会社の方向性はミッションステートメントにあらわれる

株式投資や就職・転職活動において、特定の企業について調べた経験がある方も多いのではないでしょうか。しかし実際に調べてみると、事業内容や資本金などはわかりますが、
会社の実態や企業文化というものは外部からはわかりづらいですよね。

なぜならその会社が、どのような価値観に従い、社会的使命を果たそうとしているかについては、事業内容などからはわからないためです。

そんなときに、ぜひ確認したいのが企業のミッションステートメント。ミッションステートメントから、会社の価値観や目指すべき未来を理解することができます。

一方で会社の側から考えると、自らを外部にアピールしていくときに絶好の手段となるという効果があるんです。優れたミッションステートメントは共感を呼び、人と仕事を集めるます。

今回は、ミッションステートメントについてみていきましょう。

ミッションステートメントとは?

ミッションステートメントの意味

ミッションステートメントは、その会社が持っている価値観や、果たそうとしている社会的使命を明文化したもの。

つまり会社にとって、とても重要な概念がミッションステートメントに表れているといえるのです。

ビジョン・クレドなど他の概念との違い

ミッションステートメントと混同されがちな概念のひとつに、ビジョンがあります。

ミッションステートメントが会社の社会的使命を述べたものであるのに対し、ビジョンは会社の将来の夢や目標を述べたものです。

一方でクレドは、「信条」「約束」を意味するラテン語であり、ミッションステートメントと同じ意味合いも持ちますが、ミッションステートメントを実現するための約束事や日々の行動指針で使われることが多くなっています。

たとえばクレドが書かれたカードをもち、日々の業務の規範とするなどです。

優れたミッションステートメントがもつ効果

会社の価値観を、経営者から従業員まで全員で共有する

優れたミッションステートメントは、会社の価値観を会社に関わる人すべてに共有させます。そのため、みんなでひとつの方向に向かうことができ、業務効率化や新しいアイディアの創造などが期待できます。

また優れたミッションステートメントは、従業員の行っている日々の業務に意味付けを行い、従業員のモチベーションアップにもつながる効果も。

会社の使命を外部に表明する

優れたミッションステートメントは、会社がよりどころとしている価値観や使命を外部に伝え、新しい仕事につながる可能性があります。

昨今、どの企業も激しい競争環境に置かれています。

その中で自社が仕事の相手として選ばれ、エンドユーザーから自社の製品を使ってもらうためには、物やサービスを超えた会社の個性を発信していくことがとても重要です。

会社の個性が取引相手やユーザーに共感を呼び起こしたとき、会社は競争で優位に立つことができます。

人材採用を円滑にし、人が会社に根付くことにつながる

優れたミッションステートメントは、採用の面でも大きな効果を発揮するのです。リーマンショックから数年が経過し、昨今の就職市場は売り手優位の市場となっています。

また同じレベルの能力を持った人材に対する待遇は、どの企業も似通ったものになることが少なくありません。

だからこそミッションステートメントをしっかりと明示し、自分たちの会社は何をしたいのか、社会に対してどういう貢献ができるのかをしっかりと求職者に伝えましょう。

ミッションステートメントに共感されれば、人材採用が成功するだけではありません。就業後のミスマッチもへり、離職率も低くなるメリットもあります。

そして最終的には、人事採用にかかるコスト削減が可能に。

秀逸なミッションステートメントの具体例

ファーストリテイリング

「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します。独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します」

これはユニクロを運営するファーストリテイリングのミッションステートメントです。どのような服を作るかが明確であり、服を介して「世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供」することが述べられています。

服を作るのは、幸せと満足を提供する手段であることが明確であり、わかりやすいミッションステートメントです。

ゲオホールディングス

「ポケットマネーで楽しめるレジャー」

非常に端的ながら、ゲオの使命を明確に表している秀逸なミッションステートメント。あくまで「ポケットマネー」で楽しめるレジャーを豊富にそろえることが、ゲオホールディングスのアイデンティティとして表現されています。

ミッションステートメントは内容を盛り込みすぎて長くなり、結果としてわかりにくくなることもあります。しかし、もっとも大切な要素を端的に述べることで人々の記憶に残るです。

ミッションステートメントを今すぐ作ってみよう

このようにミッションステートメントは会社の社会的使命を表現する非常に重要なものです。現在日本には、400万を超える会社があります。

その中で会社のアイデンティティを確立し、消費者や顧客に強くアピールしていくためには、考え抜かれたミッションステートメントが必要不可欠です。

今までミッションステートメントを用意していなかった企業は、今すぐ作成に取り組みましょう。その中で、あなた自身が会社と経営を見つめなおす機会が得られるはずです。