという働き方でSEをするとはどういうことか、解説していきます。

現在は、決まった企業に出勤する「出向型・常駐型」が多い

フリーランスというと、会社に出社せずに在宅やカフェなど自由な場所で働いているイメージがあるかもしれません。しかしフリーランスSEの場合は、必ずしもそうではない場合が多いのです。

SEはシステムの設計や開発、テストなどを手掛ける職種ですが、プログラマよりも上流工程を担うことが多くなります。完全に在宅などメンバーと離れた場所での仕事が少ないのが現状です。

そのため、フリーランスSEは「出向型・常駐型」の案件が大半をしめます。会社員と同じようにクライアントのオフィスで仕事をしますが、雇用契約ではなく案件ごとに業務委託契約を結びます。クライアントと対等な立場で契約でき、社員ではないので副業禁止などの制約もありません。

会社勤めを経てからの独立がほとんど

フリーランスSEとして独立するのは、会社員としてSE職種を経験して5年以上経っている人がほとんどです。プログラマーの場合は、なかには業務経験は未経験のままフリーランスを目指す人もいますが、SEは一般的にプログラマーよりも上流の工程を担当するので、しっかりとした地盤が必要です。

要求分析や要件定義、基本設計や詳細設計などの業務を社員時代に経験しておいたほうが、独立後にすぐにSEとして仕事を受注できる可能性が高まります。

クライアントからしてみても、フリーランスに求めるのは「即戦力」で、イチから仕事を教える土壌はありません。システム開発の一通りの流れをつかめていることは必須のスキルといえるでしょう。

在宅で働くフリーランスSEは少数派

さきほども説明したように、在宅作業のみをおこなっているフリーランスSEは少数派です。というのも、SEに求められるのは、システム構築のプロジェクトの上流工程なので、メンバーとのコミュニケーションを取りながらの作業が必要だからです。

また、データやコードを持ち帰って仕事することは情報漏洩のリスクがあることから、大企業であればあるほど、在宅やサテライトの環境での仕事を良しとしないことが多いのです。

エンジニア向けの在宅案件はありますが、小規模のシステムばかりで、プログラミング作業がメインの案件がほとんど。SEがやりがいを感じるような大きなプロジェクトはやはり企業に常駐して進めることが多いようです。

フリーランスSEのメリットとデメリットを解説

ここからは、フリーランスSEのメリットとデメリットをそれぞれ解説していきます。「フリーランスに興味がある」「フリーランスSEになりたい」と考えている会社員SEの方はぜひチェックしてみてください。

フリーランスSEのメリット

自分の裁量で仕事ができるので、収入が増える

フリーランスの一番のメリットは、会社との雇用関係に縛られない働き方です。会社員SEは、ひとつの会社と雇用契約を結んでいるため、残業を強いられたり嫌な上司のパワハラにも耐えたり…ということが必要。しかしフリーランスは自由にクライアントと契約を結べるのが強み。

契約時に労働時間に対しての契約金を自由に設定できます。会社員の給料を増やすために残業していたのが滑稽に思えるかもしれませんね。契約金をクライアントと対等な立場で交渉できるため、労働時間は減り、収入は増えるという仕組みです。

実際にフリーランスに転身したSEのほとんどは、会社員時代と比べて、自由な時間と収入が増えたという方がおおいと言われています。

仕事を与えられるのではなく、自分で仕事を選べる

「仕事を選ぶことができる」というのもフリーランスならではのメリットです。サラリーマンであれば、いくらその仕事に興味が湧かなくても、人間関係が辛くても、会社の指示で指定された就業場所から逃れる方法はありません。しかしフリーランスならば、好きな仕事に応募し、さらに嫌な仕事を避けることも可能です。

月単価がより高いプロジェクトを優先して選んだり、苦手な同僚がいる案件の契約を終わらせたり、自分の裁量で仕事を選ぶことができます。

かかったお金を経費にして、節税することが可能

フリーランスは個人事業主です。個人事業主は青色申告の届出をすれば、最大で65万円の控除が受けられ、さらに事業に関連した出費を経費として計上することができます。

たとえば会社員時代であれば、独学するために買った本や、仕事付き合いの飲み会参加費などは自腹で払っていたかもしれませんが、フリーランスであればすべて経費にすることが可能です。

収入や経費を自分で計算して帳簿を作らなければならない大変さはありますが、サラリーマンではできない節税が可能なのが、フリーランスのメリット。

SE以外にも、いくらでも副業できる

正社員の場合は副業が禁止されている会社がほとんどだと思いますが、フリーランスは副業が無限に可能です。

深夜残業が当たり前だったサラリーマン時代から、独立して自由な時間が増えたというフリーランスSEがほとんどですので、その自由な時間に副業でさらにお金を稼ぐことだってできます。

プログラミングの仕事を受託したり、アフィリエイトで収益を上げたり、いくつも収入源を増やして稼ぎを増やしているフリーランスがたくさんいます。

フリーランスSEのデメリット

一方で、システムエンジニアがフリーランスとして独立する際のデメリットはどのようなことでしょうか?

