ストレスマネジメントとは?

“ストレスマネジメント”という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのようなことを指すのか知らない人は少なくありません。まずは、ストレスマネジメントという言葉の意味について説明していきます。

仕事のストレスから身を守るための手段

ストレスマネジメントというのは、“ストレスから身を守るためにストレスを自分でコントロールする”ということです。つまり、ストレスも時間や仕事と同じく、自分で調整することができるのです。

ストレスに常にさらされている状態だと、体がいくつあっても足りません。自分で自分を守るためにも、ストレスマネジメントを身につけていくことが必要となるのです。

仕事を効率的にするためには必要な要素

ストレスマネジメントは、自分の身を守るだけでなく、仕事を効率的に回すためにも必要な要素です。ビジネスマンとして身につけておきたい能力のひとつでもあります。

ストレスを体が受け続けると、自覚しないうちから“仕事への意欲低下”や“考える能力が低くなってくる”など悪影響が起こります。ミスへの引き金となることはもちろん、心へも影響を及ぼします。

ストレスへの対策がおろそかになることは、自分にとっても一緒に働くメンバーにとってもいいことはないのです。

ストレスの種類とは?

ストレスマネジメントの具体例を紹介する前に、ここではストレスに対する理解を深めておきたいと思います。

自分のストレスの種類を知ろう

ストレスと一言でいっても、ビジネスでは“環境的なストレス”、“心理的なストレス”などさまざまなストレスが存在します。

ストレスの種類を把握することも大切なのですが、自分が今受けているストレスが“正当なストレスなのか?”または、“理不尽なストレスなのか?”という点をしっかりと理解しておくことも重要です。

正当なストレスというのは「仕事の締め切りによるプレッシャー」や「業務の重圧からくるストレス」など、その人自身が仕事を行う上で避けては通れないストレスのことを指します。

それに対して理不尽なストレスというのは、「守れるはずもない期限で仕事が進められている!」や「他の人の仕事を押し付けられた!」など、他者から与えられているストレスを指しています。

まずこの2つのストレスを区別することで、ストレスの受け止めかたが変わってきます。

ストレスは意識的にコントロールできる

“仕事のストレスから身を守るための手段”でも少しお話しましたが、ストレスは自分で意識的にコントロールができます。

実は、“ストレスは自分でコントロールできる”ということを知らない人がまだまだ多いのが現状です。そのため、自分にやってくるストレスをそのまま無防備に受け入れている人が少なくありません。

まずは、“ストレスは自分でコントロールできる”ということを意識するようにしてください。

その上で、「今受けているストレスは自分が受け止めなくてはならない正当なストレスなのか?」を判断するようにしてください。

この判断ができるようになると、自分が正面から受け止めなくてはいけないストレスが、ストレスマネジメントを実践する前よりもかなり減っていることがわかるかと思います。

ストレスマネジメントを実践するための5つの方法とは?

では、ストレスマネジメントを実践するにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、今からでも取り組める5つの方法を紹介します。

1. 呼吸を整え、体をリラックスさせる

まずは呼吸を整えるところからはじめてみてはいかがでしょうか。意識的に深い呼吸を3〜5回繰り返すのです。

人は怒ったり、悲しんだりしているときには、呼吸が浅くなったり、呼吸が早くなったりします。中には、呼吸が止まっている人もいるぐらいです。このように、ストレスを感じていると呼吸方法に影響が出てきます。

また体も緊張した状態になりやすいため、背中や肩に長時間力が入ったままの状態や、顔がこわばったままの人などが少なくありません。デスクワークやコピーの合間に肩を回したり、伸ばしたりして体を緩めてあげてはいかがでしょうか。

2. 趣味を通して違う方向に気持ちを向ける

ストレスマネジメントでは、ストレスとは違う方向に意識を向けることも重要となってきます。その方法としてうってつけなのが、趣味に熱中することでストレスから違う方向に意識を向けることです。

スポーツが趣味の人は体を動かしたり、テレビが好きな人は好きな番組を見たり、手芸が趣味の人は作ったりと、それぞれの人が自分の好きなことに熱中することに意味があります。

趣味は人によってさまざまですが、自分が集中できることに時間を忘れて没頭することでストレスから気持ちを離すことができるのです。

3. 睡眠をしっかりと取り、体を休める

当たり前と言われてしまいそうですが、睡眠をしっかり取って体を休めることもストレスマネジメントのひとつです。疲労を回復することは、体にかかるストレスも緩和してくれます。

