新卒では信用金庫に入社し、その後、未経験で化粧品ブランドの立ち上げを行うという、異色のキャリアを歩んできた、ビューティープロダクトプランナーの前島ゆみさん。

 

なぜ、これほど大胆な挑戦ができたのでしょうか?仕事に対するこだわりや、ご自身の性格なども踏まえて、お話いただきました。

失敗を怖がって、やりたいことに挑戦しないのはもったいない

Q:1日の仕事の流れを教えてください。

前島さん(以下、前島):

朝7:00に起き、メールチェックをして、身支度。7:40に子どもを起こしてごはんを食べさせ、8:15には家を出ます。電車で一駅の保育園に到着するのは、8:30くらい。私は家では仕事しない派なので、カフェなどに行って9:00頃から仕事します。午前中は、定例の打ち合わせが入っていることも多いですね。午後も、打ち合わせが1本は入っています。

 

それ以外の時間に、商品テキストを考えたり、ネイルの色など商品周りのことを決めたり、企画書を書いたり。今は、ジュエリーブランドのプロデュースもしているので、店舗の内装をどうしようか考えたりしていますね。実際に自分が手を動かしたり、関係各所に指示出しをしたりします。
だいたい18:00頃まで仕事をし、帰宅してごはんを食べます。母と同居しているので、家事は母に甘えていますね。ごはんのあとは、子どもと一緒にお風呂に入ったり、パズルやレゴで遊んだり。22:00頃寝かしつけた後に、また仕事したりすることもありますよ。

 

Q:前島さんは、自分の欲求に素直というか、やりたいことに真っ直ぐぶつかっていく印象があります。そのマインドは、どこから来ているのでしょうか?

前島:

亡くなった父と、一緒に住んでいた祖母の影響が強いと思います。
父は事業家で、闘病中も入院先のベッドにパソコンを持ち込んで仕事していました。50歳になってもやりたいことがあるんだな、と思うと同時に、やりたいことがあるなら、若いうちに挑戦した方がいいと感じたんです。
祖母は、80歳という高齢でも、病院に行くためにマニキュアを塗るほどのおしゃれ好きで、バイタリティのある人でした。でも、年を取れば体力的に厳しくなりますよね。だから、「今のうちに、やりたいことをやりなさい」と常々言われていました。

 

そういう環境で育ったので、母も含め、私が「これをやりたい!」と言った時、止める人が誰一人いなかったんです。
新しいことへの挑戦は、もちろん怖い時もあります。でも、”慣れ”が大事だと思うんです。今でも、仕事の話をもらったものの、プロジェクト化しないこともあります。私の人格や能力が否定されているわけではなく、ただマッチしなかっただけ。一歩踏み出さなければ、可能性は広がりません。どんどん挑戦していくことで、”新しいことを始める”ことに慣れ、怖さへの耐性がつき、次の挑戦に繋がっていくと思います。

 

最初からうまくいく人なんていません。失敗するのはいいこと。失敗して悔しい!と思うのは、そこに成長できる余地がある証拠ですから。

発信を続けることで、必要なものが自然と集まってくる

Q:落ち込んでしまった時は、どんな風に立て直していますか?

前島:

正直、「やっちゃった…」と思うことはたくさんあります。その時は落ち込みますが、「それだけいろんなことに挑戦したってことだ!」と思うようにしています。
内省のために、たくさん本を読みますね。愛読書は岡本太郎著の『自分の中に毒を持て』。これを読めば元気になれます。岡本太郎美術館に1人で足を運んだりもしますよ。
あと、バリでビジネスをしている友人に相談したりもします。バリの人って、前向きで、「君にはこんないいところがあるよ!」とポジティブな言葉をくれるんです。これだけですぐに、元気を取り戻せますね。

 

基本的には楽観的ですよ。どうにかなる!と思っています。恥をかいても、困っても、助けを求めれば、誰か力を貸してくれます。私なんて、大したことないですから。かっこつけることは特にありません。

 

Q:こういうマインドを持っているからこそ、良いご縁を引き寄せているのでしょうね。お仕事も、こうして繋がっているのでは?

前島:

まさにそうですね。「これがやりたい!」と発信していると、「じゃあ一緒にやってみない?」と声がかかる。挑戦することで経験が積め、幅が広がる、というサイクルですね。お誘いには、基本乗ります。フットワークを軽くしていたいんです。

 

ビューティープロダクトプランナーという肩書ですが、イベントのプロデュースも行っています。ゲーム音楽のプロオーケストラ「JAGMO」の イベントや、企業の株主総会をプロデュースしたりもしています。
下地にある経験は、会社員時代、東京ガールズコレクションの広報のアシスタントをしたり、付随するイベントのメイン広報を務めたりしていたことです。激務でしたが、イベントの作り方を学ぶことができました。ステージ本番を見て、みんなで一つのことを作り上げる一体感に触れ、感動して泣きました。
一人でコツコツやる仕事も好きですが、みんなで作りあげるイベントも大好き。両方とも、私にとって大切な仕事です。

売れるかどうかよりも、心を動かされるかどうかが大事

Q:「ストーリーを考え、具現化する」というコンセプトは、どのようにして生まれたのですか?

