フリーランスのデザイナーになりたい

フリーランスという働き方が年々増えています。フリーランス向けの案件紹介サイトLancersの「フリーランス実態調査2017年版」では、国内フリーランス人口は1,122万人に達しました。

DTPデザイナーやグラフィックデザイナー、イラストレーターなどのデザイナー職のフリーランサーも増えている状況で、フリーのデザイナーになるにはどうしたらよいのか、解説していきます。

フリーランスデザイナーの年収・案件単価はいくら?

フリーランスデザイナーになりたいと思った時に気になるのが、「実際どのくらい稼げるの?」という部分ですよね。

フリーデザイナーは、どのくらいの年収を稼いでいるのでしょうか。そして、デザインやイラスト1点あたりの単価はどのくらいが一般的なのか。

イラストレーターの場合

フリーのイラストレーターのお財布事情は、決してし厳しくないとは言えないようです。

京都精華大学マンガ学部で准教授を務める西野公平さんによると、プロのイラストレーターの年収は、100万円以下の割合が53%だといいます。もちろんそれ以上稼いでいる人気イラストレーターもいますが、実に半数のイラストレーターが100万円も稼げていないようです。

イラストレーターの年収が低いのは、イラスト1点あたりの報酬単価の相場が低いからと考えられます。日本イラストレーター協会によると、モノクロイラスト1点で3,000円~5,000円、カラーは5,000円~10,000円が相場です。しかし、クラウドソーシングサイトでは1点300円など低単価の仕事もあります。

たとえ単価の高い案件を受注できたとしても、デザインやイラストは、納品した時点で契約が終了するため、コンスタントに受注するのには工夫が必要です。

DTP・グラフィックデザイナーの場合

フリーランスの求人マッチングサイトCrowdteckによると、フリーランスで活動しているDTPデザイナーやグラフィックデザイナーで多い収入ゾーンは、年収300万円未満~500万円前後です。もちろん若手は300万円に満たないことも多く、仕事が増えて安定した中堅デザイナーが400~500万円前後のようですね。

続いて、案件ごとの単価を見ていきましょう。日本グラフィックデザイナー協会によると、印刷媒体広告の場合、雑誌A4カラーで65,000円、A4リーフレットで25,000円、個装箱などのパッケージデザインは137,000円が目安とされています。しかしクラウドソーシングや安価のデザイン制作会社の台頭により、実際はもう少し低い単価の仕事が多いようです。

フリーランスデザイナーになる方法

インハウスデザイナーを経て独立する

一般的には、会社員として働いていた実績をもとに、独立してフリーランスになるデザイナーがほとんどではないでしょうか。DTPデザインには、デザインスキル以外に、入稿や印刷に関わる専門知識などが必要なので、その知識を体得してから独立する方が多いようです。

会社員デザイナーは月額固定ですが、フリーランスになれば仕事をすればするほど収入がアップします。また、拘束時間がないので、自由なスタイルで働くことが可能です。

未経験から実績をつくってフリーランスになる

デザイン未経験の方がDTPデザイナーやグラフィックデザイナーになるケースは稀ですが、実務経験がなくても趣味で描いたデザインやイラストにファンが付き、デザイナーになる方もいます。デザイナーになるためにはPhotoshopやIllustrator、InDesignなどのソフトを使う技術や、過去のポートフォリオ(実績)が必須です。

趣味でも構わないので実績を作り、自分のデザインやイラストを気に入ってくれるクライアントを増やすことが必要。DTPデザインの場合は前述したように印刷や色についてなど専門知識を独学で身につける必要があります。

フリーランスデザイナーはどこで仕事を見つけるの?

会社員デザイナーは営業部門が受注した案件をこなしますが、フリーランスデザイナーは自身で営業も行わなければなりません。では、フリーのデザイナーは、どこで仕事を見つけるのでしょうか。

つながりのあるクライアントや人脈を生かす

独立したデザイナーやイラストレーターが仕事を受注するルートで多いのは、やはり過去のクライアントやプライベートな知り合いなどの人脈です。以前仕事を依頼され納品したクライアントに、フリーになったことを伝えておけば、デザイナーが必要になったときに声をかけてくれるでしょう。

職種を問わず、フリーランスにとって人脈は欠かせない経営資源とも言えます。クライアントとは常によい人間関係を築き、一度仕事が終了してもまた発注してくれる状態を作りましょう。

ポートフォリオを作ってひたすら営業する

デザイナーやイラストレーターは、成果物に対して報酬をもらう職種なので、今までのデザインやイラストをまとめたポートフォリオは必ず用意してください。とくに新規のクライアントから仕事をもらうときには、デザインやイラストのタッチや精密さを判断する材料になります。

