独立プロフェッショナルをめざしている金融系のビジネスパーソンは少なくないだろう。しかし会社員として活躍できる人が、独立して成功できるとは限らない。向き不向きの問題もあるからだ。そこで今回はすでに独立しているプロフェッショナルに、独立開業に向いているのはどんな人か聴いてみた。

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「リスク管理を考えられる人」が向いている

40代の男性FPは不動産会社とハウスメーカーで営業職を経験した後に独立。既に10年経過しており、今では大学の非常勤講師などをするまでになっている。独立直後のことを聴くと、「ストレスが減り吹き出物が消えました」と振り返る。会社勤めで感じる緊張感から開放されたのだろう。もちろんいいことばかりだけではない。それは「スケジュール表に空欄が並ぶと焦りますね」という言葉にも現れている。

独立に向いている人はどんな人か聴くと、「人間性やコミュニケーション能力はもとより『リスクマネジメント』を考えられる人だと思います」という。詳しくたずねると、「FPの仕事は、顧客のライフプラン・マネープランを考えていく作業。それはすなわち、人生の中の 『リスク』とどう付き合うかが主になるからです」とのこと。リスク管理をする、つまりは先を見越した準備がしっかりとできる人でないといけないということだ。自分のリスクが管理できない人に、他人の相談に乗ってコンサルティングなどできないのは当たり前だろう。

「インプットを欠かさない、相手の立場に立てる人」が向いている

関東在住、40代の女性FPは、不動産会社や国内生保、マーケティング会社などを経験後、数年間は仕事をしながら副業的にFPとして相談などを受けていたが、昨年2014年フリーランスになったという。

彼女は独立してよかったこととして、「在宅作業や面談日程を調整する。夏休み期間は仕事をセーブするなど子どもの予定に合わせて仕事量をコントロールできることが良かった」と振り返る一方で、「自分の体調や業務内容次第で収入が変わることや、健康保険や国民年金などの負担が増えました」と話している。

独立してやっていくのに向いている人については、「金融商品や経済動向など日々インプットを欠かさず専門知識を磨ける人がいいと思います」という。日々動く経済の動向をしっかりおさえておくことは、相談・コンサルティング内容に関わらなくても、顧客と話すときの話題づくりにもなる。ほかにポイントをたずねると、「あとは相手の立場や考えに沿って情報提供し選択肢を提示できる人。そんな人がお客さまに信頼され、お仕事を続けられるのではないでしょうか」との回答だった。

「後輩を指導し、他人のアドバイスを聞き入れる謙虚さがある人」が向いている

関西在住の50代の男性FPは、全国展開している大手小売チェーンに勤めていたが、家庭の事情で実家に戻り、開業した経緯を持つ。会社員時代には経理や財務を担当していたというから、開業するときにこのジャンルを選んだのは自然だったのかもしれない。

独立してよかったことは、勤務時間がフリーで人間関係に悩む事がなくなったこと、自分のやりたい仕事ができるなどを挙げた。その一方で大変になったことは、収入が不安定なことや仕事が忙しい時と暇な時の差が激しいこと、健康管理など。このあたりはおおよそ想像はつくかもしれない。

独立に向いている人については、まず「自分の得意分野がある人」という。これは経理や財務といった経験を生かして独立したプロフェッショナルらしい回答だ。性格面について聴くと、「他人からの厳しい意見も尊重し、周りからのアドバイスを受け入れられる謙虚さがある人」と言い、さらに「後輩を指導している人」という。その理由についてたずねると、「後輩を指導することで自分身に足りない点や、改善点を見つけることができるから」とのこと。

また独立後に事業をうまく展開していくためのコツとしては、「ターゲットを明確に絞ること」を挙げる。「たとえばFPなら金融初心者、女性、投資のプロ向けなど、絞って営業を行っている人のほうがうまくいっていると思う」とのこと。客層を狭めることを怖がって全方位的にすると、かえって誰の心もつかめないのかもしれない。

「人を大切に考え、人に対して真摯に向き合える人」が向いている

近畿在住の50代の女性FPは社会保険労務士としても活動している。勤務していた司法書士事務所の代表が女性だったことが、後々の独立心につながったようだ。その後保険会社勤務などを経て独立している。

独立してよかったことは、「仕事が嫌ではなくなったこと」をまず挙げる。「会社員時代は残業や予定外の仕事が入ると精神的にきつく感じたが今はまったく感じない、むしろ嬉しく思う」と付け加えた。ほかには、対人関係で悩むことがなくなったとも。

逆に大変なことは、安定的な収入を確保する方法を考える必要があり、トライ&エラーを続けてそれを突き詰めていくことという。「休日は自分で強制的に取る必要があります。ずっと仕事をしてしまうことは、メリットでもありデメリットでもありますね」と話すあたりに生真面目さが現れている。

彼女に「独立に向いている人」をたずねると、「お客さまの人生をしっかり考えて、信頼のおける対応を続けることのできる人。人を大切に考え、人に対して真摯に向き合える人。お客さまだけでなく、世の中の役に立つサービスを自ら考え実行できる人」という。お金の相談は人生の相談だけに、こうした真面目さが求められるのは当然なのかもしれない。

ほかに「自ら仕事を作ってPRし、それを発展継続させていける人」とも。そうした積極性と行動力がないと、独立してやっていくのは難しいということなのだろう。 

ノマドジャーナル編集部
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