アンコンシャスバイアスとは?

アンコンシャスバイアス(Unconscious bias )とはどういう意味でしょうか。英語を直訳すると「無意識の偏見」となります。

「たとえば男性は車の運転が女性より上手」という考えが、なんとなく意識にありませんか。しかし実際にはとても運転が上手な女性もいるはずです。

このように今までの生活、習慣で無意識にできている考え、一種の偏見を「アンコンシャスバイアス」といえます。

またアンコンシャスバイアスは他者だけではなく、感的に抱く偏見のほかに、自分に対して「私にはムリだ!」と実際に行動する前にあきらめてしまう感情も含まれます。

アンコンシャスバイアスの具体例

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それでは具体例を挙げてみますので、ご自身の考えと照らし合わせてみてください。

  • 学校行事の手伝いは働くママが有休をとるのは仕方がない/父親の有給や育休申請は非常識
  • 女性を単独で海外出張させるのは危険
  • 男性は上昇志向が強く、女性は安定志向
  • 子育て中の女性に時短勤務を認めるのは、子供のいない女性に対して不公平
  • 外国のひとと一緒に働くのは大変
  • 休暇は取得すると周りの人に迷惑をかける

これらはすべてアンコンシャスバイアスの具体例となります。偏見はだれにでもあるものですが、これらのつい思いついてしまう事例をそのままにしておくことが社会のさまざまな面で悪影響を及ぼすのです。

気遣い?おせっかい?はその人によって違う

アンコンシャスバイアスが働いた場合に困るのが、「だから親切にしてあげよう。」という必要以上の配慮です。よくあげられるのが「既婚女性や育児中のを職場の飲み会に誘うか?」という事例です。

悪いから誘わない方がいいという考えをもつ人も多いようですが、本当は参加できる状況にあり、参加したいと思っていても言い出せない女性もいます。このように気遣いからその人を傷つけてしまうこともあるのです。

アンコンシャスバイアスで起こる悪影響とは

グローバル化が遅れる

企業や社内の部署の中には文化や宗教の違いから人材の受け入れを躊躇したり、拒否をすればいずれビジネスチャンスの縮小につながります。グローバル化に必要なのは英語力やコミュニケーション能力だけではありません。

海外の企業やビジネスマンが持っている俯瞰的な視点で、市場やビジネスを展開すること。こういった意識はリーダーや一緒に働いている仲間から伝搬するものです。

偏見から起こる「マミートラック」「パタハラ」問題

日本は1986年に男女雇用機会均等法が施行され、2016年には「妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置」も定められました。マタハラを規制することは進められるべきですが、企業内では妊娠中の女性や産休明けの女性に必要以上の配慮や気遣いが行われることもあります。

これは「マミートラック」とも呼ばれ、それまで営業職であった女性を事務が中心の管理部門へ異動、以後の昇進に影響をしてしまうことです。
一方で育児休暇を取得しようとする男性に取得を許さない、嫌がらせをするなど「パタニティハラスメント」も起きています。

ダイバーシティー実現の遅れが招く危機

ダイバーシティとは「多様化」のことです。一般的には企業内で外国人や、女性などさまざまな人種や属性のひとが働くことと捉えられますが、それだけではなく「能力や過去の経験、さまざまな知識や価値観を持った人」が一緒に働くことも含まれます。

多様な人や考え方が交わることで、イノベーションが起きます。これこそが企業の発展につながり、しいては日本が世界的に活躍できる武器になりえるのですが、偏見で排他的な企業は狭いフィールドで生き延びるしかなく、いずれは取り残されてしまいます。

アンコンシャスバイアスをなくすには?

社内でできる研修とトレーニング

アンコンシャスバイアスはトレーニングで意識することができるようになります。方法としては、まず「アンコンシャスバイアスとは何か」を知識として身に着けること、次にディスカッションやロールプレイングを押して体験をすることです。

ロールプレイングの例としては「お客様に男性社員がお茶を出す」など、日本ではあまりないかもしれませんが事例として挙げ、どのように感じたかを発表していきます。このように、自分が普段どう感じているか「無意識」を自覚していくだけでも社内のムードは変わってくるはずです。

アンコンシャスバイアスのトレーニングは、研修プログラムを実施している企業コンサルタントもありますので、こういったサービスを利用するのもオススメ。

必要なのは自分を知る「自己認知」

アンコンシャスバイアスのトレーニングを通して、最終的に身に着けたいのが自己認知です。自己認知で自分がもつ認識の誤りをすべて解き明かすのは不可能ですが、「自分を客観的にとらえるよう意識する」「自分を定期的に評価してみる」ことを積み重ねることで徐々に自己の深層に認知を深められます。

自分の中の偏見を意識しつつコミュニケーションを取れば、相手を尊重しつつ意向やその人の将来のビジョンを理解することができ、有能でやる気のある人材を性別や国籍にとらわれることなく登用することができます。

個人を理解・尊重し合える社会に向けて

日本人は単一民族の歴史が長かったためアンコンシャスバイアスも働きやすい環境でした。しかし現在日本は、世界的にみても魅力があるマーケットで、ビジネスの場面でも、これまで以上に多くの海外企業やさまざまな人種を持った人たちとかかわりをもつことになるでしょう。

「親切」「心遣い」は日本人の美徳のひとつですが、それが真に相手の思いに沿ったものか、は日本人が少し苦手とするコミュニケーションを通して正しく理解していかなければいけません。