収入が安定せず、下がることもある

フリーランスの最大のデメリットは「収入が安定しないこと」です。会社員や派遣社員の場合は、たとえスキルが低くても月額決まった収入が保証されています。しかしフリーランスは、プロジェクトごとに業務委託契約を結ぶので、固定した収入が得られるわけではないのです。

会社員時代よりも収入が下がる可能性もあります。プロジェクトが終了した時点で継続の契約が取れなければ、翌日から仕事がないという状態もあり得ます。

だからこそ、よい働きをして、クライアントの信用を得て、契約を継続していくスキルや信頼関係構築が必要です。

逆にいうと、雇用契約に縛られず、有能な人は仕事をどんどん契約できるため、フリーになった方が収入がアップするでしょう。それでも安定性がないと不安だと思う方には、フリーランスという働き方は向いていないといえます。

福利厚生や手当・有休・ボーナスがない

会社員が享受できる、会社の福利厚生や各種手当、有給休暇、ボーナスという仕組みがないことも、フリーランスのデメリット。しかし、特定の会社に属していないのですから、これらはもらえなくて当たり前の制度です。

むしろ、このことをデメリットと感じるような方には、フリーランスは向いていないといえるかもしれません。自分の能力をいかんなく発揮して、自分の力で稼いでいきたいという気概を持っている人が、フリーランスに向いています。

確定申告や納税など、業務外の雑務が増える

独立して個人事業主になると、それまで会社が代行してやってくれていた税金計算などを自分ですべてしなければなりません。一国の主なので、自分が稼いだ所得に対しての納税の義務があるのです。

しかし、手間が増える分、先ほども説明したように、事業に関わる費用を経費にしたり、青色申告をすれば控除を受けられたりという役得もあります。

帳簿をつける大変さはありますが、今では便利な会計ソフトもありますので、活用しながらうまく節税していくフリーランサーが多いようです。

フリーランスSEの稼ぎはどのくらい?

フリーランスSEのメリットとデメリットが分かったところで、実際独立して生計を立てている先輩たちはどのくらい稼いでいるのか、解説していきますね。

フリーランスSEの年収は、600万~960万円が平均

レバテックなどの案件紹介会社の単価を見てみると、月単価50~80万円の案件がほとんどを占めています。これらを年収換算すると、年収600~960万円です。実際にフリーランスSEとして活躍している方のインタビューを見てみると、この数字は間違ってなさそうな印象をうけます。

一方で会社員SEの年収は、平均500~600万円が相場なので、やはりフリーランスとして独立したSEの方は、収入アップしていることがわかりますね。

参照元:https://next.rikunabi.com/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=002284

案件の相場は?月単価100万円以上の案件も

案件単価の相場はどうでしょうか。最近インターネット広告で「月単価160万円の案件満載」という文言を見かけることも多くなりました。

しかし、月単価160万円はほぼ「珍しい案件」と考えても仕方ないようです。前項で開設した通り、月単価は50~80万円の案件が一般的。しかし中には100万円以上の案件が存在するのは事実です。

その分求められるスキルは高く、狭き門にはなりますが、能力次第では正当な賃金をもらえる土俵ができているのが、フリーランスSEの世界でしょう。

フリーランスSEの仕事の探し方

フリーランス専門のエージェントで探すのが一般的

「独立してすぐに仕事が見つかるの?」「案件はどこで見つけるの?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、最近はフリーランス専門の案件紹介サイト(エージェント)が多数あり、案件を探すのに苦労することはありません。

具体的には「レバテックフリーランス」「ギークスジョブ」「Midworks」「エンジニアファクトリー」など、エンジニアに特化したエージェントがあります。

「まだフリーランスになるか決めかねている…」という方も、登録は無料ですので、どんな案件がどのくらいの単価で募集されているのかを見ることで、フリーランスとして生計を立てていけそうか試算したり、イメージしたりできるでしょう。

フリーランスSEにはメリットもデメリットもある

フリーランスSEのメリットやデメリット、そして収入事情を詳しく解説してきました。ここまで説明したように、独立してフリーランスになるには良い面と悪い面があります。

個人事業主になって収入を増やして活躍できる方もいれば、安定した会社勤めが向いている方ももちろんいます。デメリットとメリット両方を天秤にかけて、自分の実現したい働き方をもう一度見つめ直してみると良いかもしれませんね。