自分のやりたいことを実現するための道を探していた結果、フリーランスという働き方に辿り着いたキャリアカウンセラーの島谷美奈子さん。
インタビュー後編では、フリーならではの魅力について、存分に語っていただきました。
会社に与えられた役割ではなく、自分のやりたいことができる無限の可能性がある
Q: 現在は、株式会社Warisでのお仕事がメインとのことですが、どのような働き方をされていますか?
島谷さん(以下、島谷):
週3日程度ジョインしています。登録面談、業務委託契約をスタートさせた方のフォロー面談から、オウンドメディアライター、キャリアママインターンの事前研修講師、クライアント訪問同行など、活動は多岐に渡っています。
最初は面談だけ担当していたのですが、少しずつ他業務への提案もして、関わる領域を増やしていきました。理由は2つあり、1つは、「この日はこの会社のために使う」というスケジュールの取り方をしているので、時間を効率的に使いたいから。2つめは、ベンチャーは状況変化が激しいので、できることは手伝った方がいい、と思ったからです。過去にも、企業が数十名規模から数百名規模に成長する時期に立ち会ったことがあり、その時の経験が役立っています。
Q:フリーランスでそういう動きをする人は珍しいですね。
島谷:
フリーランスでありながら会社員的な働き方をするのは、嫌いじゃないんです。責任と影響の範囲が広がっていく難しさはありますが、せっかくならもっと関わりたいとポジティブに考えています。また、コミュニティに属していると、「こういうことをやってみたら?」とチャンスがもらえることがあります。完全に1人でやっているフリーランスだと、経験と自信がある仕事しか受けられない、という人が多いと思います。でも、関係性の中で提案してもらえるので、思い切って挑戦することができます。また、個人ではなく組織だからこそ信頼してもらえる側面もあると思います。それは私にとっては、大きなメリットだと感じています。
Q:そこは、フリーランスのメリットとデメリットですね。他にどんなことを感じられますか?
島谷:
メリットとしては、会社員ではできない体験ができることですね。会社員だったら会えない人に会えるし、できない仕事ができる。横浜ウーマンビジネスフェスタ実行委員、大手外食チェーンの職場環境改善委員など、多岐に渡る仕事が経験できています。人との出会い、可能性の広がり方が無限大です。
デメリットでいうと、活動量や報酬が安定しないことです。忙しい時期って重なるもので、睡眠時間を削って仕事することもあれば、暇を持て余している時もあります。フリーランスという働き方がまだ世の中に浸透していないので、金額的に高いと思われたりもします。経費を差し引けば、全然高くないのに。あとは、キャリアストレッチを自分でやらなくてはいけないこと、在宅ワークの場合は家庭と仕事の境目が難しくなることもありますね。
何もかもが自分次第。成長の機会も自分でつくる
Q:デメリット解消のために、どんなことをしてらっしゃいますか?
島谷:
自分から勉強会やイベントに積極的に参加したり、本を読んだりするよう心掛けています。そういう経費はたくさん使いますね。
また、2016年から、個人でもシェアオフィスを利用しています。週2~3回、3時間くらいですが、3時間も集中できれば十分。仕事がぐっと捗りますよ。
Q:メンバー同士はどう関わり合っていますか?
島谷:
最年長なので、あえてお局様的な動きをしたりします。例えば、幼い子どもを抱えて仕事をしているメンバーには、「たまにはセミナーに参加したり、ママ向け企画した方がいいよ」と発破をかけたりします。子どもが小さい今だからこそ、同じような苦労をしている人に共感できると思うんです。
また、「結婚や出産を考えるのなら、今動いた方がいいよ。仕事が忙しいからって、他のメンバーに遠慮するのは絶対やめてね」と声をかけることもあります。出産にはタイムリミットがありますし、体力も必要ですから。独身メンバーにも、「もっとアピールした方がいいよ!既婚者だと思われてたらもったいない」と言っています。女性が多い組織(男性は一人)なので共感力が高い反面、お互いにどこか遠慮したりしていたら嫌だなぁと思って。
Q:公私ともに頼られている島谷さんのお姿が目に浮かびます。今後やりたいことはありますか?
島谷:
子どもが今小学5年生なので、中学生になったら、もっと仕事に力を入れられるなと思います。子育てや介護などでブランクがある人の再就職支援、不妊治療や婦人科疾患と仕事との両立支援、介護しながらキャリアを磨いていきたい人の支援をしていきたいですね。
好奇心旺盛な人、柔軟性が高い人は、大手よりベンチャー企業の方が活躍の場が広いのではないでしょうか。そこも伝えていきたいですね。
また、フリーランスや在宅ワークは注目を浴びていますが、誰もが向いているわけではないと思います。フリーランスはクライアントとの交渉やトラブル対処なども自分でしなくてはいけないですし、生産性を意識し、計画を自分で立てられる人に向いていますね。そうした経験があり、新しい働き方に興味がある方は、ぜひ一歩踏み出してほしいですね。
専門家:天田有美
慶應義塾大学文学部人間科学科卒業後、株式会社リクルート(現リクルートキャリア)へ入社。一貫してHR事業に携わる。2012年、フリーランスへ転身。
キャリアコンサルタントとしてカウンセリングを行うほか、研修講師・面接官などを務める。ライター、チアダンスインストラクターとしても活動中。