米Uberのような自家用車での乗り合い一部事業化
2020年に向けて規制緩和が進むかが鍵を握る

ヨーロッパで物議を醸しだしたUber

世界のシェアリングエコノミーを語るうえで外すことができないのが、ライドシェア。旅行者が安く便利に移動できる手段として、すでにインフラになっているといってもいいでしょう。

その中でも一躍有名になったのが、米国カリフォルニア州サンフランシスコで2009年3月にスタートしたUber(ウーバー)です。米国企業ウーバー・テクノロジーズが運営する自動車配車アプリで、スマホをワンタップするだけで指定の場所にドライバーが迎えに来て、何の説明もすることもなく目的地まで送り届けてくれます。なお、支払いはカードで自動決済されるため、決済に余計な手間や時間がかからず、防犯上も安全です。
米国では、市場の改革にオープンな風土と、法的規制に着手するタイミングが遅れたこともあって、スタート時には予想しなかったほどの爆発的な成長を記録。瞬く間に世界中に広がり、現在では世界576都市でサービスが提供されています。

ところが最近になって、Uberに猛反対する動きも出てきています。たとえばフランスでは、Uber Xという一番安い相乗りサービスを禁止しました。フランスのタクシー免許は切り替えるのに時間を要し、買い取ることもできますが18万ユーロもするといいます。そんな中で、アルバイト的に安いサービスで客を取られるタクシー業界が猛反発するのもうなずける話です。

日本では個人間での相乗りをサポートするシステムが登場

一般のドライバーが使う相乗りアプリ「Uber X」は、日本では基本的に許可されていません。現在のところ認められているのは、東京におけるタクシー配車サービスのみ。ライドシェアは、普及がまだまだこれから、というところです。またタクシーであっても、乗り合いタクシーの許可を得ていない場合には、ドライバー主導で乗り合いをさせることを禁止しています。ただ、タクシーでは客が主導して乗り合いをする場合は許されているので、乗客同士が相手を見つける「相乗り支援」アプリも出てきているようです。

京都府京丹後市の「ささえ合い交通」で乗り合い事業開始

日本で、一般ドライバーのライドシェアサービス事業を困難にしているのは「白タク」の問題です。許可を受けていない有償輸送行為は白タクと呼ばれ、禁止されています。2015年2月に、福岡で実験的に始めてみたものの、白タク行為に抵触するという理由で中止になりました。

しかし、鉄道やバスなどの公共交通がなく、買い物をするにも近所に店がないという過疎地にはUber Xが利用できるエリアも誕生しています。2016年5月には、京都府北部にある京丹後市で地元のNPOが手掛けるライドシェアサービス「ささえ合い交通」にUberが自社システムの提供を開始。さらに8月からは、北海道北部の中頓別町で始まったライドシェア実証実験にも協力しています。こちらは人口数千人、65歳以上が40%という高齢・過疎エリアで、地元住民がマイカーを使って客を目的地まで運ぶサービスです。

許可不要の長距離ライドシェアサービスが拡大

実は日本には、有償輸送行為(白タク行為)には抵触しないライドシェアサービスがあります。その名も、notteco。長距離ライドシェアのアプリで、自家用車を使った旅行、帰省、長距離ドライブを予定している人がシェアするサービスです。2007年から始まった事業で、現在の登録者数は20,000人以上。少しずつリピーターを増やしながら、着実に業績を伸ばしているようです。

そのほかにも、世界最大のヒッチハイク的なライドシェアサービスを行っている「BlaBlacar」は世界20か国に2000万人以上のユーザーを持つアプリで、ヨーロッパを旅するには欠かせないツールとなっているようです。

日本ではなぜ、長距離ライドシェアについては許可や登録が必要ないのでしょうか。白タク行為には当たらないというのが、その理由です。ガソリン代、通行料、駐車代など一義的に金銭的な水準を特定できる費用の一部を支払う場合は、社会通念上、登録等は必要ないというわけです。

2020年に向け訪日外国人の移動にライドシェアの期待は高まる

ライドシェアは、法的な規制と、タクシー業界などの利害関係で拡大が緩やかになってきているとも感じますが、余っているものを共有し、豊かな社会を築いていく方向には、欠かせないサービスだと思います。

日本では2020年の東京オリンピックに向けて、訪日外国人客の移動手段として見直されていくべきではないでしょうか。そのためには、悪質な白タクではなく、ドライバー情報がわかり、みんなで評価していくライドシェアアプリを活用したサービスをもっと有効に使える法制度の整備を期待したいところです。

取材・記事制作/ナカツカサ ミチユキ

ノマドジャーナル編集部
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