マーケティングフレームワークの基礎知識
マーケティングの重要性
日本でのマーケティングという業務は、企業の中でどれほど重要視されているでしょうか。これまでは、マーケティングが欠けていたとしても成り立ってきた企業があったかもしれません。
自分が何かを購入したり、サービスを利用したりする流れを注意深く振り返ってみてください。
CMや広告で見たものにすんなりお金をかけていますか?
モノや買い物をすることに対する興味や意識は10年前と同じですか?
これからの時代のビジネスには、マーケティングは欠かすことができません。なぜなら、社会や人々のニーズの変化を読み取らなければ、受け入れられない世界市場が広がっている時代だからです。
なぜフレームワークが使われるのか
ビジネスやマーケティングでは、数えきれないほどのフレームワークが活用されています。フレームワークを活用したことで導き出される答えは、人それぞれ異なるため、答え合わせができないのも特徴です。
答えが異なるのに、なぜフレームワークが使われるのでしょう。
フレームワークは、ひとつの考え方のモデル。
売上を向上させたいときに、何からどう考えてみることが得策なのかのひとつのアイデアを提示してくれるものです。問題が起きたときに、その場しのぎでない本当の解決に至るためには何を見てどう考える必要があるかの提案をくれます。
また、フレームワークを使うことで思考が整理され、誰かに伝える際の説明の精度を上げることができるでしょう。
なんとなくでビジネスを進めてしまうことは、あまりにもリスキー。自分の考えに対する納得感、協力してほしい周りに対する説得力が得られるはずです。
マーケティングでも同じ。関わる重要な要素を抜かすことなく戦略に反映させることを助けてくれるツールなのです。
マーケティングフレームワークの学び方・身に付け方
読んでわかった!は身に付いてない!
フレームワークは、書籍でもインターネットでもセミナーなどの講習でも紹介されています。
フレームワークは、学ぶだけでは不十分で、使ってはじめて活きるもの。学んだだけでは、何の役にも立たない宝の持ち腐れになってしまいます。どれだけ知っても、実践に移さなければ身につけることも不可能です。また、フレームワークを活用すれば、すべてがスムーズにうまくいくという期待も排除しておきましょう。
基礎知識+マーケティングの専門家に学ぶ
書籍やインターネット、講習などで学ぶ方法もありますが、マーケティングの専門家の実践から学んでいくというのも一策。専門家として考えられたことの説明を聞くことは、フレームワークに当てはまっている部分も多く、勉強になる機会です。
それに従って、業務を進めていくことで模擬実践になるでしょう。なにより、自分の身近な内容になるので理解や吸収も早いはずです。
基礎知識+実戦での試行錯誤
はじめは知識として学ぶこともひとつの方法ですが、その理解度や習熟度を測るには実践しかありません。なぜなら、正解が存在しないから。
フレームワークを活用して考えたことが、うまくいくのかいかないかは、その都度、誰にもわかりません。まずは、思考が促されたり、整理できるという手応えを目指してみてはいかがでしょうか。
何度もフレームワークにあてはめて考えていくうちに、その思考回路が自分にとって自然なものになっていくでしょう。
押さえておきたいマーケティングフレームワーク
取り巻く市場環境を見るフレームワーク3C分析
3C分析は、マーケティングフレームワークの中でも基本中の基本です。
3つのCは以下のことを指しています。
- Customer・顧客
- Competitor・競合
- Company・自社
この3つを分析して、最終的に自社の成功要因を見出していくフレームワークです。
分析プロセスでは、以下について考えます。
- Customer・顧客 …市場や顧客のニーズの変化
- Competitor・競合…競合他社の強みと弱み&変化にどのように対応しているか
- Company・自社…上記を踏まえて自社の強みと弱み&自社に何ができるか
顧客目線に立つフレームワーク4C分析
4C分析は、お客様目線で戦略を考えていくフレームワークです。
4つのCは以下のことを指しています。
- Customer Value・顧客にとっての価値…ニーズに合う価値は何かを考える
- Cost・顧客のコスト… 顧客負担を考えた価格設定が必要
- Convenience・顧客にとっての利便性 …手に入れやすさに配慮する
- Communication・顧客と自社のコミュニケーション… 円滑なコミュニケーションの仕組みをつくる
マクロ環境を見極めるフレームワークPEST分析
PEST分析は、自社を取り巻く世の中全体の動向や状況、問題(マクロ環境)を見出すフレームワークです。
