カネ余りの時代に投資機会をつくるだけではない。
新しいプロダクトのパートナーになれる魅力!

Fintechが広げるマネーシェアリング

フィンテックという言葉は、金融(Finance)と、技術(Technology)という言葉がくっついてできた造語です。
ICT(情報通信技術)を駆使した革新的な金融商品・サービスの潮流というふうに捉えられています。最近では、クラウドやビッグデータといった新しい技術のおかげで巨大なデータを簡単に処理できるようになり、これまで金融機関が提供してこなかったような便利なサービスを、ベンチャー企業が提供することが増えてきました。

このフィンテックのおかげで、お金に関するサービスを利用者目線で安く、早く、便利にしようという動きが活発化し、さまざまなサービスが生まれています。たとえばおサイフケータイやスマホで送金など、決済が簡単にできるようになったのは、もうそんなに驚くほどでもなくなっています。
そんな中で広まってきているのがクラウドファンディングです。なかでも、個人投資家がベンチャーのスタートアップに融資する、ソーシャルレンディングに注目が集まっています。

日本でも昔からあったクラウドファンディング

日本でも昔、お寺を建立するときに地元の人々から寄付を集めていました。これがクラウドファンディングの原型です。現在ではこれが、インターネット上でできるようになったため、時間がかからず、出資する方も好きな相手を選んで寄付することができるようになりました。

クラウドファンディングでは、お金や物品といった見返りのない寄付という形で出資することもできます。この方法では、プロダクトを作るベンチャーのパートナーとしての意識が芽生え、シェアしている実感を得ることができます。

最近とくに増えているのが融資型で、預けていても増えない銀行よりも融資先が見えて応援できるファンディングをソーシャルレンディングと呼んで、差別化しています。

世界銀行の推定によると、世界の「クラウドファンディング市場は、2015年度で約344億ドル、2020年までに900億ドル規模にまで成長するといわれています。また、矢野経済研究所が2016年8月19日に発表した国内クラウドファンディング市場の調査報告では、2015年度の市場規模は前年度と比べて68%増え363億3400万円になると予測。ファンディングの形態の中では貸し付け型(ソーシャルレンディング)が88.7%を占めており、2016年度に関しては前年度比31.5%増の477億8700万円にまで伸びると予想しています。2012年度の71億6100万円からたった3年で、実に6倍以上の規模へと膨らんでいるのです。

ソーシャルレンディングのメリットとして、最低1万~10万円という少額から募集プロジェクトに投資できる点が挙げられます。そのため貸し手は、複数のプロジェクトに分散して投資することでリスクを抑えることができます。融資先も電力開発、不動産、ベンチャー企業、海外の個人向けローンなど多岐にわたり、3~10%程度の目標利回りが設定されています。
また、地球環境保全や世界の子供を守るプロジェクトといったプロジェクトへの参加も、現実的な形でできるのも、ソーシャルレンディングの魅力と言えるでしょう。

日本初のソーシャルレンディングmaneoに見る投資の今

maneo(マネオ)ではソーシャルトレーディングに特化したサービスを提供しています。ホームページのトップには、成立ローン総額692億9310万円、登録ユーザー数44940人(2017.4.21現在)という数字が並んでおり、市場がどんどん拡大していることが数字として目に見ることができます。

投資先のプロジェクトには、地方再生型、再生可能エネルギー、アメリカの不動産案件中小ベンチャー・店舗事業用などが並んでおり、投資しようという人は、この中から複数のローンファンドを選んで投資できるようになっています。期間は3カ月~1年程度で、少額での投資が可能です。また、成約手数料・事務手続き手数料0、口座内でなら投資実行や分配金入金に手数料がかからないシステムになっています。
今でこそ、こうしたサービスはありふれていますが、一昔前までは名も知らないベンチャー企業やグローバル企業に投資するなんてことは、考えもしなかったこと。世界中で起きていることに対して、誰もが気軽に参加できる時代になってきたのだと実感します。

このほか、実際にどんなプロジェクトが進行しているのかについては、世界のクラウドファンディング情報を集めたサイトGREEN MAGAZINなどを参考にしてください。
シェアリングエコノミーにおける投資の分野は、低金利の時代を背景に、さらにより良い暮らしの実現に向けた個人参加を可能にし、ますます市場を拡大していきそうです。Fintechが興した潮流が、銀行を通り越して世界のマネーをどう動かしていくのか。法的な規制や保険の在り方も合わせて、注目すべきところです。

取材・記事制作/ナカツカサ ミチユキ

ノマドジャーナル編集部
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