前島:

人の気持ちの流れが好きなんです。モノにも人にも、いろんなストーリーがあります。なぜその商品を作ろうと思ったのか?という背景を伝えて、共感してもらって、手に取ってもらいたい。買い手が「こんな人がいて、こんな思いが込められた商品なんだ」と知って使ってくれたら、作り手とモノを通じて繋がれる。それがきっかけで、何か発見があって行動に移すなど、影響を与えられるかもしれません。

 

作ったからには、大事にしてほしいし、込めた思いまで伝えたいじゃないですか。モノがあふれている時代だからこそ、切り取られた物はつまらない。ただ「売れると思うから」という理由では、仕事を通じてワクワクできるものが生まれそうにないので、受けないようにしています。

 

Q:様々な商品のプロデュースをされているだけあって、前島さんはセルフプロデュースもお上手ですよね。秘訣は何ですか?

前島:

心がけているのは、ありのままでいること。多少は良く見せたいという気持ちがないわけではありませんが、いろんな方にお会いするので、取り繕ってもわかっちゃうんですよね。だから、思ったことは言うし、今の自分以上に背伸びはしません。

 

あとは最近、SNSを更新することを心がけています。何かの本で、「自分で自分をPRしないと、他にしてくれる人はいない」という言葉を見かけて。知ってもらった上でどう受け取るかは相手次第なので、まずは発信していくことは大事だな、と思いました。今は紹介を通じてお仕事をいただくことがほとんどで、それもありがたいのですが、いつか名指しで仕事をもらえるようになったら良いですね。

 

Q:今後やりたいことを教えてください。

前島:

私にとって仕事は、不可欠だし、好きの延長にあるものです。仕事と生活がイコールなので、子どもから受ける影響も大きいんです。子どもを通じて、いろんな経験をしたいと思っています。4月に子どもが小学校に入るので、環境や考え方に変化があるかもしれませんね。楽しみです。

 

具体的には、まだ模索中です。「ママと子どもを対象にした美容商品の開発をしてみたい」という願望もあるのですが、プロダクトやイベントにこだわりすぎず、その時面白いと思うものに挑戦してみたい。
今現在の”私”と言えば、”美容””ママ””イベント”といったキーワードで表すことができます。美容の中でも オーガニック系に強いので、例えば「ママ向けのオーガニック化粧品の体験ワークショップをやろう」というイベントに繋がるとか、いろんな掛け合わせの可能性がありますよね。キーワードは、今後増えていくかもしれません。

 

「この人と言えば○○」といった強みが確立するのも憧れますが、私は飽きっぽい性格なので、今は「あれが好き」「これに挑戦してみたい」と経験を広げていくフェーズでいいのかなと考えています。

 

★前島ゆみさんプロデュースのブランド★

大人のためのスキンケア発想のネイルブランド「JUMII TOKYO(ジュミートウキョウ)」
https://jumii.tokyo/

 

カラーコンセプトはこちらから。
https://jumii.tokyo/products-post/004-believe/

プロフィール:ビューティープロダクトプランナー・前島 ゆみさん

20代で益若つばさプロデュースブランド「CandyDoll」や、モデル愛用率NO1のカラーコンタクトブランド のコスメライン「AC by AngelColor」の立ち上げ及びディレクションを行う。

30代に入りオーガニックコスメに興味を持ったことから、ミランダ・カーやジゼル・ブンチェンなど多くのセレブリティーも愛用するNY発ナチュラルコスメブランド「rms beauty」の日本上陸立ち上げに参画し、その後フリーに。

​現在は、美容製品を中心にジュエリーなど女性向け製品のブランドのコンセプターや製品企画・イベントのプランニング・ディレクションを手掛ける。​※NARD JAPAN認定メディカルアロマテラピスト資格保有
※HP:http://www.yumimaejima.com/

専門家:天田有美

慶應義塾大学文学部人間科学科卒業後、株式会社リクルート(現リクルートキャリア)へ入社。一貫してHR事業に携わる。2012年、フリーランスへ転身。
キャリアコンサルタントとしてカウンセリングを行うほか、研修講師・面接官などを務める。ライター、チアダンスインストラクターとしても活動中。