働き方改革に関するアンケート調査
働き方改革に関するアンケート調査はさまざまな会社で行われていますが、今回取り上げるのは平成29年3月に日経新聞が行った「平成28年度産業経済研究委託事業(働き方改革に関する企業の実態調査)報告書」です。今回の調査はマクロミルモニタの33~73歳の男女、経営企画・事業企画と経営管理の部長職以上が対象です。調査地域は全国で、調査方法はインターネットリサーチ、有効回答数は206サンプルでした。日本の場合、管理職は男性の割合が多く、98.5%が男性でした。
長時間労働の原因に対する意識は
長時間労働が原因の過労死や自殺が問題になっている中、長時間労働がなぜ行われているのか、以下のような調査結果が出ています。それによれば、「全体で最も多いのは「管理職(ミドルマネージャー)の意識・マネジメント不足」(44.2%)で、次いで「人手不足(業務過多)」(41.7%)、「従業員の意識・取り組み不足」(31,6%)の順」になっています。。また、「「長時間労働は行っていない」は18.0%に留まり、多くの企業は何らかの形で自社が長時間労働を行っている」という調査結果も出ており、ほとんどの会社で長時間労働を行っているということがわかります。
確かに人手不足による長時間労働というのは存在しており、人件費を削減するために、人を雇っていないという会社もありますが、管理職にそもそも長時間労働という意識がない場合もあります。仕事が終わっていても早く帰りずらいという企業もあります。人手不足は人を雇う必要がありますが、企業風土を変えることや管理職の意識を変えることは今すぐにでもできることですから、取り組むべき課題でしょう。
非正規の活用に関する意識は
同一労働同一賃金は働き方改革の中で重要なテーマです。非正規雇用に関する意識は以下の3つに分かれます。それは「「非正規の待遇を正社員並に引き上げた上で非正規の活用を続ける」(29.6%)、「非正規の待遇は引き上げられないので非正規の活用を縮小する」(28.2%)」、「「待遇差は特にない」は21.4%」です。一部企業では非正規の正社員化の動きが出ていますが、人件費を上げることができないという企業も多いことが分かります。
ただし、人材不足が特に叫ばれている「情報・通信業では全体に比べ 「非正規の待遇を正社員並に引き上げた上で非正規の活用を続ける」(40.6%)が高く、「非正規の待遇は正社員並に引き上げるが非正規の活用は縮小する」(6.3%)は低い」という結果になっています。また、「流通・サービス業では「待遇差は特にない」(31.3%)」となっており、この業界では正規と非正規の差が無くなってきていると言えます。
子育て中の女性が活躍できる仕組みは?
子育て中の女性が活躍できる仕組みを考えるのも働き方改革の重要なテーマです。「全体では「特に取り組みは進めていない」が26.7%で、それ以外の73.3%は何らかの取り組みを行っている」と答えており、人材不足を補うために女性が活躍する場を用意してる企業が増えてきています。行われている「取り組みの中では「勤務時間の柔軟化」(43.2%)が最も高く、ついで「女性管理職比率の目標策定」(24.8%)」という結果になっています。
確かに子育て中の女性にフルタイムはかなり難しいと言えますので、働き方を柔軟にする企業が今後も増えてくると思われます。ただ「取り組み実施率は大企業ほど高く、特に「勤務時間の柔軟化」「男性育休の普及啓発」「キャリア研修の実施」「女性管理職比率の目標策定」「管理職向け意識啓発研修」でその差が顕著」であり、中小企業が労働環境を改善することは難しいということが分かるでしょう。
兼業や副業に関する意識は
働き方改革では兼業や副業もテーマになっています。ただし兼業や副業は企業として認めていないところも多いです。実際に「「現在認めていないが、(一定の懸念が解消されれば)認めることを検討する」(36.9%)と、「現在認めていないし、今後も認めるつもりはない」(35.9%)」という調査結果になっています。では兼業や副業を認めるための障壁としては、「「本業がおろそかにならなければ認める」(63.2%)、「情報漏えいのリスクがなければ認める」(56.2%)、「競業、利益相反でなければ認める」(49.5%)、「長時間労働につながらなければ認める」(41.1%)」の順になっています。
こうした障壁を見ると、なかなか兼業や副業を認めるのは難しいと言えます。副業や兼業についてルールを定めたとしても、それが実際に守られているかどうか管理するのが難しいと言えます。そういう意味では、ある程度、社員それぞれを信じて任せるしかないとも言えます。
それぞれの企業が働き方改革にどのような立場をとっているのか注視しましょう
働き方改革については長時間労働など規制が設けられる中で、まだまだ企業によって差があるというのが実情でしょう。そのためそれぞれの企業が働き方改革についてどのように考えているのか知っておく必要があります。今後、ますます働き方改革を行っている企業と行っていない企業の差が出てきますし、働き方改革を行っている企業に良い人材が集まるのは間違いありません。どの企業がどのような働き方改革を行っているのか、注目してみてきましょう。
記事作成/ジョン0725