ポートフォリオが完成したら、できるだけ多くの人の目に触れるようWebサイトで公開しましょう。イラスト投稿サイトのpixivをポートフォリオ代わりにするのもよいですが、できればチャンスを増やすために両方用意したいところです。

ポートフォリオサイトは必ず名刺にも記載し、積極的に営業していきましょう。

フリーランス向けの案件・求人サイトで探す

過去の人脈や営業活動でなかなか受注できない場合は、クラウドソーシングなどの案件募集サイトも活用して、仕事を受注していきましょう。

例えば「Lancers」や「クラウドワークス」などのサイトには、「DTPデザイン」「バナー作成・デザイン」「イラスト制作」などのカテゴリがあります。クライアントが募集している内容を見て、デザインを提案し、採用されれば仕事を受注できます。

また、フリーランスクリエイター向けのエージェントサイトでまとまった仕事を探す方法もあります。例えば「レバテッククリエイター」なら、DTPデザイナーやイラストレーターなどの職種ごとに募集されている求人に応募できます。クラウドソーシングより、まとまった単位での発注が見込めます。

フリーランスデザイナーが成功するためには?

フリーランスの強みは自由度が高いことですが、会社員に比べて安定性に欠けるデメリットもあります。安定して稼げるフリーランスデザイナーになるには、どうしたらよいのでしょうか。

納期は必ず守りクライアントの信頼を得ること

当たり前のことですが、納期は必ず守りましょう。もし遅れる場合は必ず事前に連絡をして、進捗状況を知らせるようにしてください。クライアントとの信頼関係を持続させることが、ひとつのクライアントから永続的に仕事を発注してもらえる可能性を上げるからです。

依頼されたデザインやイラストを納品したタイミングで一度仕事は終了します。クライアントが納品物を気に入ってくれて、納期遅れがなく修正対応もスムーズに行えれば、次回もまた仕事を発注してくれるはずです。一度仕事をしたクライアントを自分のファンにするようにすれば、仕事をすればするほどクライアントが増えていきます。

逆にクライアントと信頼関係を築けないと、常に新規クライアントを探して営業しなければなりません。仕事が終わったら次の仕事が何も入っていない…という事態も起こりえます。

ポートフォリオのほか、サイトやブログを充実させる

デザイナーとして安定して仕事を得ていくためには、ひとつの仕事が終了したタイミングで仕事がゼロになるのではなく、常に仕事が埋まっている状態を作る必要があります。仕事を取るためには営業が必要ですが、デザイン業務と並行して行うのには限界があります。

そこでオススメなのが、ポートフォリオを載せたサイトに「営業マンとして働いてもらう」方法。

「よいデザイナーいないかな?」と思って検索しているクライアントがいたとして、検索サイトの上位にポートフォリオサイトが表示されていれば、見てもらえる可能性が高まります。目に留まれば、そこから連絡が来て仕事を受注できます。

検索上位にサイトを表示させるためにサイトのコンテンツを充実させ、サイトが仕事を取って来る状態を作りだせれば、サイトが営業してくれる仕組みの完成です。

案件の単価を意識して仕事をすること

フリーランスデザイナーとして着実に収入を上げていくために、案件単価を常に意識して仕事をすることが重要です。案件の相場には、案件募集ルートや内容によって大きく開きがあります。低単価の案件ばかりを受注していたら、いつまで経っても収入アップは見込めません。

例えば同じ工数がかかるイラスト制作で、2万円の報酬の案件と4万円のものがあったら、4万円の方を選ぶようにしていくことが必要です。実績が少ないデザイナーも、実績が増えるとともに意識的に提案する報酬を上げていきましょう。

交流会に積極的に参加し人脈をつくる

先ほども説明したように、フリーランスにとって人脈は宝です。積極的に同業種の交流会や異業種交流会に参加し、多くの人に名刺を渡す習慣を作りましょう。名刺を渡した相手はクライアント候補です。

すぐに仕事に繋がらないことの方が多いと思いますが、種を撒いておけば、ひょんなことから依頼が舞い込んでくることも。チャンスを増やすことが大切なのです。

実績をたくさん作って仕事を増やしていこう

フリーランスデザイナーとして成功するためには、実績を作ってポートフォリオを充実させることと、仕事が途切れないための工夫が必要です。会社員デザイナーのように毎月決まった給料をもらうことは難しい分、大きく稼げる可能性があるのがフリーランスの醍醐味。

人脈やポートフォリオサイト、案件サイトなど複数のチャネルを使って、仕事を増やしていきましょう。