PESTとは以下のことを指しています。
- Politics・政治 … 法改正、税制、助成金など
- Economy・経済 … 景気、為替、物価など
- Society・社会 … 人口構成、流行など
- Technology・技術 … インフラ、IT、新技術など
これらの把握によって、できること、リスクとなる可能性のあること、効果が見込めることなどがわかるでしょう。状況に応じて、マーケティングの打ち手が変えていく必要があるのです。
業界構造を読み解くフレームワーク5F分析
5F分析は、ファイブフォース分析と呼ばれ、フォースとは競争要因という意味で扱われます。自社事業に関連する特定市場の動向や競合状況などを見るフレームワークです。
5つの脅威とは、以下のことを指します。
- 新規参入の脅威・Threat of new entrants
- 代替品の脅威・Threat of substitutes
- 買い手の交渉力・Bargaining power of customers
- 売り手の交渉力・Bargaining power of suppliers
- 業界競合他社・Industry rivalry
自社のプラス要因とマイナス要因を把握し、企業の競争優位性を見極めたり、高めるための対策を講じることができるでしょう。
マーケティング3.0フレームワークSTP分析
STP分析は、マーケティング戦略を立てる際の主軸ともいえる重要なフレームワークです。商品やサービスの内容、他社との差別化や宣伝方法を考える際に取り入れられています。STPは、以下のことを指します。
セグメンテーション・Segmentation
セグメンテーションとは、顧客の対象を絞ることです。
主に4つの要素でセグメントしていきます。
- 人口動態変数(性別、年齢、職業などの括り)
- 地理的変数(国、地域、気候、規模などの括り)
- 心理的変数(人の心理的特性、ライフスタイルなどの括り)
- 行動変数(購買活動、購買のきっかけや心理経緯の特徴の括り)
ターゲティング・Targeting
ターゲティングとは、セグメンテーションで絞られた対象を、さらに明確な的として選定することです。
4つの要素がありましたが、ここで属性をターゲットにするか、行動をターゲットにするかは見極めが大切になります。
ポジショニング・Positioning
ポジショニングとは、顧客に自社の商品やサービスのことをどのように捉えて欲しいかを考えることです。
できるだけユニークで強力なポジショニングを確立することで、競争力を優位にすることができます。
インターネット購買のフレームワークAISCEAS
AISCEASは、アイセアスと読み、インターネットでの顧客の購買行動について分析するフレームワークです。
AISCEASは、以下のことを指します。
- 「Attention・注意」 …商品やサービスは知られているか
- 「Interest・興味」 …興味や関心を惹きつけているか
- 「Search・検索」 …検索で見つけてもらえているか
- 「Comparison・比較」 …比較の際に勝てる情報を打ち出しているか
- 「Examination・検討」 …検討される際の決定打を打ち出せているか
- 「Action・購買」 …購入しやすさを提供できているか
- 「Share・情報共有」 …顧客からの情報共有はされているか
口コミやSNSやサイトでのレビューが、すでに一般的となった世の中の消費動向に対応していく対策を考えていきます。
マーケティング4.0時代の新しいフレームワーク5a
5aは、デジタル化が著しく発展を遂げる中で導き出された新しいカスタマージャーニーを示すフレームワークです。
5aは、以下のことを指します。
- 「Awareness・気づき、認識」
- 「Appeal・魅了、感動⇒記憶」
- 「Ask・聞く、調べる」
- 「Act・買う、行動」
- 「Advocacy・口コミ、推奨」
従来の売り方では、市場や消費者が動かない状況が認識され、マーケティング戦略を創出するには、この5つのaについて考える必要がある時代といわれているのです。マーケッターには、顧客に対して、辿りやすい経路の道案内をする役割があるともいえるでしょう。
フレームワーク活用で効果的なマーケティング戦略
マーケティング戦略は、漠然と考えていても浮かんでくることは少ないもの。ピンとくるものがあったとしても現実の事業に落とし込むには、さまざまな要素を絡めて検討する必要があります。
フレームワークが絶対の法則とはいえませんが、ビジネスをスムーズにするツールであることは確かです。繰り返す試行錯誤に、フレームワークの助けを借りてみませんか?きっと今までとは違う視点や次の一手が見いだされていくと思います。