働き方改革に対しては多くの課題が示されていますが、本当に大切なこと、対応が必要となる会社が多くみられる項目については、セミナーが行われる傾向があります。ここでは、セミナー開催状況にスポットを当て、その内容から働き方改革を紐解いていきます。

どのような企業・組織が働き方改革セミナーに取り組んでいるのか

働き方改革セミナーはこれまでも数多くの企業や組織が実施しています。セミナーで語られる内容は「セミナーの主催側の語りたいこと」が主です。ですがその内容は、働き方改革を紐解く上で重要なヒントにもなります。ここではいくつかのセミナー情報をご紹介することで、働き方改革の要点を説明します。

業種別に見るセミナー開催状況について

ビジネスに貢献するための「働き方改革」に何が必要か?がテーマのNEC

NECでは、次の演題の3公演を実施しています。

「ワークスタイル変革を促進するテレワーク」演者、日本テレワーク協会専務理事

内容は働き方改革やワークスタイル変革の市場動向や事例による重要性と効果、テレワーク導入の成功要因と導入プロセスその他助成金など。

「働き方改革 働き方見える化サービス」演者、日本電気株式会社パートナーズプラットフォーム事業部

内容はNECによるテレワーク導入の支援。在宅勤務やモバイル環境などでの働き方を見える化し、残業の削減や生産性の向上につなげるサービスについて。

「働き方改革 どこでもコミュニケーション」演者、日本電気株式会社ビジネスクリエイション本部

内容はスマートフォンを活用した、どこでも業務が可能なソリューションの紹介、外出先でのメールやスケジュールの確認だけでなく、サーバーなどの社内システムやTV会議システムへのスマートフォンからの接続など。

生産性向上に向けたテーマを数多く扱うSMBCコンサルティング

「残業を減らす!仕事の密度を高める技術」演者、習慣化コンサルティング株式会社代表取締役古川武士

内容は、働き方改革により仕事量は変わらないまま、限られた時間内にこれまで以上の成果を求められる状況に対して具体的に何から取り組むのかについて

「1日を2倍に使う時間&仕事術」演者、インサイトラーニング株式会社代表取締役箱田忠昭

内容は箱田式成功の法則と名付けた法則や理論による人生の計画化や、仕事の進め方の「5大ルール」と「4大ルール」、タイムマネジメントなどを演者の経験を交えて紹介

「若手社員のためのタイムマネジメント術」演者、有限会社コノジャパン代表取締役 ロールプレイング研究所代表河野通陽

内容は生産性の向上において必須のファクターである仕事のスピードを無理なく上げるにはどうしたら良いのかを実例を交えて紹介

など多数

行政が行うセミナー

「働く、が変わる」をテーマにしている総務省セミナー

日本全国でテレワーク推進のため、テレワーク全般の動向から導入事例、通信技術、労務管理上のポイントなどを様々な演者を迎え紹介

「17時からの自分のために、17時までの会社のために」をテーマにしている横浜市

演者、NPO法人コヂカラ・ニッポン代表、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事 川島高之

内容は働き方改革を進める上で、トップのコミットメントだけではなく、現場責任者がその意義をよく認識し、具体的な見直し方法を実践することを重要事項と位置付け、働き方改革の実践に向けて、主体的に強く動機づけることに着目していることを紹介。

法務系事務所等が行うセミナー

「営業部門での働き方改革への取り組み」演者、株式会社YACコンサルティング常務取締役古髙伸一

内容は中小企業が働き方改革を推進するにあたって、経営者あるいは管理職が企業の経営資産に時間の観念を加えるための3つの手順について

「ケーススタディー、どう再構築する同一労働同一賃金を支える評価制度」株式会社BDO人事総合研究所、BDOアドバイザリー株式会社代表取締役高瀬武夫

内容は賃金や人材育成制度を再構築する上での評価制度の見直しについて。特に目標管理制度の導入やキャリア・コース別の仕事・役割等級基準の設計に焦点を当てています。

まとめ

企業ごとに得意な分野、あるいは働き方改革によって発生するビジネスチャンスに向けたどのような対策を打てばよいかは異なります。しかし、開催されているセミナーを総合的に分析すると、設備や構造的なものとしてテレワークを代表とした通信情報サービスに由来するものと、法令や就業規則といった会社内におけるマネジメント全般や賃金に由来するもの、労働時間の活用方法に焦点を当てた生産性向上に由来するものの3つがセミナーとして多く催されていることがわかります。
つまり、働き方改革への対応として、上記の3つのテーマが悩みの種であり、積極的に取り組むべき課題であるといえるのではないでしょうか。

執筆者:加藤社労士

2015年より社労士事務所を開業。2016年よりネット上を中心に労務、助成金関係の記事を多数執筆