本連載も6回目となり、外国人労働者の増加、滞在資格、来日理由など、さまざまな視点から、外国人労働者に関する統計を取り上げてきました。今回は、外国人がどのように日本で仕事を見つけ、どんな仕事をしているかに焦点を当てます。

みなさんは、外国人労働者が働く場所というと、どんなところをイメージしますか? わたしは、外国人労働者はコンビニやスーパーなどのレジ、お土産物屋やショップなど、販売員のイメージでした。ですが統計を見てみると、実情が少しちがうことがわかります。

外国人労働者が従事している分野

厚生労働省による、平成28年度の『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』では、外国人を雇用している事業所の業種がまとめられています。

外国人労働者の多くが従事しているのが、製造業です。4万箇所を超え、外国人労働者が従事している業種のなかで、23.5%を占めています。そして卸売業・小売業の16.9%、宿泊業、飲食サービス業の14.3%が続きます。

この3つの業種を合わせると50%を超えており、外国人労働者を雇用している事業所は、主に製造業、小売販売、サービス業ということがわかります。

同統計によると、業種別外国人労働者の就労状況は、約34万人が従事している製造業が31.2%とトップになっています。卸売業、小売業が12.9%、宿泊業、飲食サービス業が12.1%と続いています。

外国人労働者を雇用している業種別事業所の割合と、外国人労働者の業種別就労状況は、あたりまえですが、相関関係にあります。

労働政策研究・研修機構による『日本の外国人労働力の実態把握』というレポートによると、2009年から2014年までの、外国人がどの業種で働いていたのかの比率の推移が発表されています。

2009年、外国人労働者のうち、製造業に従事していた人は6割を超えていました。ですが2010年から右肩下がりに減少し、2014年では4割ほどになっています。

それに比べ、職業紹介・労働者派遣業は、2009年の時点で3%でしたが、5年後には15.5%に成長しています。

政府が外国人労働者の受け入れ条件を緩和したり、日本企業もグローバル化に合わせて外国人を雇用したりと、たった5年でも大きな変化が見られます。

外国人はどうやって仕事を見つけているのか

労働政策研究・研修機構による2009年の調査では、外国人労働者の日本での入職経路の統計を発表しています。

「新聞雑誌の求人広告、就職情報誌」が51.8%と半数以上となっていて、「派遣会社や請負会社から派遣」の19.6%に大きく差をつけて1番となっています。ほかには、「友人、知人の紹介」(12.9%)、「ハローワークを通じて」(7.1%)などが続きます。

業界紙や、外国人向け、現地人向けの就職情報誌などもあるので、そういった媒体を通した求人広告では、会社と労働者のミスマッチが少ないのかもしれません。

また、職業紹介・労働者派遣業に従事している外国人が増加していることから、現在は「派遣会社や請負会社からの派遣」の割合が増えているようです。

それは、日本人による外国人派遣業の可能性もありますが、日本にある現地人、たとえば中国人による、日本で働きたい中国人のための派遣会社、現地にある日本への派遣会社なども当てはまります。

国際化する社会のなか、人材の移動も活発になっています。将来的に、日本に限らず、こういった国をまたいだ派遣業がさかんになってくるかもしれません。

「稼げる国ニッポン」はいつまで?

労働政策研究・研修機構の調査で、外国人労働者に「希望する仕事」についての答えは、「どのような仕事でも良い」が58.7%と多数派になっています。また、「派遣会社や請負会社から紹介される仕事」が37.8%となっており、あまり業種や職種にはこだわっていないようです。

もちろん、専門的・技術的分野で就労している学者や職人などにとっては、どの仕事であるかというのは大切でしょう。

ですが、前回の連載で紹介したように、外国人労働者の9割弱が「職業機会が多いために来日した」という統計があります。多くの外国人労働者にとっては、「なにをするか」よりも、「どこでするか」、つまり日本であるかどうかが重要であるようです。

一見それは、「人材不足の業界の労働力になる」ように思えます。ですが、「どんな仕事でもいいからカネを稼ぎたい」という気持ちで来日する外国人をアテにしていいのでしょうか。

日本のGDPは、すでに中国に抜かれています。アジアでも、人口が多いインドや、インドネシア、マレーシア、フィリピンなどの経済成長が注目されています。

日本の外国人労働者の出身国は、中国、ベトナム、フィリピンがトップ3となっています。各国とも経済力をつけており、自国で仕事先を見つけ、しっかりと稼ぐことができるようになってきています。さらなる経済成長が続けば、わざわざ日本に出稼ぎに来ようと思う人は少なくなるかもしれません。

「稼げるから日本に来ている」外国人は、日本で稼げなくなったら日本を去るでしょうし、もっと稼げる国を見つければ、そちらへ移るでしょう。

そういう気持ちで日本に来る人を責めることはできません。ただ、そういった心持ちの人材を「労働力」として計算するには、「日本が経済大国であること」が大前提となります。

その前提が揺らいだとき、経済発展を続けているアジアの多くの国が日本と並ぶとき、いったいどれだけの外国人が、就業のために来日するのでしょうか。

「外国人を受け入れればどうにかなる」という認識では、外国人という大きな労働力をうまく使いこなせないでしょう。

受け入れを積極化したいのであれば、賃金以外にも日本の労働環境が「魅力的」でなくてはなりません。日本が「働き先」として選ばれ続けるためには、労働環境の改善や、受け入れ体制の整備なども必要となります。

取材・記事制作/雨宮 紫苑

ノマドジャーナル編集部
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