国内のカーシェア会員数100万人時代へ飛躍
海外でも日本でもカーシェア市場は活性化の真っ最中

かつてはレンタカーなどで車を貸し出していた業界にも、シェアリングエコノミーの大きな波が押し寄せています。海外ではダイムラーCROOVEGMMavenなど、自動車メーカーが個人のオーナーとユーザーをつなぐカーシェアリングのサービスを次々と開始。トヨタも米Getaroundと提携を行い、海外での市場拡大が過熱している最中です。

国内においてまず注目すべきは、BtoCのカーシェアリング。企業が貸し出すカーシェアの業績が着実に業績を伸ばしているようです。カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」は、主要5社のカーシェア市場を独自に集計した結果、2016年12月のステーション数は2015年12月時点と比べて17.5%、ステーションの車両数は24.0%、ぞれぞれ増加したと発表しています。

BtoCカーシェアの会員数が100万人を突破

正確なところは公的財団の発表を待たなければわかりませんが、カーシェアの利用者はすでに100万人に達したものとみられています。なお、主要5社(タイムズカープラスオリックスカーシェアカレコ・カーシェアリングクラブカリテコアースカー)のステーション数は、2015年末から1700か所増加して11,000か所に。車両数も4000台以上増えて21000台を超えたとのことです。(カーシェアリング比較360°より)

最近の大きな動きを追ってみると、2016年12月末に国土交通省が、地下鉄「大手町」駅付近に道路上のカーシェアリングステーションを国内初の試みとして設置。実験を行っているところです。また、サークルKサンクスは、2016年7月にカーシェアリング最大手のタイムズカープラスが利用できるコンビニ店を北海道・東北エリアで展開することを発表。カーシェア企業のサービスは、今後さらに拡大していきそうです。

CtoC(個人対個人)の貸し借りも急成長

一方、CtoCにおけるカーシェアリングサービスとしては、AnycaCaFoReGreenpotなどが誕生し、レンタカーやBtoCカーシェアとは異なる、個人同士の貸し借りが活発になっているようです。

たとえばDeNAが運営するAnycaは、2016年8月31日にサービスをリリースして1周年を迎えました。同社の報告によると、会員数40000人以上、カーシェア日数10,000日以上、登録台数も正式リリース時の200台から2000台、実に10倍以上に成長しているとのことです。

そもそも、CtoCのカーシェアリングとは、企業が車を提供して複数の人でシェアする仕組みではなく、個人が使っていない時間に車を貸し出す仕組みです。仲介するサービスに個人オーナーが登録した車を、個人登録のユーザーが気軽に借りられるわけで、企業との取引ではない分、管理費もかからず安く使えるのが大きなメリットです。

使い方は至って簡単。サービスサイトやアプリにアクセスして、住んでいるところに近いクルマを選んで、予約を取るだけ。あとは現地でオーナーさんからキーを受け取るだけで利用できます。自動車の登録も、パソコンやスマホで簡単にできます。
CtoCでシェアするサービスは、利用者のクチコミなどで評価され、信頼度を確かめながら選べるという意味で安全性も一定担保されており、急速に広まってきています。

価格に上限を設けている仲介サービスも

カーリース、法人のカーシェアリングと比べ、個人の車を個人に貸し出す料金が低いのには、ほかにも理由があります。例えばAnycaの場合、登録車数の約半分が高級車ということもあって、車種による貸出価格に上限を設けています。

なぜかというと、CtoCカーシェアリングは、法的には「共同使用によって本来発生する車の維持費を複数で負担しあうサービス」と捉えられています。そのため、過度な価格の提示は法令違反となる可能性があり、プラットフォームのポリシーとして自主的に制限しているというわけです。ホームページなどを見ても、月間の売上をシミュレーションする際に、「これだけの経費削減を実現しています」というような表現になっているのが特徴的です。

安心のさらにその先へ。将来的にはカーライフコミュニティができる可能性も

当然ながら、車には事故のリスクも伴います。そのため各サービスには提携先の損保による1日だけの自動車保険も用意されていて、借りる際に加入が義務となっています。こうすることで、貸す側も、借りる側も、安心して利用できるのです。もちろんオーナーになる場合も、自分の任意保険を使う必要はありません。

また、エリアごとの車の紹介+クチコミによる評価というわかりやすさ、使いやすさで、リピーターがも増えているようです。さらに、さまざまなイベントを行うことで繋がりができ、今後、カーライフコミュニティが生まれていくかもしれません。シェアリングエコノミーは、ビジネスを通して、さまざまなつながりを作っていく大きな波となるのではないかという思いがします。

取材・記事制作/ナカツカサ ミチユキ

ノマドジャーナル編集部
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