ですが、この睡眠や休息をしっかりと取れている人が少ないのが今の日本社会の現状です。趣味や余暇の時間はもちろん、休息の時間も自分で確保をしていかないと休むことができません。

最近仕事に追われて休みが取れていない人は、ストレスから体を守るためにも、自分の休みをしっかりと確保するところからはじめてみてはいかがでしょうか。

4. ストレスに感じることを紙に書き出す

ストレスに感じていることを紙に書き出すのも“ストレスマネジメント”のひとつです。

頭にずっとストレスが残っていると、ふとした瞬間にそのことを考えてしまったり、思い出してイライラしてしまったりする人が少なくありません。

自分の感情を落ち着けるためにも、紙に書き出すことでストレスを頭から離すことが大切なのです。

紙に書くことのもうひとつの利点は、“ストレスを可視化できる点”です。頭の中で考えているだけでは、ストレスが堂々巡りしてしまいます。そして、負の連鎖で自分を責めたり、否定したりと、自己を傷つけてしまう人が少なくありません。

自分を守るためにも、書き出すことでストレスを可視化することは重要なのです。

5. 自分の気持ちやストレスの内容を認知する

先ほどの“ストレスに感じることを紙に書き出す!”にもつながってきますが、自分の今の気持ちやストレスの内容を自分で認め、知ること、つまり“認知をすること”もストレスマネジメントでは大切です。

とくに「ストレスによって自分がどのような気持ちになっているのか?」から目を背けてしまうと、ストレスに向き合うことができません。自分の気持ちを知り、その状態を認めることが、ストレスをコントロールするスタートラインなのです。

認知をするときに気をつけてほしいことがあります。それは、“自分を否定しないこと”
です。自分のストレスと向き合ったときに「なぜ、私はこんな感情をもつのか!」、「どうして自分はこんなことができないのか・・・」と感じてしまう人が少なくありません。

ですがそこで自分を否定しては、その先のストレスの内容と向き合う前に、気持ちが沈んでしまいます。ストレスマネジメントを行うためにも、今の自分をそのまま受け入れてあげてください。

企業としてできるストレスマネジメント対策とは?

では、ストレスマネジメントを実践したいと考える企業の管理職や、人事担当の人たちはどのようなことに注意をしていけばいいのでしょうか。ここでは、3つの観点からお話しします。

会社の風土を見直す!

まずは、会社の風土を見直すというところからはじめてみてはいかがでしょうか。いくら社員がストレスマネジメントを実践しようと努力していても、社内がその環境を受け入れられない状態では無駄な努力で終わってしまいます。

とくに管理職や役員の中に「ストレスマネジメントなんて・・・」という風潮がある場合には、社員の力ではどうしようもありません。

少し厳しい言いかたになりますが、本当に社員のことを考え、業務をより効率化させたいと思うのであれば、「会社が新しいことを受け入れられる文化なのか?」、「会社として本当に実践させる気があるのか?」を見定めていく必要があるのです。

2. ストレスマネジメントを学ぶ場を提供する

社員にストレスマネジメントを学ぶ機会や環境を提供することも、会社としてできるストレスマネジメントへの対策です。

一部の社員は、自分でストレスマネジメントを学び、実践していますが、残念ながらすべての社員がそのような行動を取っているわけではありません。そのため、会社として学びの場を提供し、ストレスマネジメントを啓蒙するのも立派な対策となってくるのです。

もちろん、すぐにすべての社員がストレスマネジメントを実践できるわけではありません。しかし、知識として知っているのと知らないのでは、今後の業務や行動に違いがでてくるのは事実です。

こうした研修は一度で終わらせず、定期的にストレスマネジメントやその考え方に触れてもらうことで、どんどん実践してもらう機会を増やす必要があるともいえます。

3. 管理職や上司を対象とした研修を実施する

企業が行うストレスマネジメント対策でとくに重要なのが、上司クラスや管理職、役員を対象としたストレスマネジメント研修を実践することです。

とにかく部下の認識を変えるには、まずはトップから変わってもらわなくてはいけないのです。

とくに上の世代の人たちには、ストレスマネジメントという言葉が一般的ではありません。“なぜ会社にとってストレスマネジメントが有用なのか?”を知ってもらうことで、重要性を理解してもらう必要性が出てくるのです。

まとめ

働く人でストレスに悩まない人は正直いません。ですが、ストレスマネジメントを実践することでこれまで悩んでいたストレスを緩和できるかもしれないのです。

まずは、自分ができることからひとつずつはじめてみませんか。ストレスを感じている自分を認めてあげるだけでも、向き合いかたが変わってくるに違いありません。