前々回(開業にベストな資金調達は?)で解説した、資金調達や融資を受ける際に必要になるのが、事業計画書です。
独立して起業をしても、無計画のまま情熱や想いだけで経営を行い、事業を成功に導いていくことは、なかなか難しいものです。
そのためには、きちんと事業計画を立てて、会社がこれから進んでいく道筋を明確にする必要があります。
今回は一般的な事業計画書の作成方法について、具体的に解説をしていきます。
事業計画書がなければ、事業の成功はおぼつかない
Q:事業計画書を作成しようと思っていますが、どんなことに注意をすればいいでしょうか
A:事業計画書は、企業の理念、ビジネスモデル、自社の優位性、中長期予算などに注意して作成していきましょう。
起業や新規事業を開始する際に必要となってくるのが「事業計画書」です。どんなに素敵な夢を描いたとしても、その夢に到達する地図がなければ夢に到着することはまず不可能でしょう。この夢への地図となるのが事業計画書です。
さて、この事業計画書を作成するに当たり、どのような書式で作成したらいいのか悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ワードでもパワーポイントでも、どちらでも問題はないですが、近年はパワーポイントで作成する例が多いようです。
投資家向け、金融機関向けなど、目的によって、事業計画書を変化させる
Q:どんな内容を盛り込んだらいいのでしょうか。
A:特別なルールはないものの、以下の項目を含めるといいでしょう(あくまでも一般論です)。
事業計画書における主項目 |
経営理念、ミッション、事業目的、行動指針等 |
組織図、経営陣紹介、株式名簿、沿革等の会社概要 |
サービス概要、経営戦略、経営環境分析 |
SWOT分析や競合との差別化等 |
過去の業績推移や今後の中長期予算 |
資金計画、資金繰り表 |
販売計画 |
設備投資、生産計画 |
人員計画 |
資金計画 |
※あくまでも一般的な主要項目です
※順番についても決まっているわけではありません
上記項目ですが、投資家向けなのか金融機関向けなのか、提出先に合わせて内容は随時変更をしてください。
●出資を検討している投資家向け
発行済み株式や株価、ストック・オプションなど資本政策に係る情報を提供して、出資を検討してもらえるようにする。
●融資を検討している金融機関向け
月次の損益予算や資金繰り表、融資を受けた際の資金使途目的などを詳細に載せて、融資を得られるようにする必要がある。
事業計画書は相手の心に響かなければ、いくら魂を込めても意味がありません。自分の言いたいことを載せるだけでなく、事業計画の説明を受ける相手の立場に立って作成することを心がけてください。
例えば、事業上のシナジーを考えて投資を検討している相手であれば、お互いの事業におけるメリットを熱く書くことが良いでしょう。
将来の成長性に期待して投資を検討していただけるのであれば、マーケットの成長性やユーザー数の展望などをしっかりと示すと良いでしょう。
何よりも優先すべきは、分かりやすさ
Q:熱意を伝えるには、ベージ数を増やしたほうがいいのでしょうか。
A:ページ数については、多ければいいというものではありません。何十枚も作ったから評価してもらえる、というのは大間違い。少ない枚数やシンプルな内容でも分かりやすく納得できる計画書であれば高い評価を得られます。
最近では、インターネットで他社の事業計画書を見ることができます。会社によっては動画による事業計画書のプレゼンを見ることも可能です。
ぜひ、様々な計画書を参考にして、目的に合った事業計画の作成に臨んでください。
大学卒業後、公認会計士として大手監査法人において製造業、小売業、IT企業を中心に多くの会計監査に従事。
2005年にハードウェアベンチャー企業の最高財務責任者(CFO)として、資本政策、株式公開業務、決算業務、人事業務に従事するとともに、株式上場業務を担当。
2005年より中堅監査法人に参画し、情報・通信企業、不動産業、製造業、サービス業の会計監査に従事。またM&Aにおける買収調査や企業価値評価業務、TOBやMBOの助言業務も多く担当。
2014年7月より独立し江黒公認会計士事務所を設立。
会計コンサル、経営コンサル、IPOコンサル、M&Aアドバイザリー業務の遂行に努める。
専門家と1時間相談できるサービスOpen Researchを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。